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なかなか最後にならない君。


最後にお泊まり会をして最後にしよう。
そう決めていたのに、
君はわたしの車に財布を忘れていった。
結局また会う口実が出来てしまった。


「忘れるならもっとどうでもいいもの忘れなさい」
「その手口はあざとい女がやるもんだぞ」
と、君をからかうと君は笑っていたけれど
本当に申し訳ないですと言った。
まあ確かに君は今車がないからわたしのところへ
財布を取りに来れないもんね、
わたしが行かなきゃね。

君の仕事が終わる時間に合わせて車を走らせる。
絶対に今日は泊まらないんだという強い意志と共に。


彼の家に着き、車庫に車を入れる。
家の中は君の匂いでいっぱいだった。
「好きなところ座っていいですよ」
わたしはストーブの前にちょこんと座ると、
君はすぐにストーブをつけた。
「ぎゅーする?」と聞くと
にこにこしながら近寄ってくる君は可愛くて、
本当にいつも調子が狂う。


2人で他愛のない話をして、
そのあとはスマブラをして、
また他愛のない話をした。
君とシラフで体を重ねるのは初めてで、
ものすごく緊張した。
わたしの腕の中でスヤスヤと眠る君は可愛くて
時間が許すのならばずっとこのままでいたいなと
そう思った。

ひょんなことから、
「わたしのどこが好き?」と聞く場面に遭遇した。
実際はバイト先の人のマネごとなんだけど、
君はそれに対して
「じゃあこれまじで答えていいやつですか?」
と、また真っ直ぐにわたしを見ながら言うもんだから
恥ずかしくて目を逸らしてしまう。
「笑った顔が好きです。あと、ん?って聞き返す顔も。全部可愛いです。今日は1番最初に会った時の顔が1番かわいかったです」
と言った。
「え、顔だけやん、中身ないやん」
と笑いながら怒ってみたら
君も「たしかに」って笑ってたね。
「話しやすいです、とっても、ほかにも、好きなんです、わかんないけどぜんぶ、全部好きです」
君は恥ずかしがらずに、
未だに目を逸さずに全部真っ直ぐ伝えてくれる。
そんなところが君の良いところだねって言うと、
そうなんだよねって調子に乗るんだもん、
馬鹿だなあ。
きっとさ、君と付き合う彼女は絶対幸せものだね。

帰る間際にまた2人で写真を撮った。
「今日はこれ見ながら寝るんだ」と、
にこりと君は笑った。

最近、君の全てが愛おしいなと思ってしまう。
たくさんの愛を真っ直ぐに真っ直ぐに
伝えてくれるから
どうも調子が狂ってしまうんだよなあ。
完全に君のペースに飲まれてしまってるなあ。

家に帰るまでの間、電話をした。
君は「もう寂しい、もう会いたい」と言った。
なんだよ、さっきまで会ってたじゃんと
ケラケラと笑った。
来週また会えるね、楽しみだなあ。
本当に、次で最後になっちゃうのかな。

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