【話芸のはなし】「まんじゅうこわい」「寿限無」あたりは普通に会話に登場するからすごい。

さて、話芸の話をするつもりで一つだけ論文を読んだが、電車内で読んで眠くなること何度もあり、正直あんまり覚えてない。思いつくままに進んでいこう。探り探りの回。


日本の話芸と聞いて初めに思いつくのは「落語」だろう。落語家が何となく身近なのは『笑点』があるからだと思う。落語家は落とし話をする人たちであって、大喜利だけをする人たちではないのだが、『笑点』があるために逆に大喜利の方が有名になっている大喜利は寄席の最後に行われる余興のことで、三題噺、謎かけ、都々逸などが行われる。

今気がついたのだが、私は落語のことよりも笑点のことの方が知識豊富である。先代の立川談志師匠が作った番組だとか、テーマソングには歌詞があって出演者が歌ったものを流していたら苦情が来て音楽だけになったとか、司会者が落語家じゃない時があったとか。この辺は笑点のHPを見ると詳しくなれる。


落語の歴史を知ろうとすると、『日本霊異記』『今昔物語集』『宇治拾遺物語』やら『醒睡笑』「御伽衆」やらの単語が出てくる。歴史は地続きであるから、ここからスタートです!と言い切るのが難しいんだろう。海外から来た文化であれば、始まりが分かりやすいのだが。

そこで、急いで読んだ論文中には以下のように書かれていた。

“落語(噺家)の祖”ということになると,それより多少時代が下った江戸前期(17世紀後半)の延宝4・5年(1676・7)頃より始まる京都の露の五郎兵衛の“辻話”,同じく延宝末年(1681)頃より始まる江戸の鹿野武左衛門の“座敷噺”,やや遅れて天和年中(1681 ~ 84)頃より始まるとされる大坂の米沢彦八の“辻話”あたりを指すのが妥当であろう(“落語の三祖”).

渡邊洋一「近代日本文学の夜明け−話芸と文学、言文一致運動の嚆矢について- 」

この文章の前に「落語」の定義をしていて、それを読むとより理解が深まる。ふむ〜、聞いたことがあるような無いような人名……これから勉強するべき領域である。

落語家は笑わせるための滑稽噺だけでなく、怪談や人情噺なども行う。オチがある話担当。知られているものも多く、「まんじゅうこわい」「寿限無」「時そば」「死神」あたりは、知っている前提で普通に会話で登場することもあるからすごい。「まんじゅうこわい」の汎用性の高さ。


話芸、他には「講談」がある。圧倒的に神田伯山師匠が有名。恥ずかしながら私はこの世界には明るくないため無知無知である。ただ、笑点の前半でたまに行われる講談や伯山師匠のYouTubeに上がっているものを見る限り、もしかすると落語より好きかもしれない。ダダダダっと入ってくる情報の波が気持ちいい。

こちらは歴史を聞かせるもの。大げさに脚色されているものも多いが、何となく勉強をした気になれるので楽しい。

オモコロの原宿さんがどこかで「神田伯山ティービィーの『中村仲蔵』が面白い」と言っていたが、これは本当にそう。講談にも興味が湧くし、中村仲蔵は歌舞伎役者なのだがそちらも知りたい気持ちが出てくる。

41分あるけど面白すぎてもはや短いまである。


それから浪曲も話芸である。歌を唄うようにして話を聞かせるもの。特に知らないジャンルだ。歌舞伎で聴くやつかな?くらいの認識なので、Wikipediaに頼ろう。

落語は「噺す」、講談は「読む」、浪曲は「語る」芸能と言われる
・それぞれ聴かせ所が異なり、三味線入りである浪曲は、当時の最新メディアであるレコードやラジオを媒介として、都市部から地方部に至るまで全国的人気を保った。
歌謡浪曲から演歌へ、人気は連綿と続く。
・そのため演歌と共に、「田舎臭い」「通俗的」と軽蔑的に評されることもあった。反面、伝統的叙情や鎮魂の力が備わっているとも言える

Wikipedia「浪曲」

演歌って浪曲から来てるのか……!見方が変わるかも。

浪曲って話芸と言う割に内容が特に入ってこない気がする。これは曲を聴く時に歌詞が入ってこないのと同じなのか、聞き取れる人は聞き取れるんだろうか。合っているか分からないが、浪曲は、内容を楽しむものというよりも声の抑揚や音の流れを楽しむものなんじゃないか。


さて、漫才である。これ思ったより歴史が古そうで驚いた。以前、田河水泡『滑稽の研究』を読んだ際に知ったことなのだけど、何と平安時代まで遡る。お祝いの際に滑稽な言葉や身振りをする「千秋万歳」から来ているそうだ。いろんな変遷を経て今の形になっているのだけど、ルーツを辿ったらそんなに戻るんだなあとびっくり。

この衝撃を前回書こうと思ったのだけど、うまくねじ込めなかったため今回入れ込みました。



次回更新 4/10:浮世絵か能狂言か
※だいたいリサーチ不足ですので、変なこと言ってたら教えてください。気になったらちゃんと調べることをお勧めします。

参考文献:渡邊洋一「近代日本文学の夜明け−話芸と文学、言文一致運動の嚆矢について- 」

田川水泡著『滑稽の研究』


めでたし、めでたし。と書いておけば何でもめでたく完結します。