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炉開き②

今日、大阪は午後いっときだけ強めの雨が降りました。今晩は十三夜ですので、雲が無くなって月がきれいに見えるとよいですが、いかがでしょうか。

炉開きの目安とされる、旧暦亥の月亥の日は今年は11月13日になります。立冬は11月8日。お茶をなさっている方なら、そろそろ今年の風炉のお稽古も最後を迎え、「もう炉の季節か、早いですねぇ。」と半年ごとのお決まりの会話を交わされているかもしれませんね。

茶人にとっては炉を開く日が気になる亥の月ですが、江戸時代、多くの人にとっては炬燵(こたつ)開きといわれるような暖房器具を使い始めるのが亥の月でした。そして、なんと旧暦亥の月の最初の亥の日は武家の炬燵開きの日、そして二番目の亥の日が町人や職人などそれ以外の階級の炬燵開きの日、と区別されていたとか。どれだけ寒かろうと身分によって暖房の使い始めまで規制される、現代から考えると驚くような決め事です。

お茶の世界では、炉開きはそもそも旧暦亥の月亥の日と完全に決まっているわけでなく、柚子の色と言われるように寒さの深まり方を見ながら個々に判断して差支えないとされています。お茶を嗜んでいる人に、身分によって炉開きの日を分ける考え方を持ち込んでいたら、後の時代にお茶はそこまで栄えることは無かったかもしれませんね。とはいえ位の高いお客様には、異なる道具を使ったり、縁の異なる畳に座っていただいたり、と身分によって対応を変えるということは行われているので、全てにおいて階級の差から解放されているわけではないのですが。

今日の菓銘は「秋あざみ」。
秋咲きの種類もあるようで。花には棘がありますが、お菓子だと使いやすいですね。今回調べていると、キク科の植物なんだとか。

この時期はいい催しが多いので、時間を見つけて博物館にも足を運んでいます。明日からは正倉院展が始まるので、これも楽しみです。

そろそろ来年のおせちは何を作ろうかと考え始め、なんとなく忙しない(せわしない)気持ちになってきています。皆さまも、お忙しい中でも温かいものを飲んだり食べたりもして、どうぞご自愛ください。



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