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4-2. 分子量・式量

こんにちは、おのれーです。

前回は、原子の重さを分かりやすい数字で表す「原子量」について見てきました。では、原子が電子をやり取りしてできたイオンや、原子がいくつか結びついてできた分子などの重さは、どのように表せばよいのでしょうか?

■分子の重さはどうやって考えばよいの?

分子の質量も、原子量と同じように、質量数が12の炭素原子の質量を12として、相対的な質量として求めます。これを分子量といいます。

でも求め方はいたって簡単です。

3-2. 分子 で学んだように、分子とは、いくつかの原子が自分の持っている電子を出し合うことで結びついた粒子のことです。

よって、分子の重さを表すときには、分子に含まれている原子の重さを全部足してあげれば求めることができるのです。

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では実際に、水分子H2Oの分子量を求めてみましょう。

水分子は、水素原子Hが2個と、酸素原子Oが1個結びついてできている分子です。したがって、水分子の分子量は、水素原子の原子量2個分と、酸素原子の原子量1個分を足せば求めることができます。

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このとき用いる原子量は、基本的に教科書や問題文に与えられている概数値を使いましょう。しばらく練習をしていくうちに自然と覚えてしまうことはあると思いますが、必ずしも覚えなくてはいけない値ではありません。

また、原子量と同じように、分子量も相対的な値ですから、電子天びんで量れるような絶対的な重さではありませんので、分子量に"g"や"kg"などの単位はつけません。注意しましょう。

では、練習問題です。

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大丈夫そうでしょうか? とにかく、分子式さえ書けてしまえば、あとはかけ算と足し算を間違えないようにするだけです。


■電子ちゃんは、身軽なので無視!

原子ではなく、イオンの重さはどのように考えればよいでしょうか?

イオンとは、原子が安定な閉殻構造になるために、電子をいくつかもらってきたり、放出したりしてできた、電荷をもった粒子です。

でも結論から言ってしまうと、電荷は無視して計算してOKです。

「え、電子ちゃんは無視していいの?」

と思うかもしれませんが、いいんです。1-2.原子の構造 のところでも学びましたが、電子はめちゃくちゃ軽い粒子です。コンタクトレンズをつけている人は、体重を測るとき、少しでも軽くなりたいといって、わざわざコンタクトレンズを外して測ることはないですよね。それと同じくらいの違いなので、イオンの重さを考える時には、やり取りした電子の重さは考えなくてよいのです。

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よって、イオン式の右上に書いてある「+」や「2-」などの価数は無視して、元素記号のところだけに注目し、単原子イオンならば原子量そのまま多原子イオンならば分子量と同じように求めます。こうして求めたイオンの重さは「式量」とよばれます。

また、原子量や分子量と同じように、式量も相対的な値ですから、電子天びんで量れるような絶対的な重さではありませんので、式量に"g"や"kg"などの単位はつけません。注意しましょう。


■イオン結晶や金属結晶、共有結合の結晶の重さはどうやって表せばよい?

では、多数の原子やイオンが集まってできているイオン結晶や金属結晶の重さはどのように表せばよいのでしょうか?

これも実は簡単で、分子量と同じように求めればOKです。ただ、分子をつくる物質ではないので、呼び方はイオンと同じように「式量」となります。

例えば、塩化ナトリウムNaClの場合、ナトリウムイオンNa+と塩化物イオンCl-が 1:1 で結びついているので、代表してナトリウム原子の原子量1個分と、塩素原子の原子量1個分を足して、式量を求めます。

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金属結晶も同じです。例えば銅の場合、銅原子がたくさん集まってできている物質ですので、代表して銅原子の原子量1個分を、式量とします。

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ここまで、大丈夫そうでしょうか?

では、力試しに練習問題です。

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今回は、ここまでです。いったん意味を理解してしまえば、あとは足し算と掛け算をするだけなので、意味を理解した上で、計算練習を重ねてみましょう。

最後にワンポイントチェック

1.水H2Oの分子量はいくらか? (H=1.0、O=16)
2.ナトリウムイオンNa+の式量はいくらか?(Na=23)
3.塩化ナトリウムNaClの式量はいくらか?(Na=23、Cl=35.5)
4.金属の銅Cuの式量はいくらか?(Cu=63.5)


お疲れさまでした。次回はいよいよ「物質量(mol)」に突入です。頑張っていきましょう!

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