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君はずっとわたしから抜け出せなくなればいい。


言い訳するとしたら、ただ酔っ払っていただけ。
本当にそれだけだったんだよ。
最低でごめんね。

「なんで付き合えないのにホテル来たんすか」
その日の夜、君はそう言ったね。
本当に最低でごめん。

「今度飲みにでもいこうよ!」
バイト終わりに社交辞令がてらそう言った。
君とバイトが被ることはそうそうなかったし、
バイトの中では1番話やすかったってのもあったな。
でも本当にあれは社交辞令で、
君も「ぜひ!行きましょう!」なんて言ってたけど
それも社交辞令だとわたしは思ってたんだ。


その日の夜、彼から連絡が来た。
「ゆぽさんのLINEで合ってますか?」
バイトのグループLINEから追加してくれたんだね。
この時点で少し、
君の気持ちを勝手に勘付いていたよ。
そう、勝手にね。
「飲みに行くって言ってたのにライン知らなかったんで追加しました」
そっか、そうかそっか。
「可愛いな」
なんて思って、次の日に飲みに行く約束をつけた。

お酒を飲んでる時、
全然こっちを見ない君を見て、
どうやったらもっと仲良くなれるのかなあ?
なんて考えながら話をしていたよ。


2軒目はわたしのバイト先に行ったんだけど、
めちゃくちゃに飲まされて、
わたしはバイトどころじゃなくなっちゃったから
帰っても大丈夫って戦力外通告受けたなあ。
君とタクシーに乗ったのは覚えてるけど、
気付いたらホテルのベッドにいた。

「かわいい」「好き」「ずっと気になってた」
なんて、甘い言葉をたくさんかけてくれたね。


今までも付き合いもせずにホテルに行くことは
何度もあったけど、
本気で「好き」と、「付き合ってほしい」と、
そう言われたのは初めてだった。
君からLINEが来た時点で勘付いていたくせに、
付き合いもしないくせに君の心を弄んでしまった。


後日、君から「嫌いって言ってほしい」と
LINEが来たね。
あそこで嫌いってちゃんと言ってたら、
君はわたしのことちゃんと嫌いになれてた?

本当に君と仲良くなりたかったんだよ。
お酒のせいで友達をまた1人減らしてしまった。


「来月で引っ越すのでバイト辞めます」
「結局ゆぽさんとそんなに飲みに行けなかった」
なんて言うもんだからさ、
最後にお別れ会も含めて会おうかなって思って
「じゃあ行こっか、飲みに」
って声をかけたわたしが間違っていたね。


でも君は本当に可愛くってさ。
「バイト終わりに飲みに行こう」
って言ってたらさ、
締め作業とかも凄い勢いで終わらせるんだもん。
まだ全然終わる時間じゃないのに締めも発注も
明日の予約の準備も済ませちゃうんだもん。
まあ、残業したくないだけかなって思ってたんだけど、
でもラストオーダー30分前に6人客が来た時、
「何のために急いで仕事終わらせてたかわからん」
「早く終わらせるために全部急いでやったのに」
なんて言うもんだから可愛すぎるんだよ。


インスタのストーリーにも載せちゃうくらい、
わたしと飲みに行くの楽しみにしてたんだなって
そう思うと可愛く思えてしまうもんだよね。


結局仕事は時間内に終わらず、
2人とも30分残業して上がることになった。
でも残業が30分で済んだのは間違いなく
君の頑張りのおかげだったね。


カラオケで飲むことになって、
結局ホテルに行く流れになって。
何度も求めてくれるのも嬉しかったし、
ひたすらに好きと言ってくれるのも嬉しかったよ。
「ほぼ彼女だから彼女で良くないですか?」
って何回も言わせてごめんね。
わたし、
彼女になったら君の求める女の子じゃ
なくなっちゃうんだよ。

君はサバサバした年上が好きって言ったよね。
わたしは男友達だとサバサバできるけど、
彼氏にはメンヘラ気質だし、
全然年上感もないし甘えに甘えたいし、
君の求めている女の子とはかけ離れてるんだよ。


でも、やっぱり好きって言われるのは嬉しいね。
たくさんわたしのこと好きでいてね。
君の喜ぶ言葉をたくさんかけてあげるからさ。
君の好きなわたしを演じてあげるからさ。

君が自分で自分が馬鹿だと気付くまで、
わたしのことを好きでいてね。

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