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【連載】日本文化のはなし

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日本文化の色々を語る連載。とりあえず隔週月曜更新にします。現状、毎週月曜日は割とこういう系の話をしています。月曜日に知的になる人。
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#国語

女のふりをして日記を書いたのは亡き娘を思う悲しみを書き残したかったからではないか

『土佐日記』の話する。昨晩考えてたら寝られなくなりそうだった。 紀貫之が女のふりをして日記を書いたのは、亡くなった娘を思う悲しみを書き残したかったからではないかという解釈をした。それとも、本当は新しい試みとして取り組んでいたのが、いつの間にか旅の苦しさにともなって暗い心境を書きつけるものになってしまったか。 出発の時は景気良くワイワイガヤガヤして楽しげな雰囲気なのに、二十一日に出発して二十七日には娘の話題を出しているのよね。「この頃の出立いそぎを見れど何事もえいはず。」(

【浮世絵のはなし】山鳥が鳥界のナルキッソス扱いされている

何をするか決めかねているうちに今日がやってきた。てことで今日はこれです。 新聞錦絵。東京日日新聞第三号!これの文章の部分をやる。翻刻は、高橋克彦『新聞錦絵の世界』より引用。 先に錦絵を見ておく。画面右から原田きぬ(女性)、嵐璃鶴(男性)、窓の外に商人。原田きぬは網手模様の着物に乱れた帯をしている。嵐璃鶴は三つ橘亀甲文の着物。団扇を持っていることと網手模様から夏の暑い日のようだ。手前にたばこ盆があり、嵐璃鶴がキセルを吸っている。江戸時代の喫煙率めちゃたか。 ○ さて文章