担任でも部活の顧問でもない先生
これは中学校の美術の先生の話だ。
担任でもなく、
部活の顧問でもない。
ただ、その先生の言葉が今でも忘れられない。
自分に自信が持てず、誇れる特技の無い私を支えてくれた。
私は学生時代、絵を描くのが好きだったので、美術の成績はそこそこ良かった。
とはいえ、同じクラスや学年に圧倒的に絵の上手な子や器用な子がいたので、「美術の得意な子」と聞かれて私の名前は上がる事は無かっただろう。
3年生の選択科目で美術を選んだ時のことだった。
陶芸の粘土を捏ねながら「絵の上手な子が羨ましい」と友達と話していると先生が「先生からすると、君ぐらい作品が好きだ」と言った。
上手すぎる子は先生としては教える事が無いし、
ちょっと味のある作品の方が好きだ。と。
特にやる気はあって、頭の中にイメージはあるけど
そのイメージを具現化する技術はなく試行錯誤しているのを生徒を手伝えるは先生として面白いと言われた。
先生には何気ない一言だったかもしれないが、
個性を認められたような気がしてすごく嬉しかった。
ちなみに、この先生、
私が卒業するまで1学年上にいた姉と私の区別が付かず
最後の最後まで名前を間違えてきた。
私からすると、今はそこそこ似てると思う姉と私だが
中学時代が1番似てなかったと思う。
それでも先生は「似ててわんかねえんだよ。で、君はどっちだっけ?」と笑いながら首を傾げていた。
見ているところが、他の先生とは違かったのかもしれない。
先生が私の作品を好きだと言ってくれた事、
大人になった今でも忘れられないくらい嬉しかったよ。
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