イタリアのクリスマスに欠かせない「あの」お菓子もアレルギー対応し始めた 美食の国イタリアで突然小麦アレルギーになる(6)
クリスマスが近づいてきた。
イタリアでもアドベント期間に入ると同時にクリスマスマーケットが始まった。特に私の住む南チロルのクリスマスマーケットは本場ドイツのクリスマスマーケットの雰囲気を国内で楽しめるという事で毎年多くのイタリア人観光客が押し寄せる。したがってこの時期は都市部に行くといつもよりイタリア語が聞こえてくるようになり
そうだ、ここはイタリアだった
と思い出させられる時期である。
アレルギーになってからクリスマスの「食」の楽しみがなくなる
クリスマスマーケットを楽しむ為には
飲み食い
が絶対に外せない。
現に昼時にクリスマスマーケットに行くと、クリスマスオーナメントやチロル木彫りの民芸品を売るお店は閑散としており普段なら絶対目を向けないだろう!と言いたくなるようなゲルマン色溢れるパンやら煮込みスープを嬉々として食べるイタリア人でごった返している。以前なら私もこの群衆と共にチーズにまみれたじゃがいもを食べたり、ドイツパンを頬張って楽しんだ。しかし今は小麦を使ったものはもちろん、更に牛乳を使ったものもダメになってしまったので正直クリスマスマーケットでは食べるものがない。小麦粉の生地を油であげてたっぷりの粉砂糖をかけられた魅力的なお菓子も二度と食べられぬものになった。
アレルギー対応のものが店頭でも見かけるように
詳しくは知らないのだが、ここ数年でグルテンアレルギーをはじめさまざまな食物アレルギーが増えているらしく、それもあって食料品を扱う人はアレルギー対応の食材をいやでも意識して取り揃えないといけない状況のようだ。そのおかげで以前と同じようにとはいかないものの「食の選択肢」は急速に拡がってきている事を実感している。
例えば、イタリアで欠かせないクリスマスの焼き菓子といえば
パネットーネ
である。もちろんイタリアも広いのと地域色が濃いのでパネットーネ一括りにしてしまうとお叱りの声を受けるかもしれないが、我が自治県でも「一般的」なクリスマスのお菓子としてスーパをはじめ店頭に所狭しと並べられている。このお菓子は小麦粉が使われているのでアレルギーだとまず食べられないものであった。以前の入手法の一つとして薬局に行くと期間限定でグルテンフリーのパネットーネが売られていたが数も少なく、味も「ないよりはマシ」と言ったところか。そして「グルテンフリーのみ」「ラクトス(乳糖)フリー飲み」「シュガーレスーのみ」といった一つのアレルギーのみへの対応だけで複数のアレルギー持ちでは食べられないのが普通であった。
それがどうだろうか。今年は私の住んでいるようなスーパーでも「グルテンフリー対応パネットーネ」や「グルテン・ラクトスフリーパネットーネ」まで数種類取り揃えられている。これには大変驚いたし、思わず手が伸びたのは言うまでもない。
「買いたい時」 「食べたい時」 に入手出来る喜び
食物アレルギーだと
「何を食べたい」
ではなく
「何が食べられるか」
というところから食べもの選びが始まる。
「美味しそうだな」「食べてみたいな」
から手を伸ばして買うということはできないものだ。
それが遂に今年「クリスマスのパネットーネ食べたい」と思いスーパーに行ってアレルギー対応のパネットーネを手に取り会計を済ませ簡単に手に入れることができるようになったのだ。オンライン市場も年々アレルギー対応のクリスマス時期に食べるお菓子が増えている。老舗のお店まで参戦し出しているのには驚いた。
そんな訳で私は今年は今までのぶんを取り戻すかのように毎日少しずつアレルギー対応のパネットーネ、そして北イタリアの地方都市ベローナが誇るパンドーロ、こちらもアレルギー対応を物を黙々と食べている。
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