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金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書 「高齢社会における資産形成・管理」を読んで その4

 今回でこのまとめは最終回となります。今回はここまでまとめてきた現状に対しての基本的視点及び考え方と考えられる対応についてまとめていきます。

 前述の60代の平均的な高齢夫婦の無職世帯をモデルケースとしたときに、収入は年金給付に移行しているなど現役時代と比べて減少していることから毎月の生活においての不足額は約5万円であり、残り20〜30年の人生があるとすると不足額の総額は単純計算で1300〜2000万円になります。当然この金額はあくまで平均の不足額から導き出したものであり、各々のライフスタイルによって大きく異なりますが、いずれにせよ長く生きることに応じて多くのお金が必要となり、それに応じて資産寿命を伸ばすことが必要となります。

そのために具体的に必要な考え方と対応として

・自分が想定するライフプランに伴って必要な収支や資産を「見える化」する

・公的年金制度(退職金制度)に加え、個々の望む生活水準に対しての「自助」(iDeCo、積み立てNISA)の充実

・認知や判断力の低下は誰にでも起こり得ると仮定した事前の備え(成年後見人制度など)の必要性 

以上が挙げられると思います。

 また、資産形成、管理を行う上での各期での心構えとして

現役期は出来うる限り早い時期からの資産形成の有効性の認識、その上で生活防衛資金を確保しつつ、将来に向けて少額からでも長期・積立・分散を意識した投資による資産形成を開始していくことや実際に資産形成に取り組む中で金融リテラシーを向上させていくことが、

リタイヤ期前後はその時点での資産状況を確認しライフ・マネープランの再検討、中長期的な資産運用の継続とその後の計画的な取り崩しの実行が、

高齢期は心身の衰えを見据えてのプランの見直し、具体的には医療費や老人ホーム入居費などのマネープランの見直しや認知判断能力の低下・喪失に備えての手続の簡素化、成年後見人制度なども活用した他者のサポートによりこれまでと同様に金融サービスにアクセスしやすくしておく、

といったことが重要であると思います。



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