【器のはなし】帰省中なので実家の器を紹介する
二週間前の時点では夏の季語をやろうと思ってたんだけど、普通に時間がなかったので実家の器を紹介する。実家の器と言っても、私がこれ買ってよと言って承諾して買ってもらったやつ。紹介するのは古い器だけだけど、食器棚は昭和とか平成の器のが多いです。私の趣味と母の趣味が偶然重なった、そういうラインナップです。
江戸中期青磁染付流水に菊図6寸皿
中期の青磁はなんか良い。重みがあるというか、なんでしょうね。このタイプは、内側の絵付けがあまり可愛くないことが多くて、どちらかというと渋い柄のを見かけるのだけど、これは可愛い系なのでちょっとレア。鶴亀とか山水図は見かける。
中央が菊。渦巻きが流水文。流水文、初めて見た時どこがだよって思ったけど、雨降ってる時の水たまりをじっと見てたら理解出来た。これは流水だわ。「あら、渦巻き模様。」と思って可愛がっていると、だんだん水の流れが見えてきて、粋な風景が見えてくるのが面白い。
青磁は釉薬を何度も塗って重ねて色を出すため、時間と手間がかかる。その努力に我々は感謝して、釉薬分の重みに耐えねばならない。青磁は重い。
裏側は唐草文と高台の中に富貴長春とある。この漢字は職人が中国から来た器の見様見真似でかいてるため、だいだいちゃんと書き取りできてない。
江戸幕末染付山水図5寸鉢
小さな丼鉢。チキンラーメンにちょっと野菜乗せてちょうどくらい。普通の袋麺だと小さい。
線描きの山水図は、キリッとした印象。左下の四角いのは帆線。真ん中の雲の描き方がいい。
縁の部分が太くなっていて、そこに雷文がぐるりと。この器、絵付けは母好みじゃないが大きさの使い良さで買ってもらったやつだ。今回の帰省でも頻繁に使われていた。この大きさは使いやすいのにあまり出てこない。
裏側は山水図。蛇の目高台。素地がちょっとマットなのも好きなんだよねえ。
江戸幕末色絵蛤と山水図小なます皿
小なます!なます皿と小皿の中間で、両方のいいとこ取りした感じ。普通の取り皿にも使えるし、縁に立ち上がりがあるから鍋にもいける。器の数を絞りたい時に小皿となます皿の兼任として買えば良いと思う。
見込みに蛤図。色合いが珍しい。蛤が描かれている器はたまに見る。めちゃくちゃレアという訳ではないが、探そうとすると案外捕まらないかもしれない。山水図だけだとよくある平凡な模様だけど、蛤を持ってくることで雰囲気をがらりと変えてしまった。
蛇の目高台。
明治前期色絵松竹梅に鶴図向付
明治の色絵の華やかさ。江戸は華やかでもしっとりしているが、明治はパキッとしている。
こちらも貝が。あと魚も。鮎とかかなあ。淡い染付が良い感じに海っぽさを出しているのが良い。色絵は赤ベースだなと感じるのが多いから、水色が印象的なのは爽やかでいい。染付にも合わせやすい。
口縁内側は四方襷、見込みは船上人物図。見込みの図柄、なにかの漢詩を元にしてるらしいのだけどなんだったっけな。結構よく見る。
高台周りに蓮弁文。描き込みすぎてなくてメリハリのある絵付け。
先ほどの小なます皿と合わせたくなる柄。色使いとモチーフが似ているから、良い感じに似合ってくれる。
明治後期〜大正図変わり印判小皿
変わった柄なので、図変わり。うさぎとか犬とか猫とか戦争系とか文明開花とか。数年前にTwitterで雪だるまの印判が話題になりましたね。猫の印判はめちゃくちゃ高え。ビビる。ここにあるのはどれもそこまでレアではない。
レア度低めのから。これは雀踊り。これ私も好きで自分用に買った。見込みに雀が四羽いて、花みたいになってる。周りが松。北斎漫画みたいな人たちが雀踊りをしている。そのフレームが竹になっていて、背景柄が梅。なので、雀踊りと松竹梅で構成されている。雀踊りの周りを竹にするの、組み合わせのセンスある。
将棋。緑の印判もたまに。緑のがレア。当時も人気だったのか、5寸サイズも見る。これは4寸くらい。真ん中の柄が切れているのは、転写するときに職人が手作業で行うのでずれてしまったもの。印判皿は柄がずれたり切れたりしているので、一枚ずつ確認してから買う必要がある。
大人気、大学野球。これかわいいよね。グローブの背景の文字が、早稲田・慶應・明治になっている。交流戦かな。
こればっかりはちゃんとレア。なんと二客ある。ふっふっふ。なんだっけ、母の日かなんかで渡したやつ。絶対に母が好きなやつだわと思って。
という感じでした。青磁の6寸とか普通に持ち帰りたい。いつか貰う。自分用の青磁、全然持ってないな。思いつくの一つだけだ。良いなと思うのが高かったり、そもそも柄が微妙にタイプじゃなかったりだから買ってないんだな。ま、実家の器は私のものと言っても過言ではないので、譲り受ける時を待つことにしよう。
こういう系の話が好きな方は↓をどうぞ。
めでたし、めでたし。と書いておけば何でもめでたく完結します。