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【書籍紹介】サッとわかる!栄養療法のトリセツ

臨床栄養に関する新刊が出ていました。リハビリテーションで有名な「熊リハ」こと熊本リハビリテーション病院の吉村芳弘先生率いる栄養サポートチームによる「サッとわかる!栄養療法のトリセツ」です。

「栄養サポートチーム」に馴染みが無い人も多いと思います。私もこの業界に入って知ることになりましたが、病院では患者さんの治療やリハビリを栄養面で支えるために、多職種の医療従事者によるチームが稼働していて、これを「栄養サポートチーム(Nutrition Support Team, NST)」と呼びます(病院の機能や規模によって稼働させていない病院もあります)。

NSTの構成員は医師、管理栄養士、看護師、歯科医師、歯科衛生士、理学療法士、言語聴覚士、薬剤師、臨床検査技師など多職種に渡っており、本書はここに記載した職種の医療従事者の方々が総出で書き上げています。

Chapter 0 ~ Chapter 5までの6章構成になっています。

Chapter 0 : はじめに
Chapter 1 : 栄養管理のキホン
Chapter 2 : 栄養ケアのキホン
Chapter 3 : 栄養アクセスのキホン
Chapter 4 : 栄養療法の進め方
Chapter 5 : 栄養サポートー多職種での関わり方ー

付録や索引を含めて216ページありますが、このうちChapter4が72ページ分と、全体の3分の1を占めています。この章では脳卒中や糖尿病、摂食嚥下障害などの各疾患に着目し、病態の理解と必要な栄養療法についてまとめられています。本のタイトルに「サッとわかる」とありますが「サッと引ける」点も本書の魅力だと感じました。

栄養サポートチームが効果的に稼働するためには多職種連携が必要なことから、Chapter5ではチームビルディングの理論として「タックマンモデル」が紹介されています。ここ最近で参加した医療系のセミナーでもチームビルディングが取り上げられることが度々あり、医療現場におけるチームビルディングの重要性が増しているのかもしれません。臨床栄養に関するところでは、令和2年度の診療報酬改訂で集中治療室(ICU)での「早期栄養介入管理加算」が新設され、管理栄養士をICUに専任配置し、多職種連携で栄養管理を行うことで1日につき400点を算定できるようになりました。

医療従事者では無い私が言うのも憚られますが、本書は文字通り「多職種連携」によって完成した栄養療法の書籍ということで、臨床栄養に関わる多くの医療従事者にとって参照しやすい内容と構成になっていると感じました。

医療従事者を対象にした書籍なので専門用語も多いですが、図解も丁寧ですので、栄養療法に関わる行政や民間の人も手に取って欲しいと思いました。

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