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【感想記録】「震えるならそのままで 体の好きにさせればいい」/舞台「青山オペレッタ」


3回行くつもりではあったんですが、なぜか6回観てたから不思議でした。チケットってカバンの中にまとめて入れておくと増えるらしい。

今回かなり元気をもらえた作品だったので、新生活が始まる4/1にどうしても投稿したくて校正できてません。あとから追記修正絶対ある

概要

青山オペレッタ舞台シリーズ第六弾。
宝塚男版の舞台企画で、ピエナ、メッザ、ファルチェ、ノーヴァの4チームから成り立つ架空の劇団内で、劇団員が成長していくストーリー。
今回はチームメッザが中心のお話です。

青山オペレッタ――

東京・青山にある、未婚の若い男性だけで構成された歌劇団。
その歴史は古く、100年以上に及ぶ由緒ある歌劇団で、
その成り立ちから女性役も男性が演じるのが特色。

青山一のベネラと呼び声高い、南雲朝斗率いる「メッザ」。

美麗で優秀なベネラたちが集まる「メッザ」には、
姉妹のように仲睦まじい、理玖と天音という二人のベネラがいた。

庇護する先輩の理玖と、理玖を盲目的に慕う新人の天音。

だが、新たな舞台の幕開けが、そんな二人に残酷な現実を突きつける。
そして二人の問題は、かつての南雲の傷をも蘇らせることになるのだった――

https://stage-aoyamaoperetta.com/

公演のネタバレを含む感想文です。
自分用の記録にすぎない(けど誰かと共有したい)ので、話の説明は端折ります。

1幕

メッザ(半月)とかけて2種の相反する人間の感情や事象は同時に飼えることを示していた。
・調和 <-> 対立
・嫉妬と自己嫌悪 <-> 可愛い、愛する気持ち
・強さ <-> 弱さ
この3つを軸にお話を解釈した。

調和と対立

南雲は過去の序列で自分がトップ候補を抜かしてしまった経験から序列を嫌ってきたが、今回の話では自分の後輩達の中でも同様の番狂せが発生してしまう。
避けていた対立は、南雲が作り上げてきた平等によって発生した。
組織のトップとして、目的と手段がズレていたことに気付くのはキツい!怖くなる!

この後のルートとして、
結局天音が選ばれる→でも理玖は逃げない→抜かれてもここにいる、調和のチームだから
となるのもあり得たし、そうなったとしても「平等とはそういうもので、それがチームの色である」とメッセージを残すのもあるっちゃあるんだろうと思う(今までのメッザ)
南雲さんの説得の方法はもっとあって、バチルダ役だとしてもやり方次第でいくらでも輝けるとか、バチルダなのにものすごく爪痕を残して再逆転しようだとか言えたはず

その中でも南雲さんが選んだのは、普段の穏やかな口調からは外れた厳しい理玖への他己分析と、「逃げちゃだめなんだよ」「戦って」
結果、才能で何も考えずとも役が憑依する天音に、自分の考え方を踏まえた役への深掘りと新しい解釈の提案で理玖が逆転
天音「本気でやったけど勝てなかった、お姉さまはすごいです!」

少し話がずれるけど、「自分の好きなキャラに似ている」と言って中身を知らないまま崇拝し始めた理玖お姉様に対して、この「すごいです」は重いもので、初めての理解だったと思う。

対立を避け、逃げたことで大切な仲間を失った経験から出る「逃げちゃだめなんだよ」という言葉は、南雲さん自身が自分にも言い聞かせていて、メッザはこの逃げない人たちで続いていくチームなんだあ…😭って思った。

対立と調和、二律背反じゃなかった。対立によって調和が生まれる。

嫉妬&自己嫌悪と可愛い、愛する気持ち

天音に対する理玖の気持ちについて、かなり人間らしくリアルに突き詰めたテーマだった。
演劇をやる人間にとって共感しやすいテーマだとキャストさんが言っていたけど、素直に認められない相手がいるっていうのは誰もが共感できることだと思う。

この話見たらみんな理玖を好きになっちゃうなーと思いながら見てた。

「うるさい」「馬鹿にするな」CDだと憎しみが出ていたけど、舞台では泣いてしまいそうな演技になっていた。
あそこの解釈ご本人から聞きたいな〜
私から見えた理玖は、可愛がっていた気持ちを一度も捨てられず憎悪に全振りすることもできなくて、「天音に対して苛立って思ってしまう自分への悔しさ」というか…
CDのときから負の感情のベクトルが天音から自分へ変わった結果泣きそうになってしまうのかな、とか思った。
バレッタが思い出させただけで、ずっと理玖は天音を可愛いと思い続けていただろうな。

