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4月21日から適用されるEU混合食品輸出規制を現場から起こっている事をまとめる

日本でも多少話題になっている、「EUの混合食品輸入規制」について日本から欧州に食品を輸入して販売をしている私達に起こっている事象をまとめる。

今回は、大きな規制変更のため事前アナウンスがあり、JETROさんなどでもセミナーがあったりと事前の対策を取ることができる変更だったと認識している。

実は、過去にも細かい輸入規制の変更が行われており、私達は過去に大量の食材を港で廃棄した経験ある。
この時は、不正輸入していたのではなく、変更前は輸入可能だった原料が、突然輸入不可になっていたのだ。事前にアナウンスはなく定期的な制度の見直しの中で変更された。なぜ私達のコンテナがチェックされたの変わらないが、おそらくランダムチェックがあったのだと思う。
この様にEUでは混合食品の規制について概要だけまとめ、中身を日々精査しアップデートしていたのだ。そして今春に最終版としてアナウンスをされた形だ。

今回のEU輸出規制の大まかな変更点

細かく変更点があり、全てを説明することはできないので、私達が関係する部分の変更だけご紹介。

卵や魚介類を含む食品で温度管理が必要な食材

これが私達の商品に該当する項目だ。
詳しくは、農林水産省のHPに概要が記載されている。
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/export/EU.html

例)
今まで:魚介類は原料の50%以下なら輸入可能
新制度:EU認定工場以外での製造で魚介を使用したものは含有量に関わらず禁止

対象は、動物性食材、原料、卵、魚等...

日系やアジア系の食品輸入業者は、日本のカップラーメンなど今回の規制対象の商品を多く輸入してる。2021年4月21日以前の制度でも本来は輸入できない商品を数多く輸入していたので対応がかなり大変だろう。ドイツの現地の日系のスーパーマーケットでも「カップラーメンは今後輸入できません」と書いた張り紙をよく目にする。

スエズ運河の座礁事故と規制スタートの関係性

事故の概要

2021年スエズ運河封鎖事故(2021ねんスエズうんがふうさじこ)は、2021年3月23日の現地時間午前7時40分 (EET; UTC+2) にスエズ運河において、日本の正栄汽船が保有し台湾の長栄海運が運用するコンテナ船「エヴァーギヴン」が座礁した上、他の船舶の通航を遮っていた事故である。これに伴い、スエズ運河での船舶運航が停止していたが、同年3月29日に運航が再開された。
※出典先:wikipedia

この事故が起こった時、私達のコンテナはシンガポール港に停泊していた。
つまり、少なからずこの座礁事故の影響を受ける事が確定した。
3月29日に開通して一件落着のようなニュースを多く目にしたが、実際には、それぞれの港で大渋滞が起こり到着は大きく遅延した。
このコンテナも2週間近く遅れた。

現場で起こっている事

2021年4月22日ロッテルダムに私達のコンテナが入港した。
このコンテナは日本出港時は、規制前に入港する予定だったので、必要な書類を揃えていない。
必要な書類とは、動物性の食材が含まれたものは、EUの認可を得た原料の製造元で製造した証明書が必要になる。EUの認可を得た工場が日本には少なく、この条件をクリアする食材は数少ない。私達の商品も卵や魚エキスを使った商品があり、ほとんどはEU認可を受けた工場の原料を使用していたが、一部商品がEU認可外の工場で製造された原料を使用していた。

私達はロッテルダムの港で通関を切り、ドイツで商品を保管している。
オランダではパートナー(代理人) に通関の手続きを委任している。
そのパートナーに、どんな対応が必要か4月上旬に確認した。
彼らは、ロッテルダム最大の食品通関業者に問い合わせをしてくれたが、彼らも何も情報が無いとのことだった。

事前に試みたアクション

そこで私達は以下の事を試みた。
1,日本側に既に出港してしまった商品の書類を揃えることができるか確認
2,港で通関の事前申告を行い、4月21日前に受付を済ませる

結論は、どちらも不可だった。

通関日は、申告日に紐づくルールになっている。
入港後すぐに商品を発送してほしい場合は、事前に申告しスムーズに通関が切れる様に手続きをする制度があった。
しかし今回の輸入規制が絡んでいる事もあり申告することはできなかった。

日本側に書類を整備してもらうように依頼ををしても、ものがないから書類の作成ができないという事で八方塞がりになってしまった。

このコンテナの今後について

制度通りに運用されると、書類が完備されていないものは輸入できない。
つまり、コンテナを開封し、輸入できるものとできないものを仕分け、できないものは廃棄、できるものだけを通関するという流れになるのではないかと予想している。

となると、「仕分け費用」「保管費用」「廃棄費用」など余計な費用が発生する。更に、食材を廃棄するので、減損を計上する必要がある。
損害が大きい。EU認可の工場で製造された原料を使用した商品を書類がなければ証明できないので廃棄対象になってしまう。

このコンテンがどうなるか今は分からない。
おそらく、ロッテルダムの税関はてんやわんやしていること間違い無い。
成り行きに任せるしか無いが、間違いなく時間がかかる。このコンテナの進捗については別の記事でまたご紹介します。

無事に何事もなくスルッと通ってしまうことを密かに期待し経過を観察したい

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