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建築家のお仕事見える化vol.2【敷地調査】

設計の依頼を受けてから、ヒアリングをしてプレゼンテーションを行うのですが、それまでには結構地味な下調べが必要だったりします。建築家がどんなことをやっているか?簡単に説明したいと思います。

前回は【敷地&役所に行く前のネット調査】について書きました。現地に行かずともやれることが結構ありますね。下調べの次は実際に現地で確認する事を書いていきます。

※これは私の場合の手順ですので参考までに

①敷地境界線の確認

敷地はどこか?というのがまず最初の確認事項です。当たり前かと思うのですが、これが意外に境界が曖昧だったりすることがほとんどで、明確にここからここまで!とはっきりわかる事が少なかったりします。

確認の仕方は簡単。上の写真の様な境界鋲を見つけること。これ以外にもいろいろな形があります。道路の脇で見かけた事がある人も多いのではないでしょうか?これが敷地の境界線の端っこです。

この点を結んでできたエリアが敷地になります。ない場合はお隣との境界をはっきりさせるために境界確定(隣接する土地の所有者と境界を合意すること)を行う必要があります。

時々古くからある土地だと、隣の家の塀が自分の敷地に建ってる!なんてこともあるので、土地購入の際はそこのあたりの確認も不動産屋さんを通して行っていきます。

②道路境界線の確認

通常は道路側の境界線は境界鋲を結んだラインになります。ちょうどL型側溝(上記写真)の端っこのラインがそれに当たる事が多いです。

ただ、必ずしも境界鋲のとおりにならない場合があります。古くから建っている住宅だと、境界線が曖昧になっていたり、前面道路の幅が足りないことで敷地側をセットバックしなければならなかったり。

前面道路が狭い場合は測ってみて4mあるかないかをチェックします。この4mが条例の手続きに関わるボーダーラインなのです。この道路のセットバックについては改めて書きたいと思います。

③境界塀や土留めの確認

境界のラインを確認したら、土地の高低差や塀が今回の敷地に入っているかなど、周囲の確認を行います。

平坦な土地にコンクリートブロックの塀やフェンスが建っている場合は、それが隣の土地と敷地のどちらに属しているかを確認します。

お隣の土地に建っていれば、どんなにボロボロでも勝手に作り替える事はできませんし、境界線上にある場合もお隣と協議して塀をどうするか決めなければなりません。

さらに、コンクリートブロック塀の安全性を確認して補強工事が必要かどうか等も検討していきます。ここは工事費にも影響してくるので、複雑な場合は現場の状況を工務店さんに相談しながら計画案を決めていきます。

④インフラの確認

既設のものを再利用する場合は水道メーター(上記写真)、ガス管の引き込み位置、電柱の位置などを確認していきます。

もちろんお金をかければ移設することもできますが、なるべく既設の位置で計画できる様に、アプローチの計画を考えていきます。

旗竿地の場合は引き込み柱というその敷地に電線を引き込むための電柱を建てなければならないので、そう言った場合は大元の電柱と引き込み柱の位置関係を想定しておきます。

⑤周辺環境や光風などの動きを確認

ここまで大前提となる敷地の状態について確認してきましたが、最後は環境について確認します。事務的に確認できる内容だけでなく肌で感じる部分も見ていきます。

個人的には敷地調査はなるべく晴れの日の午前中がいいと思っています。まず雨の日はメモも取りにくいし、長さも測りにくいし、物理的に動きにくい!笑

加えて太陽の動きも見えにくいし、風もよくわからないし、雰囲気も暗い!ということで、単に私が雨が嫌いというわけでなく、環境の部分がよくわからなかったりします。唯一、雨が降った際の水捌けの向きがわかるくらいです。

ここで、庭やバルコニーはこっちがいいな、駐車場はこうやってアプローチした方が止めやすそうだな、玄関はこっちの向きかな、と妄想して、なんとなくの全体像をイメージします。

次回は【役所調査】について書こうと思います!

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