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アップセル、クロスセルがない、カスタマーサクセスをどう評価する?BtoB編

SaaS型のビジネスモデルを構築している企業にとって、「新規顧客開拓」と「既存顧客維持」は継続的に売上を向上させるための重要なポイントです。これらは事業を安定的に展開するために欠かせない要素です。

多くのSaaS企業はサブスクリプション型でサービスを提供しています。サブスクリプション型であれば、解約されない限り定期的な収益が見込めます。単価は低いものの、継続的な収益が得られれば、買い切り型のビジネスモデルよりも高い収益を上げることができます。

さらに、ユーザーに長く使ってもらうことで、機能要望や使用状況を観察し、新しいアイデアや問題点を発見できます。そこから新機能や新サービスをリリースし、上位の商品・サービスの購入を促すことが可能です。このプロセスをカスタマーサクセスの評価軸とすることもできます。

しかし、私たちが扱っているロイロノート・スクールはワンプロダクトでワンサービスのSaaS製品です。アップセルやクロスセルの商品・サービスがありません。そのため、カスタマーサクセスの評価方法に悩みました。具体的な売り上げ数値をつくる指標が継続数のみになるからです。

売り上げという観点で考えると「新規顧客開拓」は攻めになります。セールスとしては大きな案件を受注できるかもしれない面白さがあります。実際に受注できると経営側としても売り上げがたちます。そのため、自然と新規顧客開拓へと力が入ります。

一方、「既存顧客維持」は守りです。解約されると、売り上げが下がります。そのため、マイナス評価がついてしまうのではないか?というイメージが無意識に付きやすくなります。またアップセル、クロスセルがない場合、追加の売り上げ数値がつくりにくいです。そのため、やることがサポートへと軸足がうつります。つまり、問い合わせがきたら対応するアクションのことです。

この悩みは、SaaS型ビジネスの売り上げの責任を担っている方にとって悩ましい部分ではないかなと思います。

では、カスタマーサクセスの評価をどうすると考えた時、私たちはそもそも分けないという発想にしました。つまり、チーム全員で「新規顧客開拓」も「既存顧客維持」もやるということです。
そしてチーム全員で取り組む手法が、うまくいってるかどうかを判断する指標を1つだけにしました。

DAUをあげるという1つの指標

それがDAUを年々あげるという指標です。ここを指標においた理由としては、社内で「キャズム理論」を取り入れていたことが大きいかと思います。

キャズム理論とDAUを掛け合わせることで、チームで目指すべき目標設定を持ちながら、それぞれの小目標を立てられます。そしてやるべきことがフォーカスされます。

  • 新規顧客開拓・・・・各案件のイノベーター、アーリーアダプター層に毎日つかってもらう施策

  • 既存顧客維持・・・・各案件のアーリーアダプター、アーリーマジョリティ層に毎日つかってもらう施策

上記のように、それぞれターゲットは違えど、DAUという共通している小目標があることで、チームの最終目標も達成できます。
結果、継続的に売上を向上させることができるのはないかというのがわたしたちの仮説です。

まとめ

私たちのチームでは、「新規顧客開拓」と「既存顧客維持」の両方をチーム全体で取り組むことで、より効果的なSaaSビジネスモデルを構築しようとしています。そのための指標として「DAUの最大化」を選び、キャズム理論と掛け合わせて実践しています。このアプローチが、同じような悩みを抱える他のSaaS企業にとって参考になれば幸いです。

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