【一往復め】往復書簡をはじめました。ネット社会すごい。

眠る猫さんへ

 最初のお手紙拝読しました。まずは、お誘いありがとうございます。ワクワクしています。
 本・音楽・映画が趣味というのを聞くと、おしゃれな印象を受けます。英文学を学んでいたとなれば、洋楽・洋画を嗜むのでしょうか。おっと、自分が詳しくないことはあまり言わない方が賢明なので、これに関しては眠る猫さんのお話を聞けることを期待して、あまり触れないことにします。
 中学の頃から読書を始めたとなれば、早い方なのではないかなあと思います。兄は社会人になって読み始めて、もっと早く読めば良かったと後悔していました。私は、小学生の頃に五木寛之『旅の終わりに』を何故だか買って、何故だか五木さんの本を読み漁っていました。(数年前に当時読んでいた本を掘り起こしたら、蓮如物語があって気持ち悪い小学時代だなあと思いました。)他の作家の本も読めば良いのに、ずっと一人の作家を追っていたんです。それから中学生になると、部活や塾で時間が取られていったこともあり(それは言い訳に過ぎないのですが)、あまり本を読まなくなった記憶があります。
 高校時代もあまり読まなかったかなあと思います。その代わり、今まで観てこなかったアニメに傾倒しました。受験期にはアニメを観ないようにし、代わりに落語を聞いたり日本史の資料集を読んだりラーメンズを見たりしていました。あ、そういえば『オペラ座の怪人』を読んだのは高校3年生の時でした。次の時間が移動教室の授業だったのに、チャイムの音が聞こえないくらい集中してしまい、クラスメイトに呼び出されたのを覚えています。

 大学は国文学科に進みました。なので、必然的に本、というか作品の一部が多いのですが、を読む機会が増えました。国文学科に進もうと思ったのは、演劇に興味があったからです。本当は演劇をやれる学科に入りたいと思っていたのですが、学力が無かったのと戦略が悪かったので、結局は入れませんでした。それで、日本文学をやれば戯曲が読めるんじゃないかと考え、国文学科を受験しました。大学の演劇サークルには入りませんでした。人数が少なく多忙そうだったので、やるならもう少し緩そうな劇団に入ろうと思ったのです。1、2年は週6で大学に通ったので時間がなく、3、4年は旅行に興味を持ってしまったので一切演劇をやることなく卒業しました。
 そうして国文学科に進んだのですが、それはそれで楽しい学びになりました。あまり知られていないのですが、国文学科は小説や古文を読むだけでなく、文法や日本語の発音などの特徴、漢文まで割と幅広くやります。その中でも、私は江戸時代が好きだったので、近代文学のゼミに入り、卒業論文は歌舞伎を取り上げました。
 趣味としての文学は、森見登美彦と湊かなえばかり読みました。またもや、一人の作家縛りで読み進めていたのです。他の人の作品を知っている場合は、自分から手を出したのではなく、大学の講義で触れたものが多いです。あとは、アルバイトで塾講師をやっていたので、その時にテキストで解いた文章や過去問に出てきたものも、その一部分だけ知っています。

 眠る猫さんは、英文学を学ばれたんですね。ポール・オースター、スティーヴ・エリクソン、スティーヴン・ミルハウザー全員知りませんでした。日本人の文学者をたくさん知っているわけでもないので、外国人の文学者はもっと分かりませんね。これから勉強していきたいと思います。教えてください。
 外国の文学はどこから手をつけていいのか分からなくて、とりあえず日本人の本棚に向かっているので、本屋に行っていてもカタカナの名前に見覚えがないのです。戯曲で、シェイクスピアの『マクベス』『ハムレット』『ヴェニスの商人』だけは読みました。なぜ『リア王』が無いのか自分でも不思議だなあと首を傾げています。
 大江健三郎ですが、一部だけ読んで、これはすごい!となったまま他の作品を読んだことがありません。気になってはいるので、オススメの作品があれば教えていただきたいです。

 自殺未遂から半年間のニート生活、というので半年で社会復帰しているのがすごいなと思いました。その力になったものはきっと色々あるのでしょうけれど、眠り猫さんの人生に必要なものだらけなんだろうなと思います。私は、他の人の”好きなものの話”を聞くのが好きなので、これから書いていただけたら嬉しいです。
 当初考えていたよりも長い手紙になりました。楽しいです。

わたしより

めでたし、めでたし。と書いておけば何でもめでたく完結します。