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「俺は可愛いと思ってるよ」


この言葉、わたしはあんまり好きじゃなかった。
好きじゃないけど言えなかった、
だから今言わせてね。

「俺の友達がさ、ゆぽのことブスだっていうんだよ〜」

他愛のない会話の中で、彼がそう言った。
わたしはそんなことどうでも良かったし、
彼の友達がどう思っているのか、
容姿のことなんて聞きたくもなかった。

たしかにわたしはモデルのように可愛くはないし、
10段階で評価するなら多分4-5くらいの、
普通くらいだと思う。
彼はかっこいいらしい。
「らしい」というのは、
わたしがあまり好みの顔じゃなかったから、
そこまですごくカッコいいと思ったことがなかった。
でも高校の時は彼を見るために教室に列ができたらしいし、
大学生になってからは彼をかっこいいと言い連絡を取りたがる女の子が多かった。
だからきっと
世間一般的には彼はかっこいいんだろう。

そんな彼とわたしの容姿が釣り合うわけがない、
そんなの百も承知だ。
そんな赤の他人の外野になんか言われなくたってさ。

「俺はゆぽのこと可愛いって思ってるからね〜、可愛い可愛い、大好き〜っ」

と、その話をするたびに彼はそう言い、
わたしを抱きしめ、
頭をポンポンと優しく叩いて撫でた。

複雑な気持ちだった。

きっと彼の友達の彼がそう思っているくらいだもの、彼をかっこいいと思っている女の子は
みんなそう思ってるんだろうなって思った。
「なんであのブスが彼の隣にいるんだよ」
そう思われてんのかなぁ、なんて思ったりもした。

「そんな彼女でも俺は可愛いと思って付き合っている」
彼はそんなステータスが欲しかったのかなあ。
わたしはそれに利用されていたのかなぁ。

今となっちゃどうでもいいんだけどさ、
あの頃は気にしてしまったね。

そんな彼はこないだ
「彼女ってどうやって作るんだっけ」
って途方に暮れていたから、
少しスカッとしました。
世間一般的なイケメンでも彼女って出来ないんだね。
ふふ、おやすみなさい。
今日もお疲れ様でした。

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