060808 スマートフォンはいらない

もっと自然体で描写できるようになりたい。物体描写、人物描写、自然描写などなどのことを指している。小説を書けるようになりたいし、そのうえで、もっと自然体でいろんなことを書けるようになりたいのだ、私は。それを見て私が率直に感じたのは、美味しくなさそうだということだ。ビニール袋の内側に細かい水滴がついている。私は噛みついた菓子パンが湿っている様子を舌の上で想像する。どんなに好意的に受け取ろうとも、あまり美味しそうな光景ではない。空腹だった。空腹ではあるのだ。きっと対象をじっと見つめることが大切なのかもしれない。そこにはもちろん遅さが含まれている。私は私の情けにしたがって一瞬考えた末、それをゴミ箱に向かって放り込んだ。対象をじっと見つめること。私の手元をじっと見つめること。自然体で書けるようになりたい。小説を書けるようになりたい。200枚レベルの小説を書けるようになりたい。自然体で小説を書けるようになりたい。自然体は難しい。がちがちに整えられたものを目指してしまう。不慣れだとそうなってしまうよね。よく眠ることで何かを排出したり蓄積したりする。いいなぁ、それはすごいことだから。自然体で小説を書けるようになりたい。別にまずそうとは思わないけれどおいしそうとも思わない。そもそも腹は減っていない。ダサいとは思わないけれどお洒落とも思わない。不細工とは思わないけれど、一方でかっこいいと思わないのも事実だ。明後日から長い夏期休暇に入るけれど、私は何のやる気もなくなっている。楽しいことなど何もない。どんどん楽しいと感じることが減っている。そういうのは正しい成長と言えるのだろうか。健全な成長と言えるのだろうか。彼らは私に正しい遊び方を教えてくれたし、正しい金の使い方を教えてくれたし、正しい仕事の仕方を教えてくれた。彼らは人よりも遅れている私を見放さず、憐れまず、時間をかけて私と対峙してくれた。私にとって彼らは恩師でもあるのだった。そう。正しいことをするという悪もある。何かをしないという善もある。人は一人で生きているわけではないから。そういう教訓にしたいわけではないが。お金がないことによる足枷を外せたと思ったのは30歳になってからだった。他の人ってこんなに楽しんでいるんだ……。安全な繭の中で私はいつまでも眠っていたかった。自分の知らないことを書く。自分には知らないことが沢山ある。私には知らないことが沢山あるのだ。知らないことが沢山ある。知らない方向に向かって歩いていく。でも結局どこにいても同じなのだ。お金がないと何もできない。お金が必要なのだ。お金が欲しい。

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