息子のたいよう(仮名)がメロンソーダを飲み始めたのはいつからだっただろう。 それは去年の秋だったか、それとも今年の春だったか、思い出せない。 頻繁にメロンソーダを飲みたがるので、うちの冷蔵庫の中にはメロンソーダが並んでいる。 たいようには自閉症という障害がある。そのため、話しをすることができない。 そんなたいようが、最近、自分の鼻を私の鼻に、ちょん、と重ねてくることが何度かあった。不思議に思った私がこの一件をパパに話すと 「テレビかなにかで見たのをマネしているだけじ
私には小学生の息子がいる。 息子には障害があって、人とコミュニケーションを取るのが苦手だったり、お話ができなかったりする。 そんな息子との出会いは、数年前のことだった。 私は出産を終え、分娩室で休んでいると、横づけされていたベビーベッドに息子がやってきた。助産師さんが抱っこして連れてきてくれたのだ。 黒目がちな目で、息子は私のことをじっと見つめていた。 その少し潤んだような目元を見ていたら、私の中で、なにかがあふれてきて、涙がこぼれそうになった。 会えたね。会え
常に私の心を虜にし続ける食べ物がある。 ふと思い出すというレベルではなく、いつだってそれは私の心の中にいる。 それは、チョコ! チョコレート! 時にはスウィート、たまにビターと気分によって味を食べわけたりしながら食べている間中がなんか幸せ。 しかもチョコレートの茶色の色はあらゆる物の茶色とはちょっと違う。どこかほんのりと温かみのあるステキな茶色だと思う。そんな食べ物がほかにあるだろうか。 しかしある日を境に、私はチョコレートが食べられなくなってしまった。 「チョコが
私は今まで生きてきて、全力で走る人を見るのは、体育の授業のマラソンとか、運動会の徒競走くらいだと思っていた。 しかしあの日、それは完全に私の思い込みであったこと。そしてそれがどれほどまでのパワーを持つのか、思い知らされたのだった。 10年以上前、私は男友達のM太と、とあるテーマパークに遊びに行った。少し汗ばむぐらいの陽気だったが、もともと汗かきで恰幅のよいM太は 「あつい、あつい」 としきりにタオルで腕や首筋に光る粒をぬぐっていた。気がつけばM太の着ていたTシャツ
はじめまして! 伊庭みゆこ(いば みゆこ)と申します。 学生の頃に小説を書いていました。しばらく遠ざかっていたのですが、また最近、急に書きたくなって、ゆっくりと創作を楽しみ始めたところです。 趣味でエッセイや小説などを書いています。 思い返せば、子どもの頃から書くことが好きでした。 昔、こんなことがありました。 小学生の頃、 「伊庭さんがこんなことを考えていたなんて!」と担任の先生にびっくりされることがしばしばありました。 私が作文を書いた時です。 それは読書感想