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【器のはなし】六歌仙全員の名前覚えたはずなのに、いつの間にか言えなくなっている。

今回はどう〜しよっかな〜と器を眺めていた。モチーフごとに器を出していくのも良いな、花とかかな。というか前に何をやったかな。覚えてないけど多分まだやってないだろう。で、決まったのが人物図縛りである。

というわけで、今回はいろんな人たちを見ていこう。なんか集めてみたら個数多かったからサクサクと進める。


六歌仙

六歌仙、人生のどこかの段階で全員の名前覚えたはずなのに、いつの間にか言えなくなっている。小野小町と在原業平はみんな言える。お坊さんが二人、喜撰法師、僧正遍昭。あとは文屋康秀。あと誰だっけ。ググる。大伴黒主〜〜〜!!おまえか〜〜!!

六歌仙を選んだのってあの人?古今集仮名序の人?

六歌仙(ろっかせん)とは、『古今和歌集』の序文に記された六人の代表的な歌人のこと。
(略)
『古今和歌集』は「仮名序」(仮名文、紀貫之執筆)と「真名序」(漢文紀淑望執筆)という2つの序文を持つが、いずれの序文においても、和歌の歴史や享受について説いた部分に「六歌仙」のことが取り上げられている。

六歌仙のウィキペディア

合ってると言えなくもない。
早速グダグダしてしまった。ここからはサクサク。

このタイプの六歌仙印判皿はよく見かける。これは小皿だが、五寸サイズでも見る。なんなら七寸でも見る。どんだけ流行ったんだろう。印判皿をよく取り扱っているお店に一年間通い詰めたらほぼ確実に出会うんじゃないか?というくらいある。よく見るからあえて仕入れないお店もありそう。

二枚の銅版を使って、半面ずつ絵柄を転写することで模様を付けている。この小皿はちゃんと六人いるが、たまに二枚とも同じ図柄の版を写してしまっているものもある。六人っぽいのによく見たら三人がペアになっているだけなのが面白い。

こっちのデフォルメタイプもそこそこ見かけるが、上のカルタ柄よりは少ないし、小皿以外ではみたことがない。あるかもしれない。こちらは絵柄のゆるい線と余白、色味の付け方が大正期の印判を連想させる。明治期はぎっしりと詰め込まれた印判が多い(効率良く大量生産できる転写技法が開発された反動?←推測)のだが、大正に入るとゆったり余白を取るようになる。

多分、上のカルタ柄の方が先に出来て、六歌仙の人気を信じて下のデフォルメ六歌仙を作ったんだろう。


高砂

これは前にも載せたような記憶がある。なぜか老夫婦が3ペアいるから面白くて買ってしまった。

ホウキを持った老夫婦は「高砂」と決まっている。松も高砂のモチーフである。高砂は能の演目で、この老夫婦の正体は高砂の松と住吉の松の精なのだった。ホウキは演目の中で老夫婦が持っている道具であり、よく見ると熊手型と藁型とで種類が違う。この2種類が揃っていれば、ホウキのみでも高砂を意味する。

こちらも銅判転写による絵付。手ブレでこの爺さんの頭部にだけ目玉が発現してしまっている。寝てる間に落書きされた?


雀踊り

これねえ、好きなんだよね。芸が細かくて面白い。パッと目に入るのは踊っている人たちなのだが、中央の縁を見ると上から見た雀が四羽並んでいるため、雀踊りをしていると分かる。人物の書き方が北斎漫画っぽくて心惹かれる。この気持ちが分かる人、結構いるんじゃないかな。

私が芸が細かいと思うのは人物図ではなくて、周りの模様のことだ。まず雀たちの周りに松がある。で、人物図の窓絵の周りを埋め尽くしている花が梅だ。それでは竹はどこにあるのか?というと、雀踊りをする人たちの円、の、フレームの柄が竹になっているのだ。これを見つけた時はたいへん嬉しかった。


労働者

写真が暗いが、写真をクリックすると大きく表示されるので頑張って見て。

珍しい茶色の印判皿。まあ珍しいけど取り立てていうほどでもない。これなあ、労働者っていうモチーフが珍しいと思うのよね。こんな普通の人をわざわざ。けど、これはもしかすると作られた当時はもう普通じゃなかったのかもしれないな。このタイプの商人っていつまでいたんだろう。

見込みの「太明年製」というのは、古伊万里の高台によく書かれていた「大明成化年製」のことだろう。多分。この年号は中国のもので、中国器の高台内によく書かれていたのを、江戸時代の日本人は真似したそうだ。なのでよく見ると漢字が怪しいものしかない。手持ちのサンプルがないので見せられないのだけども。

中国磁器が世界で最初の磁器なので、みんな中国の白くてツヤツヤした器を求めていて、ヨーロッパのある国では磁器開発のために職人を閉じ込めたりしてたらしい。フランスだっけ。違ったらごめん。日本は中国のように磁器に合う土を見つけてたくさん磁器が作れるようになった。そこでヨーロッパの国々は日本の安価な器を輸入するようになったらしい。当時中国のは高かったため。


文と武

これまでは印判だったが、これは陰刻である。図柄を掘り下げて模様を付ける技法。

これは学校だろうか。先生っぽいのと生徒っぽいのがいる。洋服に教育。そこそこ身分高そう。

こちらは戦争絵か。そうだと信じて疑ってなかったが、じゃあこの旗はなんなのだ。馬の下のモクモクした線は馬が駆けて行ってこうなってるんだと思い込んでいた。なんだろう。左上の文字は「雌雄會平令」とみえる。違うかもしれない。明治前期の器で熊本城と戦争の図柄(神風連の乱)を見た事があるのだが、それとは別なのかな。流石に二種類も作らないよなあ。かなり軽装なんだよなあ。なんだろう。


以上。手持ちの人物図を並べてみたけども案外語る事があった。友達とこういうの見てて、解説してって言われるとこれくらい喋るんだよ。うるっせ。なるべく抑えるようにしてるけど、解説してって言われなくても喋ってるかもしれない。オタクだ、オタクだな。


こういう系の話が好きな方は↓をどうぞ。

次回更新 4/8:考え中
※だいたいリサーチ不足ですので、変なこと言ってたら教えてください。気になったらちゃんと調べることをお勧めします。

めでたし、めでたし。と書いておけば何でもめでたく完結します。