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【終わりは始まり】〜ブリッジズの理論〜

こんにちは、ryoです。

半年前に書いたこの記事がけっこうアクセス数あって、何でだろうと思ったら、「クルンボルツ」で調べると4番目に出てくるからだと分かりました。noteのSEOすごい!
まだ読まれてない方、よろしければ読んでください。笑

さて、今回は、ウィリアム・ブリッジズ氏の「トランジション」理論をご紹介します。ここで言うトランジションとは、過渡期や転機を指します。簡単に言えば「まず、終わりがあって、何かが始まる」という考え方です。

トランジション理論では、トランジション(転機や過渡期)は、「終わり」→「混乱や苦悩の時期」→「新しい始まりの時期」の3つの局面を辿るとしています。

第一局面「終わり」

第二局面「ニュートラルゾーン(混乱や苦悩の時期)」

第三局面「始まり」

ところで、みなさんは「終わり」という言葉にどんなイメージを抱きますか? つらいとか、悲しいとか、マイナスイメージを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。

「終わり」は悲しい出来事だったり、思い出して恥ずかしくなったりすることが多いので、じっくり向き合うことを避けがちです。

しかし、トランジションを乗り越えるためには、考えることを避けがちな「終わり」という局面に対して、今、自分は何を手放すべきなのか、何に対する終わりなのかを考えるところから、はじめます。

例えば、仕事上における代表的なトランジションは、転職、転勤、異動、昇進などでしょうか。

新しい職場や、新しい職務の「始まり」に先立ち、まず今までの職場、職務、環境、役割などに対しての「終わり」があると考えます。

ブリッジズは、まず自分の「終わり」の体験を振り返ることを勧めています。自分が終わりに対して、今までどのように対処してきたか、どのように反応してきたかを振り返ることが必要だと。

これは個人的に結構気付きが多かったです。終わりに対して、逃げてしまったことや向き合っていなかった事項に気がつくことができました。みなさんも一度考えてみるといいかと思います。

第一局面の「終わり」は、新しいものや考えを手に入れるためには、何かを手放す、離れることが必要だと考えです。

例えば、「いつも運が悪い」と、人間関係に悩んで職場を転々とする人は、その環境の終わりに対し、自分がなぜそう思うのか、なぜうまくいかないのかと向き合うことが必要です。自分の思い込みや考え方を捨て去らない限り、同じような事が続きます。

そして第二局面である「ニュートラルゾーン」を迎えます。トランジションにおいて最も大事なのは、このニュートラルゾーンの過ごし方です。

このニュートラルゾーンは、苦しかったり混乱を招くため、すぐに終わらせてしまいたくなります。しかし、ブリッジズ氏はこのニュートラルゾーンこそ、じっくり考えるべき局面だとしています。

ニュートラルゾーンの中でその意味を見いだす方法
(1)ニュートラルゾーンで過ごす時間の必要性を認める
(2)一人になれる特定の時間と場所を確保する
(3)ニュートラルゾーンの体験を記録する
(4)自叙伝を書くために、ひと休みする
(5)この機会に、本当にしたいことを見いだす
(6)もし今死んだら、心残りは何かを考える
(7)数日間、あなたなりの通過儀礼を体験する

この7つをブリッジズ氏はおすすめしています。トランジションという状況を利用して、一度自分についてじっくり考えてみる、ということですね。このトランジションは何を意味しているか、どうしてこのような状況になっているのかなど、時間をかけてもよいので、考え抜くことが必要です。

そして、ニュートラルゾーンを抜け、第三局面である「始まり」を迎える、という感じです。

始まりやスタートは裏返せば、何かが終わったということ。その終わりに対してしっかり向き合って、よい始まりのために、終わりを活かして自分をアップデートするということなんだと思います。何かが始まった時は、それと同時に、何かが終わったということを常に意識してみるとよいかもしれません。

私はトランジションとは、芋虫が蝶になるまでの過程みたいなものだと思っています。

ある日、体の変化から、芋虫である自分の「終わり」を向かえたことを悟ります。そして、地面というフィールドを自由に這っていた自分を手放すという決断をします。地面大好きなのに。
やがて「ニュートラルゾーン」であるさなぎの期間を経て、自分はこれからどうなりたいのか、じっくり考えた結果、今度は地面ではなく、空という新しいフィールドで挑戦してみたいと考え、自分からさなぎを破って羽化し、蝶としての自分が「始まる」。強引ですが、なんか自分の中ではこのイメージがしっくりきました。笑

人間は蝶のような劇的な変化を遂げる訳ではありませんが、人間も思考のトランジションを経て、どんどん進化していく生きものなんだと思います。もちろん蝶で終わりでなく、その先も進化し続けることが大切です。

今、何かもやもやしていることがある方は、トランジションのまっただ中にいるのかもしれません。

そんな時は、今どんな状況に直面しているかを考え、何を手放すべきなのか、そして、この状況はどんな意味を与えてくれるのか、自分は何をしたいのか、一度じっくりと考えてみるといいかと思います。

『トランジション』はKindle Unlimitedの中にもあったので、ご興味ある方はどうぞ。今回はさらっとしか紹介できていませんが、仕事だけでなく、家族におけるトランジションの章なんかもあって面白いです。文化人類学とか、そのあたりの要素も入っているのかもしれません。

最後に本書のお気に入りの文章を残して終わります。では、また。

『物事には避けがたい「終わり」があること、それらはいつも耐え難い苦悩をもたらすわけではなく、そのときをうまく乗り越えればあとの困難が回避できるということを学んできた人もいるだろう。そのような人は、人生を一歩ずつ歩み、古いものに別れを告げて新しいものに−−−それが何であろうと−−−、よりスムーズに移行できるだろう』(『トランジション』第一章より)

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