嫌なキス(世界と私48)

お互いの事は深く話さないで、
新しく出来たカフェの話しや、
ニュースや天気の話して、
あとは彼の友達のおもしろ話しなど、
取るに足らない話しをしていた。

たまには知らない人とこんなどうでもいい話をするのも楽しいと思った。

いつもはおばさんと子供としか話していない私には、
こんな会話が新鮮だった。

私たちはすっかり酔ってしまい、
気が付くと11時を過ぎていた。

「私そろそろ帰らないと。」

「明日は土曜日で仕事ないだろ?
もう少し飲もうよ!」

彼はそう言ったけど、
彼のつまらない話に付き合うのに少し疲れたので、
私は帰ることにした。

会計を済ませてお店を出ると、
彼が追いかけて来た。

「もう一軒飲みに行かない?」

「ごめんなさい、明日は用事があって早く起きないといけないから!」

「なんだ、つまらないな!!」

そう言って彼は私を抱き寄せキスをした。

私は彼を突き放した。

「ホテル行かない?」

「はい?ばかじゃないの?」

「いいだろ!おばさんなんだから!」

「はい?!!!!」

私は怖くなりその場から小走りで逃げて、
タクシーに乗った。

祐一以外の人とキスなんて久し振り、
でも、
とても気持ち悪いキスだった。

若い時ならあんな下心のあるようなバカ男と飲んだりしなかった、
なんであんな男と飲んだのか?

その時に私は気が付いた。

私は寂しいってことに・・・

浮気をした祐一の気持ちがわかった気がした。


つづく


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