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「境界戦機」とは何だったのか 第2回 自治区激震編

境界戦機ファンのみんなごきげんよう、ランガタロウです
前回の記事はいかがだっただろうか?面白かったなら感想を書いたりTwitterで拡散して欲しい

前回の記事ではシンプルに駄目なところだけを箇条書きしたような内容になってしまったのでそこを反省しつつ今回も右寄りな思想と日本人の魂がスクランブルする境界戦機でシンプルに昔ながらのアニメに向き合っていこう。

作品の本質が何故かバトルの無い回にありけり

境界戦機の全てが詰まったDASH村編

境界戦機という作品はいったいなんなのか、それが詰まっているのが第8話である。

戦火で家を失い、避難所も閉鎖されたために住む場所を失ったフドウさん一家のために電気も水道も通ってない廃村をレジスタンスのみんなで修復する。あらすじだけ書くと心温まる回に見えるが実際にお出しされた物が凄いので凄い。

まずわざわざ見せられるフドウ一家の家系図がもう面白い、サザエさん一家の家系図を「カツオとワカメが結婚したあとぐらい」の人数に修正したような古き良き日本の家族の家系図がお出しされる。

この古き良き日本という概念は境界戦機を見ていく上で意識すると噴き出すぐらい笑うので覚えて置いて欲しい。

そしてこの一家「一週間ほど前から」この電気も水道も無い廃村に寝泊まりし、魚を釣ったり水は川に汲みにいってなんとか凌いできたという…

電気も水道も無いところで良く1週間も保ったな?!?!?(備蓄食料として映し出されている新鮮な野菜がなぜか入った籠を眺めながら)
一週間前から住み始めたってことは野菜は間違いなくどこかから持ってきたものだと思うけど 冷蔵庫も電気も無い場所で一週間保管されている程度のことはもはやジャブなので流すとしよう。

こんなガバガバな一家をちゃんと暮らせるようにインフラを整える手伝いをすることになったレジスタンスに主人公は「人助けかぁー 本当にこんなことするんだね」とこぼす それに対して2号ライダーのガシンが「八咫烏(レジスタンス)ができることは戦闘だけじゃない、戦争で居場所を失った”日本人”(強調)を助けることは日本の復興に繋がるはず 代表はそう信じている」と。

前回の記事を読んだ人は覚えているだろうか
この境界戦機というアニメ レジスタンスが自分から攻撃を仕掛けたりする作戦が一個も劇中に出てこないという話を。

視聴者的にはこの回が初めて「レジスタンスの仕事」を見せられる回なので、「戦闘以外もやるんだ」と言われてもとても困る。まず普段を知らないんだよ!!!

この「レジスタンス組織は戦いだけでなく難民支援もやっている」という要素だけ抽出すると何もおかしくないのに実際に30分のエピソードとしてお出しされると、出てくる物の細かいことが何もかもおかしいのが境界戦機らしさとも言えよう

今までの回では他国の軍人が日本人を差別しているという形での「思想」が出ていたかが、この回では違う意味で「思想」が出てくる。そしておそらくこのアニメの根底にある変な思想の正体が見えてくる。

フドウ一家の息子の一人が手伝いもせずにスマホでゲームしているのを「外は良いぞー!」と連れ出し 外で左官作業をさせ、みんなで手作業で肉体労働をし、おにぎりを食べて「うめぇー」。次の日には「外で汗かくの最高っす」と壁塗り作業する立派な日本男児へと思想教育が終わっていた。

なんかこういう細かいところで「日本のあるべき姿」みたいなものを見せられていて「日本を取り戻すための戦い」という主張も「他国に侵略された日本を取り戻すんじゃなくて”こういう”日本を取り戻したいってこと??」って話になってきて雲行きが怪しくなってくる。

全然関係ないがこの一連の流れもめちゃくちゃガバガバで、フドウ一家は避難所を追い出されてこの電気も水道も無い廃村に一週間前から住んでいる設定なのにスマホゲームで遊んでいる、もちろん未来のスマホならそのぐらいバッテリーが持つ可能性も考えられなくはないが、たぶん何も考えてないと思う、ていうか電気無いって言われてるのにスマホゲームやってるこいつの胆力も凄いな…

そして左官作業を「筋が良いな」と褒められると「Eスポーツの左官部門でチャンピオンだったことあるんで」と答える

Eスポーツの左官部門?!?!?!?!

