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2-1. 物質の分類

こんにちは、おのれーです。今回から第2章「物質の探究」に入ります。(教科書的にはこっちが先なんですけどね、、、)

初回は「物質の分類」について。この世の中にある物質はどのくらいあって、どのようにグループ分けされているのかを見ていきましょう。


■世の中にある物質の種類は増え続けている!

「化学物質」というと"悪"みたいに思われるかもしれませんが、この地球上にあるものは、すべて化学物質でできています。私たちの身体も、食べているものも、着ているものも、すべて化学物質です。決して、化学物質は悪い奴じゃないんです。

では、この世の中には、どのくらいの種類の化学物質があるのでしょうか?

① 20万種類
② 200万種類
③ 2000万種類
④ 2億種類
⑤ その他

答えは・・・・

④です。2020年1月現在、 CAS (Chemical Abstracts Service、アメリカの化学物質登録サービス)には、約2億2700万種類の物質が登録されています。

でも私が高校生の頃(1990年代後半)には、化学の授業で「世の中には化学物質が約1000万種類ある」と習いました。就職した頃(2000年代半ば)に授業で言おうと思って調べた時は、約2000万種類でした。

それから、約15年。物質の数は10倍以上に膨れ上がりました。

下のグラフは、CASに登録されている物質数の推移を表したものです。グラフの一番左側が1965年で、1年刻みで2015年までが記されていますが、この時点で1億種類。さらにここから5年間で、その2倍の数が登録されたことになります。このように、近年、新しい化学物質が次々と開発され、その数は爆発的に増えているのです。

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[CASのプレスリリースより引用]


これだけたくさん存在する化学物質のすべてを、科学者は知っているわけではありません。また、全ての物質が世の中に出回っているわけでもありません。"存在はするけれど、まだあまり知られていない"という物質も世の中にはたくさんあるわけです。

しかし科学者たちは、何となく"この物質はこんな性質だろう"ということを見当をつけることができたりもします。なぜでしょう?

それは、物質を"グループ分け"して、似たような構造を持つものどうしに共通した性質があることを知っているからです。

これから化学を学んでいく中で、いろいろなグループ分けの方法に出会うかと思いますが、今回は、その一番基本となるグループ分けについて見ていきたいと思います。


■純粋な物質とそうでない物質がある?

物質は、他の物質が混ざっていない1種類の物質からなる純物質と、2種類以上の物質がいろいろな割合で混ざり合った混合物に分類されます。

私たちの身のまわりにある物質の多くは、混合物です。たとえば、空気は窒素や酸素などの純物質からなる混合物、海水は水と塩化ナトリウムなどの純物質からなる混合物です。

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見分け方が分からないときは、その物質を化学式で表そうとして見ると良いかと思います。純物質は1つの化学式で表せますが、混合物は2つ以上の化学式を使わないと表すことができません。

例えば、純物質である窒素はN2、酸素はO2という1つの化学式でそれぞれ表すことができますが、混合物である空気はN2+O2+…というように、複数の化学式を使わなければなりません。

ちなみに、入試問題でひっかけ問題として「塩酸」が出題されます。化学反応式を書く時は塩酸をHClと1つの化学式で表すことも多いですが、厳密に言うと、塩酸は塩化水素の水溶液なので、塩化水素と水の混合物です。つまり、HCl+H2Oと2つの化学式で表すのが厳密には正解です。

このように、「水溶液」は溶けている物質(溶質)と水の混合物ですので、気をつけましょう。


■それ以上分解することができない物質とは?

混合物は、いくつかの純物質が混ざり合っている物質です。具体的な方法は次回見ていきたいと思いますが、混合物に含まれる純物質を実験によって取り出し、分離することができます。

では、純物質はそれ以上分けることができないのでしょうか?

例えば、水素H2を分けようとしたら、水素原子2個に無理やり分けることはできますが、原子はさみしがりやで、基本的には一人ではいられないですから、できれば分かれずに水素分子H2のままでいたいものです。

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水素H2や酸素O2のように、1種類の元素からできている純物質のことを単体といいます。単体は、どのような方法を用いても、別の純物質に分解することはできません。

一方、水H2Oのように、2種類以上の元素からできている純物質のことを化合物といいます。化合物は、さまざまな方法を用いることによって、別の純物質に分解することができます。水であれば、電気分解という方法によって、水素H2と酸素O2に分解することができます。

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単体と化合物を見分けるときも、化学式を書いてみると分かりやすいです。単体の化学式の中には元素記号が1種類だけが含まれているので、大文字が1つだけ含まれています。一方、化合物の化学式には2種類以上の元素記号が含まれているので、大文字が2つ以上含まれています。

以上、物質のグループ分けをまとめてみると、下図のようになります。

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■同じ名前でも違う意味で使われていることがある!

単体と元素では、同じ名称でよばれているものがたくさんあります。

例えば酸素だったら、

「人体の質量の約60 %は酸素である」というときの酸素は、人体に含まれている化合物中の成分として含まれる元素としての酸素Oを指しています。

「空気の約20%は酸素である」というときの酸素は、気体の酸素O2(単体)の意味で使われています。

入試問題でもよく聞かれるところなのですが、結構まぎらわしいので、いかに物質のことを知っているかが問われるところでもあります。

少し国語の問題のようになってしまいますが、見分け方として次のようなことを知っておくとよいかもしれません。

・単体 =実際に存在している物質
「~ができた」「利用されている」「~が反応すると」「~ガス」「金属~」など、実際に存在している物質として利用されているような文脈で用いられていたら、単体。

・元素 =物質の成分
「~を含む」「~からなる」「〇〇を構成する~」など、成分として含まれているような文脈で用いられていたら、元素。

例えば、単体のカルシウムは灰色の金属で、水に溶けてアルカリ性を示します。「骨にはカルシウムが多く含まれているので、丈夫にするためにはカルシウムをたくさんとるといい」という文中のカルシウムは、元素として用いられています。もし、骨がカルシウムの単体でできていたら、水を飲んだ瞬間に歯が全部とけて、口の中がアルカリ性になって粘膜も溶かしてしまいます。

いろいろな物質がどのような成分でできているのかに興味を持って学んでいくと、このあたりの見分け方も得意になってくると思うので、ぜひいろいろ好奇心を持って調べてみて下さい。

今回はここまでです。


最後にワンポイントチェック

1.純物質と混合物とは、それぞれどのような物質か?
2.単体と化合物とは、それぞれどのような物質か?
3.元素と単体を見分けるにはどうすればよいか?


次回は、物質の性質を調べていくときに、どのような方法で実験をして行くのか、具体的な方法を見ていきます。お楽しみに!

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