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2-3. 物質と元素

こんにちは、おのれーです。

前々回、物質に含まれている元素の数によって、「単体」と「化合物」というグループに分けることができることを学びました。

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今回は、また元素に注目をして、物質を考えていきたいと思います。



■同じ元素でも、異なる性質を持つ単体がある!

"KING of 宝石"といえば、ダイヤモンド。このダイヤモンドは一体何でできているでしょうか?

答えは、炭素です。

えっ、炭素?

と思うかもしれません。でも、ダイヤモンドは炭素原子だけからなる、炭素の単体です。

炭素は、"炭"の”素”と書くくらいですから、黒いかたまりをイメージするかと思います。実際、鉛筆の芯などに使われている「黒鉛」という物質も、炭素の単体です。

では、なぜこのような違いが生じているのでしょうか?

実は、同じ炭素原子だけからなる物質でありながら、炭素原子の結合の仕方が異なっているのです。

ダイヤモンドは炭素原子が正四面体形にきれいに配列してできている、炭素の結晶です。黒鉛はダイヤモンドとは異なり、炭素原子が正六角形に結合してつくられた平面が層状に重なっている構造をしています。

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炭素の単体は、この他にも、60個の炭素原子がサッカーボール型に結合してできたフラーレンや、筒状の構造をしているカーボンナノチューブなども知られています。

このように、 同じ元素からなる単体でありながら、性質の異なる単体どうしのことを、同素体といいます。ちなみに、以前登場した「同位体」と混同してしまう人が多いので気を付けて下さい。

ちなみに、同素体がある元素は限られています。以下に示すのは、代表的な同素体の一覧です。

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一つひとつの物質について説明し始めると楽しくなってきて長くなってしまうので、ここではとりあえずどのようなものがあるかというご紹介だけしておきます。機会があれば、いずれまた…。

■物質中に含まれる元素を調べるには?

化学科あるある話で、なぜかみんな調味料だったり、そのへんにあったりするものの「成分表示」を見始めるということがあります。ついつい、何でできているのか、何が含まれているのかを気にしてしまうのは化学科の性なのかもしれません…。

それはさておき、単体や化合物にどんな元素が含まれているのかを調べるにはどのような方法があるのでしょうか?

ここでは、各元素に固有の性質を調べることで、物質にどんな元素が含まれているかを調べる方法をいくつか紹介したいと思います。

(1) 炎色反応
特定の元素を含む化合物を炎の中に入れると、その元素に特有の炎の色を示すことがあります。これを炎色反応といい、成分元素の存在を知る手がかりになります。

炎色反応を示す代表的な元素は次の通りです。
・リチウム Li:赤
・ナトリウム Na:黄
・カリウム K:赤紫
・銅 Cu:青緑
・カルシウム Ca:橙赤
・ストロンチウム Sr:深赤
・バリウム Ba:黄緑

一応、覚える方法を紹介しておきます。

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この炎色反応、身近なところでは、花火に使われています。化学屋さんが花火を見に行くと、次のような妄想が広がり、めちゃくちゃ楽しい気分になります。

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ちなみに物理屋さんは、花火が光ってから、ドーンという音が聞こえてくるまでの時間をはかり始める傾向があるような気がします(偏見です)。


(2) 沈殿反応による成分元素の確認
化学反応などにより、溶液の中に溶けずに生じる固体を沈殿といい、沈殿が生じる化学変化を沈殿反応といいます。

沈殿反応が起こる物質の組み合わせは決まっているので、物質を水に溶かし、試薬を加えて沈殿反応が起これば、その物質に含まれる成分元素を検出できることが多いです。

具体的には次のような反応が有名です。

塩素 Cl の検出
塩素を含む物質の水溶液に、硝酸銀AgNO3水溶液を加えると、塩化銀AgClの白色沈殿が生成します。これにより、もとの物質に塩素 Cl が含まれるかどうかがわかります。

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(3) 気体発生反応による成分元素の確認
化学反応などによって、気体が発生することがあります。その気体の性質を調べることで、もとの物質に含まれる元素を推定することができることもあります。

炭素 C の検出
二酸化炭素を石灰水(水酸化カルシウムCa(OH)2 水溶液)に通じると、炭酸カルシウム CaCO3 の白色沈殿が生じます。

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炭素を含む物質を燃焼させたり、塩酸 HClなどと反応させたりすると、二酸化炭素 CO2 の気体が発生するので、発生した気体を石灰水に通したときに白色沈殿が生じた場合、もとの物質には炭素 C が含まれていることがわかります。


(3) 水の生成による成分元素の確認
白色の硫酸銅(Ⅱ)CuSO4 無水物に水 H2Oを加えると、青色の硫酸銅(Ⅱ)五水和物 CuSO4・5H2O に変わります。また、青色の塩化コバルト紙に水H2Oを触れさせると、赤色に変化します。

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水素を含む物質を燃焼させると、水H2Oが生成するので、生成した液体に硫酸銅(Ⅱ)無水物や塩化コバルト紙を触れさせて色が変われば、もとの物質には水素 H が含まれていることがわかります。


今回はここまでです。成分元素を調べていく実験って、「お、これにはこんな成分が含まれているのか!」と、自分が"科捜研の女"になったみたいで結構楽しいので、機会があったらやってみて欲しい実験です。


最後にワンポイントチェック

1.同素体とはどのようなものですか?
2.同素体を持つ元素を4つ答えましょう。
3.炎色反応を示す元素と、その色は?
4.塩素を含んでいるかどうかを調べるには、どのような実験をしたらよいですか?
5.炭素を含んでいるかどうかを調べるには、どのような実験をしたらよいですか?
6.水素を含んでいるかどうかを調べるには、どのような実験をしたらよいですか?


次回は、物質とエネルギーの関係について考えていきたいと思います。お楽しみに!

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