「子供欲しい」と言うならそれなりの知識は持つべきだ

同年代の人と話していて思うのだけれど、妊娠・出産とか子育てへの考え方が、女性と男性で違う気がする。それは産む人かそうじゃないかという違いがあるから当然なのだけれど、持ってる知識も考えている生活も違いすぎる。


まず、妊娠について。

簡単にできると思ってる人が案外多い。

妊娠する可能性があるのは排卵日の6日前から排卵日の1日後ほど。
その間に性交し、妊娠する確率は29歳以下の女性で約30~50%です。
その確率は26歳をピークに緩やかに下降していきます。
不妊状態にあるカップルだと、妊娠するする確率は1周期あたりで約2%といわれています(以下略)

ピークの26歳でも100%ではない。その半分以下である。20代後半=29歳までの確率は30〜50%という。世の中に100%はほとんど無い。


次に、年齢について。

「今の時代、30代で産むのが普通なんだから。」を簡単に言っているのを見る。

現実的に妊娠できる確率、「妊孕力(にんようりょく)」は35歳を境に大きく低下し、40歳以降はさらに低下します。

人間の文化にとって出産年齢が上がっていても、人間の体にとって文化ほど出産年齢は上がらない。人間の体はそこまで進化していないのだ。30代になると出産が大変という理由の一つである。


それ(加齢につれて妊孕力が下がること)に反比例して流産率は上昇し、卵子なら染色体異常、精子なら遺伝子異常の確率が高くなるのも見過ごすことのできない事実です。

卵子ならの次に、精子ならと続いていることに注意してほしい。加齢につれて、女性だけでなく男性も「異常」の確率が高くなる。これはあまり知られていないことだと思う。健康な子供を産みたいと願うなら、「30代で出産するのが普通」と言うのはやめた方が良いだろう。


妊婦死亡率についても考えたい。

一般女性、妊産婦とも死亡率は20年で大きく減少した
35-39歳:2012年の一般女性の死亡率は50人/10万人vs 妊産婦6.4人/10万人
20代前半に比べ30代後半では2.8倍、40歳以降では4.7倍上昇する

そもそも、出産で母親が死ぬ可能性があることを知っている人はどれくらいいるだろうか。死ぬ確率が低いとしても、それが自分もしくは自分のパートナーである可能性はゼロではない。それなら、なるべく確率の低いうちに産んだ方が良いと思うのだが。

子供と奥さんどちらを選びますか?と聞かれたら、どうするだろうか。どうしてほしいだろうか。これは出産前に話し合っておくべきことだと考える。


年齢についてまとめる。

・加齢につれて妊娠しづらくなる
・加齢につれて流産しやすくなる
・加齢につれて染色体異常だけでなく遺伝子異常の確率が高くなる
・加齢につれて死亡率が高くなる

これらから分かるように、一定の年齢を超えると様々なリスクが降りかかってくるのだ。


年齢について、もう少し。「お金が貯まってから子供がほしい」という話。その通りである。政策の問題なのか、それとも資本主義社会に生きる労働者の問題なのか、施設の問題なのか。切り抜ける方法はないのか。

もし、計画外に子供を授かったとして「お金がないから堕ろしてくれ」と言うのか。誰の気持ちを尊重するか。(この問いには正解があるわけじゃないから、どんな判断も許されるべきだ。)

「タイミングじゃない」は、本当か?それは一つの観点からみた「タイミング」なのだと思う。身体的なタイミング、経済的なタイミング、心理的なタイミング、いろいろあるとは思うが、どのタイミングに合わせるかは人それぞれだ。でも、そのほかのタイミングを逃している可能性は忘れてはいけないと思う。何も犠牲にしないのは無理だ。



不妊は女性側だけの問題だと思っている人も案外多い。

男性側に不妊の原因がある可能性も十分ある。不妊とまではいかなくても、妊娠しにくい性質という可能性もある。

男性は自分に与えられる影響の少なさから、自分が与える影響が少ないと勘違いしがちである。何度でも言うが、妊娠・出産・子育てには、男性側が与える影響も大きい。調べたデータやツイッターで見かける子育て事情から、確信を持ってそう言える。

妊娠・出産・子育てには、男性側が与える影響も大きい。子供への影響も、母親への影響も。

「30代で産むのが当たり前」文化に関しては異論を唱えたいが、「男性も育児に参加する」文化には賛同したい。もう、金を稼ぐだけの人にならなくていいんだよ。もちろん、やり方は人それぞれなので、話し合って納得のいくようにしてほしい。



出産前後について。

想像するだけで苦しい。体の変化が大きすぎる。流産する可能性と戦い、体が重くなっていくのに対応し、出血しながら産む。安全に出産できたとして、その後ちゃんとケアしないと鬱になったり体力が持たなくなったりする。

下にVOGUEの動画貼っておくので、見て。



まとめよう。

とにかく言いたいのは、簡単に「子供がほしい」というのなら、ちゃんと”子供を授かるとはどういうことか”知ってからにしてほしいということ。子供を授かるのが現実味を帯びた年齢になってからは特に、知っておいた方が良いと思うのだ。



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めでたし、めでたし。と書いておけば何でもめでたく完結します。