2064年の日本ではEスポーツの種目に左官が存在するのかい??!?!

Eスポーツで左官も衝撃的な話だが、ここで境界戦機の基本設定を思い出して欲しい、日本が占領されたのは主人公であるアモウが生まれる前であり、もう数十年日本は占領された後の世界になっている。そして日本人は差別されている

その状態Eスポーツの大会が開かれて普通に日本人が出て普通にチャンピオンになっているということが世界観設定とぶつかって交通事故を起こしているし、そんな元チャンピオンが紛争の影響で家が無くなって山奥の廃村に住んでるならもっとなんか世の中の反応がありそうなものだがそいうのもない。

ただ「Eスポーツにハマっている少年に、ゲームより外で労働する方が素晴らしい」と言わせるためだけにこの少年に「Eスポーツ」という設定が生えていることに気がついた時筆者はかなり恐怖した。

境界戦機のマジでヤバい思想っていうの「アジアの某国をやたら悪者にする」ことよりもこの回みたいな「なんかいかにもな保守系家長父思想」の方だと思うんだけど まぁあんまり境界戦機レビュー系の人でここ触れてる人がいなかったのであえて強めに触れておく。

で、この回はまぁ一家をレジスタンスが支援するだけの回なので当然メカ戦は無いのだが なぜかロボットそのものの出番がない。

畑を起こすために土を掘り返し どかした岩を猫車で運ぶシーンが挿入されるのだが「それ、主人公達のロボが3体もあるんだから それでやれば良くない?」って話である。∀ガンダムが洗濯物を干したり、チェインバーの太陽光で熱くなった装甲で焼肉をしたり。ロボットアニメの巨大ロボットの個性というのは戦いだけでなくこういった場所で見せられるものではないのか?と思うのだが頑なに登場しない。

最後には最新のセンサーで地下水の場所を特定して井戸を掘るが、硬い岩盤にぶつかってしまって掘るのが難しいという話になる

主人公のロボを使えばいいのでは!??!?!!?

でも決して絶対に主人公のロボは使わない。
最後には主人公ロボのAI ガイの提案で作られたレーザー掘削機を使って掘る。

でも何故こんな展開だったのかみんなは察しがついたかな?Eスポーツ少年に「外で身体を動かすのは楽しいだろう」と仕込んだ以上 主人公達にロボットを使って楽をさせるということは決して絶対にしないのだ。

もちろんその結果 巨大ロボから「主人公たちの持っている力 キャラクターとしての拡張性」みたいなものが薄れてしまって魅力が無くなっているが、作品が伝えたいテーマや思想の前では些細なことだったのだ…

そして、古民家を手作業で住めるように改装していく様にDASH村編などと言ってるし、お話の最後にフドウ一家が「村を住めるようにしてくれてありがとうございます」と言うので村なのは間違っていないのだが。

この村に住むの フドウ一家一世帯のみなので村でも何でも無い。
日本で一番人口が少ない村でも170人ぐらい住んでるらしいのだが、ここはフドウ一家9人1世帯のみが入居である。む、村でもなんでもねえ!!!!

だが、このエピソードを通して主人公が学んだ「人助け」の精神は最終回に繋がる伏線なので覚えて置くように(指示厨)

取り戻せ独立の精神 日本人自治区回

さて、第9話ではまた別の場所で物語がスタートする
ちなみに8話で作った村だが 次回予告で「村作り楽しかったねー」って言うだけで今後登場しない そういう出した要素を積み重ねないところが駄目なんだぞ。

まぁとにかく今回は2号ライダーであるガシンがメインのエピソードだ、アモウと違って幼少期からレジスタンスに所属し、同じくレジスタンスだった父の敵討ちのために戦っている。

そんな彼の兄貴分だったユウ兄はレジスタンスを抜け、なんと街を作っているというのだ。

彼が作ったという街、それはアジア協商連合と交渉を重ねて作った日本人だけが住む非公式の日本人自治区だったのだ!

