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29【捨てる神と拾う神】

5月30日 13:00

軽く昼食を終え、再度 食道胃腸外科に向かう

ただ、事前にM先生の診察は
時間がかかるので時間通りには進まないと
聞いていたからじっくり待つことにする

実はこのときすでに

セカンドオピニオン先には連絡を済ませていた


5月27日に
国立がんセンター東病院には電話を入れ
セカンドオピニオンを受診んする場合の
段取りをきいており、C大からの紹介状を
受け取った段階で電話予約が可能であることを
確認してあった。

ただ、その書類が本当に手元にあることを
確認するために宛名になにが書いてあるかを
聞かれるという情報を金田さんの本で知っていたので
看護師さんにC大の場合の宛名を確認し
昼休みの間に予約の電話をいれた

最速で6月3日金曜日朝9時とのことで
放射線治療科のA先生に予約をする

セカンドオピニオンは
自分が治療を受けたい科ごとに
受ける必要があって
一回あたり33,000円の自費がかかる

何科で受けるかは相当悩みに悩んだ


化学療法を含めた
トータルの治療方針を聞くのであれば

腫瘍内科

が良さそうであり

放射線や陽子線が
アタシのガブちゃんに効くかどうかの
確認であれば

放射線治療科

であり

手術という選択肢があるのであれば

消化器外科

ということになる


金田さんの本から
国がん東はどの科の先生も素晴らしいことは
知っていたのでできたら
ここでの治療を強く望んではいたけれど
ムウの1番の望みである

”切らない”治療でいくと
放射線か陽子線しか今のところない


それを聞くにはA先生しかないというわけで
それを選択するにいたった


この時すでに、ムウのガブちゃんが腺癌という
種類であることが濃厚であったため

おそらく、その治療法も
ムウには難しいことは自覚していた

(信じたくなかったけれど)


なので代替えとして仮に手術をする場合
どんな術式の選択肢があるかも調べ尽くした


一般的には食道を喉元から胃の接合部までと
胃の噴門部を3分の1程度切除して
胃を持ち上げて繋ぐ

”胃挙上再建術”が一般的


ただ、この手術の場合、本来あるはずの
食道と胃の間にある逆流防止弁がなくなるため
食べたものが逆流してくる可能性が高い


なので食後4時間ぐらいは

横になれず座っていなくてはならない


そもそも横になって寝られない人もいる

また

ダンピング症状

といって
小さくなった胃で消化しきれないままに
一気に栄養が小腸に流れるため
一時的に高血糖状態になるためそれを抑えようと
大量に血糖を下げるインスリンが
分泌され必要以上に血糖値が下がってしまうので

ねむけ、だるさ、貧血、めまいが起こる


食べた直後と食べて2−3時間後に起きるから
これがまたやっかい

あと、食道を喉元まで切るときに声帯の神経や
飲み込みを司る神経を触るので
声がでなくなったり飲み込みが悪くなり
誤嚥を起こしやすくなって肺炎で命を落とす場合もある

これだけのリスクを承知の上で
胃挙上再建術は選択しないといけない

そこに一筋の光があって
実は食道がんの患者会の立ち上げメンバーの一人に

回結腸再建術

という術式を選択した人がいることを知った

胃を持ち上げる代わりに回結腸という腸の一部を
切断しそれを食道の代わりに再建するというもの

これの利点は回結腸にそもそも備わっている
逆流防止弁が食道につくれることで
逆流を防ぐことができること

逆に難点としてはそもそもどれでも大手術ではあるけど
さらに腸も切ったり貼ったりするのでさらに大手術になること

そして腸の癒着や下痢が増えることなどが挙げられていた

だけど術後のQOLを考えたら
少しでもマシである方がいいに決まってるし
ずっと横になって寝られないなんて地獄だーー
とおもったアタシは手術をするのであれば

これしかない!

と思っていた

そして、その手術をしているのは
虎の門病院のU先生の
チームしかないこともわかった


確定診断のあと即、セカンドオピニオンの予約をいれ
翌週には方向性を決めるつもりでいたので
5月27日の金曜日の夕方、
虎の門病院のWEBサイトからその旨問い合わせをしていた

するとなんと翌日土曜日お昼に

U先生から直接、アタシあてにメールが届いてた


滝川さま

メール拝見しました。
C大での診断次第ですが
1)治療方針;手術 もしくは 
化学放射線治療 の選択の相談 →セカンドオピニオン

2)手術について理解している → 通常の外来受診
で、いかがでしょうか?