また、再挑戦してミルタ役を勝ち取った際に、自分の名前が発表された瞬間じわって泣きそうになる理玖を見てすごく守りたくなった。弱さを出せたって話なのかな?
自分の力で嫉妬と自己嫌悪から脱却できる姿はかっこよかったし、作品として、「大事な人に嫉妬して自己嫌悪に陥ることあるよね」って出してくれるのも優しかった。
そう思わせるのは理玖自身が頑張っている人だからで、こんなに素敵な人でも汚い感情を持つくらいなら誰でもありますね、ってなった。

強さと弱さ

理玖は多分今後もお姉様はやめられないと思う。
彼天音に懐かれているというより天音がほっとけなくて自分から助けに行く人だったので…

日常生活で人と関わる中で強くいなきゃいけない場面は多々ある。
「震えるならそのままで 体の好きにさせればいい」
そんな中でのミルタ対決のときのこの言葉はかなり救いだった。

ミルタ役を天音が勝ち取った直後は手の震えが止まらず、南雲や寺島に話しかけられたときも彼らに手が見えないように隠していた理玖が、
ここぞというリベンジのときに、震える手で高く掲げたローズマリーに視線を集めてやり切った。

弱さを認めて逃げずに戦った姿はずっと心の支えになるだろうなあ。
震えてていい、抑える必要もない、その先にも逆転はある!

自分自身理玖と同じように「できない」が難しい
厳密に言えば「適切なタイミングで出来ないと言うこともできて、周りを巻き込みながらだとしてもなんでも人よりうまく対処できる」という自負があった。
しかし求められているクオリティを下回った印象を与えたくない、見下されたくない、のようなプライドが積み重なっていたのか、そのコミュニケーションが全然出来ないとわかって落ち込んでいた。
弱さと強さも相反するものではなくて同時に存在できる、弱さも認めたままでいい、この先もたまに思い出しては支えになるメッセージだった。

小ネタ

・あさひが共感性の強さから天音が怒られている時も胃を痛めていてそれに私は胃を痛めた
・どっかセリフ忘れたけどメッザのことを褒めてる時に斎さんも乗っかってきたと思ったらメッザじゃなくてあさひにむかって喋ってたの、笑った あさひにしか喋らんのか
・メイちゃんのズボンが破けたときに上着を脱ぎ出した澪くん本当にめろい。学校でも女子に上着貸す。
・バチルダやる人募集するときちょっとや、やりたいかも〜ってそーっと手を挙げる澪くん応援したい。澪公演やろう。
・イタリア修行のときの天音さんおもしろ人間だったけど、初対面の天音にバレッタを渡すあたり結構初めましての後輩に過保護に接する人なんだなって思った
・天音がミルタを演じて「理玖より良かったんじゃねえか?」と言われたときの理玖の動揺する顔が好きだった
・OPの「見つめ続け」の歌詞で南雲さんが理玖を見つめるのが、ずっと理玖のことも見てくれてる存在南雲さん…と思った

2幕

ジゼルやってた。
昔やってたバレエの中でちゃんと触れた作品がジゼルとくるみ割り人形のみだったので発表されたときすっごい嬉しかった。
友達3人招待したところ、みんな劇中劇が凄かったと言ってくれた。
セリフのあるジゼル新鮮で楽しかったなー!

好きだったところ

・ベルタの絶叫
ジゼルが剣を持って自死しようとしていた場面で、「大丈夫だから、それを置いてこっちに来なさい」、のときのベルタが最初は相手に伝えるための宥める声だったのに、切羽詰まると自死をやめさせたい自分の欲望だけの必死な叫びというか、本気の警告に変わっていて、あそこ客降りだからもはや怖くて あの感情の動きを作らされるのはほんと、技術…本能でヤバい、どうしようって思わされる
ベルタだけでなく他のキャストさんにも囲われるからあそこの空間の緊張感しんどかった
あそこのあとジゼルの抱きしめ方が絶対血の出ているところとか何もビビらないし気にしないでとにかく必死に抱きしめるのでそこの母の愛にも泣けた

・ウィリの踊り
ミルタが上にいてウィリが下でヒラリオンを囲っているときに小結さんの表情がミルタの笑顔と同期していて最高だった 2人とも笑顔

・収穫祭の踊り
ジゼルだー!ってなった 曲がメディテレーニアンハーバーすぎてノリノリ

・ロイスの正体をしるときの客降りヒラリオン
舞台袖の扉のとこを物陰として、照明も最初はあてずに本当に隠れているの良かった。

・ラストジゼルがアルブレヒトを抱きしめるところ
アルブレヒトのとこまでの歩き方がバージンロードを歩いているようで、あそこが2人の結婚式だったのかもと思った

・ジゼルがロイスとバチルダが婚約していることを知るところのベルタ
ジゼルが「これは何かの間違いです…」と割って入る前にベルタは察して先に苦しくなっているのが娘のことを常に母で大好きだった


ベルタはなぜウィリの伝説を信じていたのか?