ちょっと待てい!!!(相席食堂)

前の記事でも言ったけどこのアニメ、日本が占領されてる割に街に住んでるのもみんな日本人だし、外国人として出てくるの占領軍の軍人ばっかりで占領されてる感が無いって話したばかりなのだが。

その状態で「ここは日本人だけが住んでて他国人が住んでない日本人だけの街だ!」って言われても 困る!!!!!!!!!!!!

まぁこのぐらいのガバは境界戦機のジャブなのでスルーしよう。

とにかくみんな日本人だけの街に住めてハッピーだし、ユウ兄はこういった活動を広げて日本人だけの街の数を増やして日本人を救うつもりらしい。
そしてユウ兄はガシンに告げる「レジスタンスを抜けて俺と街づくりをしないか?もう銃を持つのはやめろ」と。

だがレジスタンス御用達の武器商人から「ユウ兄がスパイである」という情報がもたらされる。ガシンは実体を知るために街の様子を探るのだが、街のあちこでは物資の配給が滞り、薬局にも注文した薬が入荷していない有様。

なるほどこれがこの街の実体なのか…と視聴者が思っていたその時、ガシンのパートナーAIが言う「人間とは贅沢な生き物だ ここの日本人の生活水準は高い だがそれに慣れてしまえば別の不満が生まれる…」と

ちょっと待てい!!!(相席食堂)

はい、実際にアニメを見た人と前回の記事を読んだ人は知ってますよね?
この世界の日本でアジア連合に支配されてる場所はコンビニに商品がパンパンに入ってておにぎり100円セールやっててお好み焼き屋の生ビールが中ジョッキ500円の世界だと。

そして日本人自治区も同じくアジア連合の支配地域に作られたものであるという設定なのである。

どう考えても生活水準が高いわけないやろ!!!!!!一番日本人差別酷いところですらコンビニの補充がちゃんとしてるのに、薬局に何週間も薬が届いてない日本人自治区の「生活水準が高い」ってなんでやねん!!!!!

こういうところなんです 境界戦機のこういうところなんですよ。前の話で描いた映像と今やってる話が話数をまたぐと繋がらなくなるので今してる話に説得力がでてこないんです。

でもまぁこういうガバは天然なので受け流して次に行きましょう。

日本人だけの街のはずなのに市庁舎にはアジア軍の人間が訪問しており「条件(レジスタンスの次のキャンプ地を突き止める)を飲めば物資の配給を優先してあげよう」という非常にわかりやすい脅しが入る。

まぁつまりこの話のテーマは「交渉で譲歩してもらっても日本国の真の独立とは言えない」みたいなやつである 急に政治思想帰ってきたな。

銃を使った血が流れる闘争よりも諦めずに交渉でなんとかしていきたいユウ兄と、それでも銃を取って戦う方を選んだことでユウ兄と決別するガシン
それでも「銃を持っての戦いでも人は救えるはずだ…」と自分の決断に少し悩むガシン

間のガバガバ具合に目をつぶればなんかキャラが立ってていい感じの悩みであるとってもロボットアニメの主人公っぽい悩みだね 問題はこいつは主人公じゃないということなんだが。

ところでこのエピソードでガシンに提示された「銃を持っての戦いでも血を流すだけで無く人は救えるはずだ」という悩みは次の話で
巨大ロボットに乗ってスナイパーライフルを撃ちまくって ピンチになっている別のレジスタンスの救援に成功した時に「銃でも人を救える」と納得することであっさり解消されるのだが

「銃でも人を救える」ってそういうことではなくないですか?!?!?!?!

ユウ兄は民間人の血が流れる話をしてたしガシンも民間人の血が流れる話をしてて これ以上血が流れないために銃を捨てて交渉で戦うユウ兄と これ以上血が流れないよう戦いに勝つために銃を選ぶガシンの対比で終わったのに レジスタンスの戦闘員を救う度に敵軍を撃って「人を救ったぜぇ!」は違うんじゃない??? こういうところだよ???毎回毎回テーマの消化が変じゃない???


そして次回へ

はい、今回は伝説の回と名高いDASH村編と自治まんじゅう編の話したら文字数がオーバーがしたのでここで終了となります。

次回は境界戦機レビューを書く人の中でも評価がわかれる境界戦機のロボバトル要素についてや、実はコンテンツの根幹に関わるAIの話について触れていこうと思います ではまた次回までごきげんよう。

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