通常外来はあまり時間が取れないので、治療方針の相談は
時間が確保できるセカンドオピニオンで受けていますが、
手術について納得しており、再建法などの選択ならば、
やや時間はタイトですが、通常外来でも対応します

診療情報提供書と画像データを用意していただき、
受け取れる日がわかりましたら、セカンドオピニオン、
外来ともに予約可能です。ご連絡ください

当院、医療連携部への連絡で、どちらも対応します
連絡がうまくいかないときには、このメールにご連絡ください

消化器外科
U



本当に嬉しくなった
これぞ、患者の安心を考えた対応じゃないか!
一般に公開されている問い合わせフォームから
問い合わせたからきっと担当部署の事務方から
何日かあとに連絡が来るものと思っていたムウにとって
それは後光輝く拾う神の登場!!であった

この先生ならムウを任せてもいいかもしれない


そう思わせてくれる先生がこの世にいたことに
深く深く感動をした

実はこの術式
医者にしたら相当、手術の難易度があがり
手順も増え、時間も延びるため面倒で
もちろんリスクもあがるため
本気で患者の術後のQOLをよくしようと考える
先生でなければ選択しない方法だと後でわかる

(だからいま日本ではこのチームしかやっていない)

ちなみに手術のあと退院できずに亡くなる人の
全国平均が4−10%なのに対して虎の門病院は
0.3%という驚異的な数字を叩き出している

昼休み、
国立がんセンター東病院の
セカンドオピニオンの予約が取れた直後に
虎の門病院に電話を入れ
一番早い予約として6月6日に外来予約を入れた
(この段階に進んだ場合はもう外来でいいとの判断で)

この段階でなんとなくの腹は決まっていて
一縷の望みをかけて放射線の先生に聞いてはみるが
手術しか選択がないならこの先生のところに行こうと。

そんなこんなの昼休みを終え、
M先生の診察室前で待つこと2時間

15時になってやっと呼ばれる

朝からずっと診察をつづけているであろう
お疲れ気味の顔ではあるが優しそうな先生

M教授のときにまったく聞けてなかったことを
一つずつ丁寧に教えてくれる

・ステージ3の診断に至った理由
・横隔膜転移があった場合の対処(一緒に取れるから問題なし)
・ガブちゃんの位置と大きさ(4cm大で食道の半周を占める)
・腫瘍マーカーなど血液の値(異常なし)
・放射線が腺癌に効く可能性が低い話
・抗がん剤を使う場合と使わない場合のこと
・手術を選んだ場合のスケジュールやチーム体制
・治療が始まるまでにやっておいたほうがいいこと
・痩せることを恐れているが恐れなくても大丈夫なこと
・日常生活をどうすごせばいいのかのアドバイス
・出して欲しい薬の処方
・セカンドオピニオンの病院の情報(どちらの先生もいい先生だ)
・紹介状をいつまでに書いてもらえるか(翌日のお昼まで)

というようなことを1時間近くかけて
こちらの質問がつきるまで丁寧に話してくれた

そしてなにより

あなたのガブちゃんは 治りますから


と言ってもらえた


体力もあるし若いしおおきな転移もないし
手術してガブちゃんを天に昇って貰えば
しっかり完治を目指せるガブちゃんですから


がんばってください

 と

テーミも母ももちろんアタシも
この言葉を今日、聞けたことで
どれだけ救われたかわからない


もうダメかもしれない
この人たちを置いてさきにいってしまうかもしれない

と思いたくなくても思ってしまう状態から

アタシ、生きられるのね
ちゃんと治るのね

と思えたんだから

あーあ
最初からこの先生だったら相当救われたのに

最後の最後に

よく勉強されてますね

もしかして食がんリングスの市民講座みましたか?

ときかれ、

もちろんです、全部みさせてもらってます!

と答えたら

私も少しだけ最後の方に出てるんですよね
といってくれた

なんだ!!
この先生も患者のことを一生懸命考えてくれてる
あのメンバーのお一人だったのか!!

となったのでした。

捨てる神あれば拾う神あり


あー いと嬉し
あー いと可笑し


また今日も長くなったけど
そんなこんなジェットコースターのような
1日のお話でした^ー^ーーー

教訓
:捨てる神あれば拾う神あり
:周到な準備はなによりも大切
:世の中捨てたもんじゃないよ

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