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『インセプション』の解釈


#映画にまつわる思い出

勉強の一環で『インセプション』を解釈した文章を書き上げた。この映画を見てから映画を見るのが面白くなり、見る習慣がついた。

主人公のコブは過去に妻であるモルを、自身の言動により死なせてしまったことへの罪悪感から夢の世界に囚われている。コブの夢の世界は何層にも重なり、エレベーターで行き来が出来るようになっている。夢の中のとある階にある自宅には妻のモルが居て、モルの「一緒に年をとる」という夢を叶えるため、眠るたびにこの自宅にいるモルと生活を続けている。夢の中のモルはコブの潜在意識の反映か、コブが「モルは自分と一緒に居たい」と思うと、モルはそのように動く。コブは夢の中に居ればいるほど、モルと一緒に居なければと執着し、夢の世界に文字通り夢中な状態である。

コブの夢の世界の他の階には海があり、これは自身の楽しかった家族との記憶からなる。この海や、違う階の部屋にいる子供たちはコブが呼びかけても振り向いてはくれない。これはコブがモルの殺害容疑をかけられ、子供たちと会えない現状と、夫として妻を救えず父親として子供たちに母親を返すことが出来なかったことへの罪悪感が反映された結果なのだろう。また地下も存在し、そこはホテルの部屋につながっており、妻のモルが死んだ日と場所を再現していて、そこにいるモルは気性が荒い。コブを責めるモルの言動は潜在的な妻への罪悪感の表れで、コブが自身を追い詰めるためである。モルの「約束を破った」という発言から、また違う夢の階のモルと約束を守ろうとするコブの態度からも窺える。

いくつもの階に分かれているコブの夢はコブ自身と妻のモル、子供たちが登場人物であるが、そこにコブの夢の第三者としてアリアドネが現れる。アリアドネという第三者が現れたことによって、過去のことなど含め夢を語るようになったコブは、夢の世界ではなく子供たちがいる自宅に帰るという現実に目を向けるようになる。どこまでも夢の中で現れるモルは、ことごとくコブの邪魔をし、コブを夢の世界に居させようとする。これはコブが夢の中のモルと決別しきれない気持ちと、子供たちが待っている現実に帰らなければいけないという気持ちがぶつかり、葛藤している様子を表している。

最終的に過去にモルと夢の中で50年かけて作り上げた街において、アリアドネの「モルは本物じゃない」という発言を受け、夢の中のモルに対し「君は現実ではない」と言い、モルを否定をする。街が崩壊していく最中、コブの腕の中でモルは死んでいく。コブがモルの死を受け入れたことを表している。そしてコブは幾重にも重なった夢から抜け出し、子供たちの待つ現実へ帰って行く。


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