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茶道を始めることで変わっていくこと⑧

最近曇りの日も多く、着物を着て出かけやすいか予報とにらめっこする日々です。先日お菓子屋さんと話していると「春に向けて雨の多くなる季節ですよねぇ。草木もこの雨で芽吹き出すのでしょうねぇ。」と言われ、着る物程度のことで自然に文句を言ってはいけないと、つい自分本位になっていたことを反省しました。

「茶道を始めることで変わっていくこと」とのお題で書いていくどこか途中で触れようと思っていたことなのですが。よく書いているように、これは茶道でなくてもスポーツや音楽、その他の趣味でも打ち込んでいるものがあるなら、似たようなことは起きると思いますが、茶道を続けて行くことで、それまで気付かなかった自分のいいところ、悪いところに気付く、即ち己を知る、ということがあります。

病の名前や原因が判ってこそ有効な治療が出来るように、「(彼を知り)己を知れば百戦危うからず(孫氏)」と言うように、己を知ることは自分の生をよりよいものにするための第一歩です。

茶道の場合は、お稽古を一生懸命やっているつもりでも、何度も同じ注意を受けて、思っていたより自分って物覚えが悪いんだな、と愕然としたり(←わたしのことです)、あ、でもわたしは周りの方より手先は器用かもしれないな(←わたしのことではありません・・・)など、一人で過ごしていた時間を師匠や茶友と過ごすことによって見えてくることがあります。

大事なのは、自分の悪いところを知って落ち込むのでなく、よいところを知って慢心するのでなく、それを知ったことでどう先に生かすか、ということです。点前や周辺のことを覚えるので精いっぱいの時期を経て、こういったことを俯瞰できるようになると、またお稽古の楽しみ方が変わってきます。そしてそれによりお稽古の中にとどまらず、お仕事や普段の生活、場合によっては人生までもよい方に変わっていく可能性も。

お菓子やお花も楽しみの一つではありますが、お茶のお稽古を続けていくと、こういう「楽しさ」を知ることがあるかもしれません。

写真のお菓子は外郎(ういろう)の内側に少し緑を含んでいます。菓銘は「早春」。
緑で春の新芽を表しているのでしょう。樹々の芽吹きも少しずつ目にするようになり、春は間違いなく近づいていることを感じます。

新型コロナウイルスの流行が騒がれ出して丸三年。身近な春の兆しが以前より心に沁みるような気がします。

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