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台所のタイルを選ぶ

「台所の壁は、大理石かタイルにしましょうか。」設計士の川口さんが言う。

私の答えは迷わず、”タイル” である。どこかにタイルを入れたかったので、待ってましたと言わんばかりに心躍る。なんでだろう。タイルって心ときめく。ほら、だって、タイル導入を決めたら設計図面も可愛くなっているし。

なぜ心躍るのだろう

家づくりに関わらず、街を歩いていて素敵なタイルを見つけると思わず写真を撮ってしまう瞬間がある。そういう人は少なくないと思う。

建築空間におけるタイルだけではなく、壁画として装飾としてのタイルを捕らえるために深川図書館でこの本をめくってみた。

タイル・アート 世界の壁面を飾った小さな美術品  

タイルの歴史ははるか文明の暁までさかのぼる。紀元前4000年のエジプトにて既に青い釉をかけた煉瓦が家々を飾っていたそうだ。メソポタミア、ペルシャの記述を歴史の教科書で見直せば目にすることができるだろう。

歴史的なモスクや宮殿も美しいタイルで飾られているのを見にしたこともある。タイルの美Ⅱ (イスラーム編) という本もめくってみたが、例外は多くあるにしても時の権力者に関連する建物と公共性の強い建物にタイル装飾が多くみられるという。美術館でもタイルの展示はあるが美術的であり歴史資料としての役割を果たしている。

デザインの美しさや可愛さだけではなく、「タイルは美しく高価な建築装飾」という潜在意識があるのかもしれない。

写真は2016年にポルトガルを旅行した時のもの。ポルトのサン・ベルト駅。

駅構内を彩るのはポルトガル伝統の装飾タイルであるアズレージョ。青のタイルで表現された壮大な歴史絵巻に多くの人がうっとり魅入っていた。

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タイルひとつ、妥協は禁物

さて備忘録の本題である。濃い青やグリーンをベースにしたい、と、イメージは概ね出来上がってはいた。大阪は谷町6丁目にあるイノベーティブフュージョンな酒場(美味しいお食事を美味しいお酒とともにいただける楽しい場所)nomulaboのキッチンとカウンターを繋ぐ青緑のタイルが兼ねてからきれいだなぁと思っていたからだ。説明のせいでポイントがずれそうだが、谷町には一度しか伺えていないけれどタイルの印象がずっと残っていた。

ここをご担当された設計士の方にメッセージで伺ってみたところ、名古屋モザイクのタイルであることを教えていただいた。同時に選び方のポイントについても、適確で役に立つアドバイスをいただく。

しっかりと好きなものに囲まれた気に入った空間で大切な時間が過ごせると良いね、と親身なコメントをくださる。”今、妥協は禁物であること” も教えてくれた。いつも本当に有難い。

いざショールームへ

設計士の川口さん経由で名古屋モザイクを中心に幾つかサンプルを取り寄せてみる。やっぱりここは実物を見ないと。というわけで、いざ新宿の名古屋モザイクショールームへ。

わかってはいたけど、驚くほど沢山のタイル・・・ふぅ・・・この世界も奥が深いのね・・・と思いながら、いつもそうするようにまずは全体をささ〜っと一通り眺める。

もともとサンプル取り寄せていたシリーズはこれ。相対的にどうかをイメージしながら、う〜ん柄物もいいわねぇなんて理想の台所を脳内にイメージする。

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掃除の観点も重要だけど、素材がほぼ同じなんだから、好み、直感だ。

候補

3つまでならサンプルを送ってもらえるということもあり、最終的にこの3つを候補に。

①クロジョーロ:最初に決めていたものよりもざらっとしているが、色斑がなんだか味わい深い。この青緑色も好きだ。instagramのストーリーズにあげたら、大阪南森町のLangoro (美味しいご飯とお人柄にほっこり癒される)のシゲさんかミサさんからお店はこのシリーズだよ!と教えてもらう。これを入れたら色違いだけどお揃いだナ。

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②多治見 柄物:模様も捨てがたいんですよね。ときめく。

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③多治見 ひだ:一番上のカラー。私は紺色や藍色がすごく好きなんだな。

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多治見のタイル

お店の方に「もう少しこんな色のタイルないですか?」と質問してご紹介いただいたのが、③多治見のひだシリーズ。値段も輸送費がない分お安く、壁掛けじゃなくて結構雑に置かれていた。でも色は、まさに求めていたも。最後に、キタ〜!!となった。

タイルって多くが輸入品なんだそう。デザインも技術もバリエーションが幅広いとのこと。私がいいなぁと思った何点かは、釉薬で技術的に色斑を出しているんだって。その一方で私が選んだ多治見のものはそうした技法を用いてはおらず、自然の色斑をそのまま引き出しているとか。

そんなことを聞くと、多治見のタイルを使いたいなと思うわけで・・・。

多治見といえばタイルの街。藤森照信さん設計の多治見市モザイクタイルミュージアムには兼ねてから行ってみたい先のひとつ。

少し具現化した私の台所

設計士の川口さんにサンプルを送りつけ、翌週の定例で話し合った結果は・・

③のひだをベースに、②の柄物をポイント使いするということで落ち着いた。

何も始まっていないのに、今、ただ想像するだけで、もう絶対、好き。

システムキッチン選定もこれからだし、ユニットバス選定に苦労しているこの頃ですが徐々に解像度が上がってる今日この頃。


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