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季節のお点前 ~名水点~

梅雨入りした地方も多くなる中、街中ではあちこちで紫陽花が目に止まります。書いていて、そういえばかたつむりはここ何年も目にしていないことに気付きました。街中だからなのでしょうか・・・。

6月や7月に幣(ぬさ)をつけたしめ縄を巻いた木地の釣瓶水指を使う名水点の御稽古をなさる方も多いかと思います。水指の中身は名水、かつ御神水が望ましいとも言われます。

この名水、昔ならかなり早起きして汲みに行き、えっちらおっちら担いで、場合によっては大八車などにいくつか桶を載せて運んできたのでしょうか。今よりも神社などに水源が残っており、比較的近場で入手できたのかもしれませんが、本人にせよ使用人などにせよ運ぶのは人力が基本で、持ち帰るのは大変だったことと思います。

現代に生きる者としてそろそろ考慮に入れないといけなくなっているのでは、と思うのが、この水の入手方法です。数年前からニューヨークの高級レストランなどではお水をどうするかと聞かれると「Tap water(水道水)」と答える方も多くなっているとか。ミネラルウォーターだと、やがてゴミになるペットボトルに詰めて、ガソリンを燃焼させ排気ガスを出す車で運んでくることになるので、サステナブルでないから、と。

すると名水にしても、お茶の世界で従来言われてきた条件に加え、この現代に生きる者としては、車でびゅんっと行って汲んでくるのではなく、公共交通機関を使って運ぶ方がより望ましいか。

わたし自身は、友人の夫君が昔水道局で仕事をしていたことがあり、その質の高さをとても誇らしそうに説明されて以来、普段の生活は水道水で十分との考えできたのですが、名水の場合、それなりの量を運ぶのは体力も要るので、公共交通機関で運ぶにしてもある程度の年齢までしかできないなとも感じます(既に最近腰を痛めがちで・・・)。また知り合いから、とある成分が彼女のお子さんにはよくないから、お医者様から水道水は飲まないように言われた、という話も聞きました。現代の事情も大事ですが、目の前の方の健康への配慮ももちろん疎かにはできません。

いつでもこうするべきという答えは無く、お客様の事情、己の事情、現代社会で問題になっていることも考慮した上で、名水をどう入手するか考えないといけない時代になっているのかな、と考えたりする今日この頃です。

本日の菓銘は「沢辺の蛍」。
幼い頃は近くの田んぼで見ましたし、学生時代は近くに蛍狩りの名所があり、サークル仲間と繰り出して見に行っていましたが、もう何年もご無沙汰です。和菓子で見る度に、若い頃の楽しかった時間を思い出します。

そうそう、今日発売の雑誌クロワッサンで和菓子バイヤーの畑主税さんとスイーツジャーナリストの平岩理緒さんの和菓子に関する対談が掲載されています。茶道によりそう和菓子というより和菓子のこれから・・・という感じの内容ですが、ご興味ある方はご一読を。

お出かけの際は、天気予報もよくよく見ていきましょう~。



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