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男は全員この映画の高倉健さんを見習え『ザ・ヤクザ』

「すみきった現代。ストレンジャーが愛で守り通した花一輪に 日本残侠の心が燃えた!」
これが此の映画のキャッチコピーだが、まさにこの通りの映画だった『ザ・ヤクザ』(1974)についてだ。

ネタバレありです。

あらすじ


日本のヤクザ組織に誘拐された旧友の娘を救出するため日本にやって来たアメリカ人のハリー。そのハリーを助ける元ヤクザの田中健。“義理と人情“という日本的な観念で結ばれた日米の二人の男が、ヤクザ組織に立ち向かうサスペンス・アクションの異色作。
(映画ナタリーより抜粋。https://natalie.mu/eiga/film/806983)

健さんポイント①義理堅い漢

ハリーが助けを求めてきた時既にヤクザから足を洗っていたのだが、昔の恩を思い出して即座に稼業に戻ることを決意。この切り替えの速さは見習いたい。

健さんポイント②寝取られても男気を貫く

健さんのハリーへの恩義というのは、健さんが戦地から帰ってくるまでハリーが健さんの妹の面倒を見てくれていたというものだった。
しかし事実は複雑だった。その健さんの妹だとハリーが信じていた女は、実は健さんの奥さんだったのだ。
しかも、ハリーが娘だと信じていた少女は、実は健さんの娘だったのだ。

戦地から帰ってきたら、妻が敵国の男と同居していたらどう思うだろうか。普通の人ならブチ切れてる。たが、健さんは妻を助けてくれたことへの恩義があるだけで、敵国の男のために身を引いたのだ。「妹を助けてくれてありがとうございました。」とだけ言い残して。

さらには、今になってあの時の借りを返せと健さんにとって忌々しい男がやってきても承諾する。

あまりにも健さんが可哀想だが、健さんは絶対に自分から口に出さない。これは全人類が真似すべきである。

健さんポイント③謝るべきときはちゃんと謝る

ラストの殴り込みの前に、兄から「息子がそこの組にいるが、奴だけは殺さないでくれ。」と頼まれる健さん。
いざその息子に出会い、逃がすのかと思ったその瞬間、グサッと一突き。
というのも実は、奴らの組に健さんの娘が殺されたのだった。(ハリーが自分の娘だと信じていた少女)
脳内に彼女がフラッシュバックした健さんはついつい殺してしまう。

殴り込みが終わり、兄に結果報告に行く健さん。
そこでなんと小指を切り落とすのだ。ヤクザとしてのけじめをしっかり付けた健さん。
私も、自分の非を認め素直に謝る男になりたいものだ。

「これがジャパニーズの謝り方か!」と感銘を受けるハリー。

健さんポイント④友情

健さんか殴り込む直前、健さんの兄から、自分の愛した女と健さんは夫婦だった事、娘も健さんのだったことを知ったハリー。
健さんに負い目を感じたハリーは、健さんと共にショットガンと拳銃の二丁持ちでヤクザに殴り込む。
殴り込みの後健さんの兄の家に行き治療も終わり無事アメリカに帰ることになったハリー。2人は分かれ道で別れの挨拶をし、それぞれ逆の方向に行くことになる。

しかし、少し進んだ先でハリーがタクシーの運転手に一言「スミマセン。Uターンシテクダサイ。」

健さんの泊まっているところについたハリー。話があると上がり込む。

健さんが茶を入れている間、なんとハリーは小指を切り落とす!!

驚く健さん。ハリーは「ワビノシルシデス。ウケトッテクダサイ。」と差し出す。健さんは黙って受け取り、一言「私にとってこれ以上の友情はありません。」と告げる。
ハリーも同じく「ワタシニトッテコレイジョウノユウジョウハアリマセン。」と伝える。

さらにこれまで呼び捨てで読んでいたが、このときはブラックレインのときと同じく、ハリー「さん」呼びをしているのだ。健さんが友情を認めた証拠だ。

このシーンは本当に感動した。
敵国の男が妻と娘と幸せそうにしている所を見ても決して真実は口にせず、身を引く健さん。自分が健さんに過去と現在の2回悪い事をしたことを知り、小指を詰めるハリー。
今世紀最大の仲直りである。

小指を受け取った健さんの顔に是非注目してほしい。

最後に

今回書いた事以外にも良い所は沢山あった。
健さんに「義理」とは何たるかを教えてもらい、散っていったアメリカンボーイ。健さんとハリーの神社での会話シーン。殴り込み中の健さん。
などなど語りきれないほどいい映画だった。

とにかく、ラストの今世紀最大の仲直りは観てほしい。
心に余韻が残る映画でした。

役名が田中健なので、劇中でも健さんと呼ばれてます。



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