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シュークリームに似合う皿を探すタイムスリップの旅

ああ、そうだ、シュークリームだ。シュークリームを食べよう。

私はシュークリームのことを「効率良く生クリームを食べるためのスイーツ」だと思っている。だから、甘いものを欲した時=生クリームが食べたくなった時にはシュークリームが一番だ。ありがたい食べ物である。

ありがたや、と見つめているとあることに気がつく。

シュークリームは生クリームオンリー派

シュークリームの色味、地味じゃない?写真を撮ろうとするとショートケーキに負けるというか。いやあ、いつもパッケージから取り出すや否や、皿に置くことなく食べていたから気が付かなかった。

・・・

仮に、シュークリームが茶色と白のサンドカラーで地味だとしても、似合う器に盛れば輝くのではなかろうか。よし、シュークリームと器の旅に出よう。器は料理の服なのだし、似合う服を探して歩き回るのもたまには良いじゃないか。

【往路】

現代・黒釉
あ、シンプルすぎるかと思ったら案外似合う。幸先良いスタートだ。重みがあるのが良いのかな。ちょっとつば縁になってるのが良いのかな。


大正〜戦前・染付人物図
これはとても良いですよ。こんにちは、と言い合っているように見える。シュークリームの切れ目がちょうど口っぽいことの恩恵を受けている。予想では「でかい岩だなあ」に見えると思っていたが、未知との遭遇になった。


明治後期〜大正・銅判菊図
あ〜、思ったよりそんなでもない……和食器の中でも洋風寄りだからケーキとの相性が良いかと思っていたが、これはどちらかというとショートケーキをより美しく見せるタイプの器だった。


明治期・青磁
可愛いけど、もう一息感がある。もしかしたら総青磁の方が似合うかもしれない。シンプルな方が似合う説。縁の茶色がシュークリームと青磁の間を取り持っている?


江戸幕末・染付破れ網手
うむ、苦戦を強いられるかと思いきや、案外よろしい。シュークリームの岩っぽさがマッチしているように見えなくもない。ただ一番似合うかと言われたら肯定しづらい。もっと似合う皿があるはずだ。


江戸中期・染付蛸唐草
ここまで時代を遡ると独特の品が出て、違う雰囲気を漂わせてくる。飲み物を入れるコップとの組み合わせ次第でかなり良くなりそう。金継ぎがいいアクセントになっている。

【復路】

江戸幕末・色絵菊図菊花型
菊花型が良いのか、色絵が良いのか。中央の染付が見えない方が似合いそう。


明治前期・紙刷風神雷神?
これは〜違うねえ。次行きましょう、次。


明治後期〜大正・染付犬図
これも会話が聞こえてきそう。シュークリームを犬が食べるか、犬がシュークリームに食べられるか。人によって解釈が分かれそうな構図である。犬のお母さんがシュークリームという見方も可能か。面倒見よさそう。


昭和戦前・プレスガラス
ここはパティスリーですか?売り物っぽさが一気に出る。ガラスの器って普段あんまり食卓に登場しないのだけど、使ってみるとなんでも綺麗におさまるから割と好きです。


現代・菊花型
あ〜、これ。これ良い。色が増えたわけではないが、存在感が格上げされている。マットな質感が合っているのかもしれない。


ふう、これでタイムスリップの旅が終わった。思いの外色んな器と相性が良かった。特に、無印良品やUNIQLO系のシンプルなデザインが似合うみたいだ。「シンプルだけど一味違う」これをヒントに探すと良いかも。

・・・

シュークリームを器に盛る。それだけのことだが、案外やらないのではなかろうか。シュークリームはコンビニスイーツの中でも、ケーキ屋さんのショーウィンドウの中でも、一番安価である。だからこそ、手掴みで食べるという豪快さを寛容する。

しかし、ひとたび目でシュークリームを愛で味わってみると、そのクリームの色合いやシューの凹凸に釘付けになってしまう。それから良い器を取り出してきて、お茶を淹れて、ゆっくりじっくり口の中でクリームを溶かす。

そんなシュークリームと二人きりの時間を過ごす人生、良くないですか?

ねえ?

めでたし、めでたし。と書いておけば何でもめでたく完結します。