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【カウンセリング事例検討】転職相談①〜自己効力感の観点から〜

こんにちは。ryoです。

今回は、今までご紹介した理論をもとにした、カウンセリング実践例をまとめました。人の悩みは千差万別なので、その時々に合わせて対応することが必要ですが、いくつか事例を検討することで、考え方、アプローチの仕方に広がりを持てると思います。もちろん、正解はありませんので、これからご紹介する内容も、事例検討の1つとして捉えてください。

1回目は、若年層のカウンセリングにおいて割と多い相談でもあり、試験でも頻出の「転職相談」について、まとめていきたいと思います。

本来であれば、キャリアコンサルタント技能士の実技試験の事例を使えれば良かったんですが、著作権の関係で難しそうなので、自作しました。

もちろん、これからご紹介する事例における人物、事例はフィクションです。みなさんも一度、「後輩から転職したい」と相談があった時、どのようにアプローチするか一緒に考えてみてください。

カウンセリングの手法につきましては、こちらの記事もぜひご確認ください。

今回、相談に来たのは「営業部所属、入社4年目の佐々木太郎さん(27歳)」です。

入社4年目佐々木太郎さん(27歳)のケース

カウンセリングをする上でまず大切なのは傾聴です。私が、実践していく上で解ったのは、「クライアントの話を傾聴する心のスペースを持っておくのが重要だ」ということです。初めは、クライアントの話を聴きながら、「次は何を聞こうか」と考えがちです。ただ、それではクライアントの話が100%入ってきません。ある種、心を空っぽにして聞くことで、来談者中心的アプローチに沿って、カウンセリングができます。私は、当初このやり方でカウンセリングを進めていました。

この方法は、ラポール形成に有用です。まずは、クライアントの話を聴くというのが、何よりも重要だからです。心を空っぽにするのを意識すると、うまく傾聴できます。

ただ、それだとなかなか指示的アプローチに移行できません。そこで、おすすめなのは、自分の心で「この人が一番訴えたいことは何か?(主訴)」「どうしてこの人はこの問題を抱えてしまったのか(見立て)」を考えつつ、クライアントの話を聴く心のスペースを半分くらい確保しておくことです。もちろん、どれくらいが心のスペースの半分か、というのは分かりませんので(笑)、イメージで結構です。これを意識するだけでも結構変わりました。

長くなりましたが、これが前提条件かなと思います。
それでは、佐々木さんのケースを考えます。
下記の動画をご覧ください。

佐々木さんの主訴はおそらく、「最近仕事で不調が続き、現在の仕事に適性がないと感じているので、転職しようかと考えている」ということだと、キャリアコンサルタントは考えました。

さて、この「転職しようかと考えている」という言葉の裏を考えると、「転職しようかと考えているけど、心の何かが転職を引き止めるので迷っている」とも考えられます。この心の何かを一緒に考えていくのがキャリアコンサルタントの仕事だと思っています。

今回は、「失敗を機に、自分に自信をなくしてしまって、それがきっかけで転職を考えているのではないか」、とキャリアコンサルタントは見立てました。

であれば、考えられるのは「自己効力感」の低下。自己効力感とは、物事に対して、「これは自分にできそうだ!」と思える心の感覚です。詳しくは下記の記事にもございますので、ご確認ください。

そこで、キャリアコンサルタントは、自己効力感を高めるために、個人的達成の経験を想起するように促します。
具体的な仕事の内容を確認しつつ、自己効力感を高めたところで、自分がこの仕事に向いていないと考えるのはどうしてか、できないことはどんなことかを考えるというようにカウンセリングを進めます。

もちろん、カウンセリングの場だけでなく、実際の仕事の現場でも自己効力感を高めてもらうよう、代理学習などの観点も助言をします。

というように、失敗などネガティブな出来事は、若年層は特に極端な発想にいきがちです。ですので、自信をなくした出来事を丁寧に再現しつつ、逆に成功体験を確認していきます。その上で、本当に転職をしたいのか、考えていきます。

と、転職相談に対して、自己効力感の観点から考えたカウンセリングの一例はこんな感じです。あくまで一例です。少しでもご参考なれば幸いです。

今回、初めて動画形式でご紹介させていただきました。いかがだったでしょうか。

実技試験の勉強をする中で、個人的にどうしても逐語録って、CLとC表記もあり、混同してしまうこともありました。
また、会話の部分部分で解説した動画ってあまりなかったように思ましたので、今回、先ほどの動画に解説文章を入れたものを作成いたしました。
制作に結構時間がかかりましたので、こちらは大変恐縮ですが、有料とさせてください。ただ、損はさせない内容となっていますので、ぜひ一度お試しという意味でも確認いただけると嬉しいです。今後もこのような動画をアップしていきます。

ご参考までに解説版のサンプルです。

サンプル①

サンプル②

下記より解説動画を閲覧できます。※現在無料公開しています!

来談者中心アプローチから、指示的アプローチへの移行も含め、カウンセラーの思考の流れを記載しました。

会話の流れをそのまま残していますので、解説が読みきれない際もございます。お手数ですが、その際は一時停止しながら、ご確認ください。

様々な事例で今後も展開していければと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします!

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