ここからは今回のジゼル自体の考察というかお人形遊びなんですけど

ウィリについて、「こんな伝説ベルタしか信じていない」といわれてベルタはちょっと暗めの表情をしているように見える(ご本人は、娘の体調を心配して踊るのをやめさせたくて言ってるのに話を合わせてくれないみんなへの不満とかコミカルな要素としていれたのかもしれないけど、オタクなので深掘りします)
・ベルタには夫がいないし、大貴族のクーランド公に口説かれても一切靡かない
・今後再婚する気はない
・もしかして何か過去に男に関して悪い印象がある?
という印象
そして、
ジゼルの異常な自責の「私が勘違いしたから…」とベルタの悲痛な叫びである「あんたは何も悪くない」が引っかかっていて
「ベルタには実は姉妹か何かがいて、その人が男にだまされたときに『そんな男に騙されたあんたが悪いんだよ』のようなことを軽く言ってしまい、未婚のまま死なせてしまった、そしてウィリとなってしまった」説あったら切なくない?????
昨日友達と妄想大会してた。ほぼ陰謀論


今後の期待

青オペ大好きな方にはムッとされるかもしれないですが、作品についての告知内容と実際やっていることのギャップがあるような気がしていて
ネタに走りたいのであれば面白い笑える部分をアピールすればいいと思うけど、個人的にはとにかく演技によって自分を変化したい・自分を理解したい人間達と、その人達の努力によってでき上がる息をするのを忘れる舞台が観てみたい。
青山オペレッタは実在するんだと思いたい。
青山オペレッタの世界とこちらの世界の境界線をどんどん溶かしてグラデーションを作っていって、「2.5次元舞台」じゃなくて「2〜3次元舞台」になってほしい。

いつか天下とって専用劇場も建てよう!!👊
天下取れる作品って言っていたところで1番泣いた

全てのキャラの生い立ち、なぜ演技を仕事にしたのか、何を成し遂げたいのか、過去の1番の挫折、全キャラとの関係性、全部立体になるまで公演を続けよ!!
役を得るたびにキャラが自分自身のことを理解していく作品だと思うから、全員メインにしないと終われない。

演劇によって救われる人たちをまだまだ見せてもらえますように。
演劇にそれだけの価値があることを肯定し続けてもらえますように。
舞台が大好きだから純粋に舞台のことを作品から褒めてもらえたら嬉しい。

メッザ公演で使ったバルーン、うちわ、ジゼルを観た証拠のダミチケ
この四日間を思い出すトリガーとしてずっととっておきます。
青オペのおかげで毎日楽しかったよ〜。


4月になった。
新生活を迎えるみなさんが、
「震えるならそのままで、体の好きにさせればいい」
で不安を隠さず自分を出していけたらいいな🙏


おわり





レヴュー

まともにまとめられる自信が全くなくてまとめてから最後につける形にしました!!!
脳直感想です!!!

とにかく楽しくて幸せだった!!!!
過去シリーズ同様に今までやってきたものを出すコーナーなので過去とのつながりを感じられる時間できたきたー!!ってなるし、新参者の私も結局は歌とダンスって見てるだけで幸せになれちゃう。
何より後方や二階席を見ながらパフォーマンスする姿に泣いた。
人が増えてるのは、本当に損させないから来てねって信じて言い続けてくれたおかげだと思います。すごいなあ、ドラマだなあ。

Future is in my hands

あさひのファルチェがあまりにもよくて〜〜もうずっとプリキュアで〜〜〜〜〜〜〜〜キュアホワイト〜〜〜〜〜〜〜
さっさとおうちにかえります〜〜〜
「熱き名を世世に留め ろぉ〜〜」の「め」を16分切って歌うのめっちゃ!!かっこいい!!!
でサビ後のロングトーンありがとう!!!!今回あんまり歌ない…よね…と思っていたからのびのびの声聞こえて嬉しかった!!!
高音得意なあさひは上ハモでオタクを刺せる
あさひの表情ほんまにどうなってる 良すぎ

Trust my path

ピエナ公演を観た後に浴びるこの振り付け味がぜんっぜん違う
「俺たちはまた一つになれる」あれは公演を経て観た時どんだけ泣けたんだろう😭(そのとき青オペ知らないので…)
ピエナははるさまの深めの高貴な歌声と澪くんの開けた可愛い歌声の差が好き
ドレスにかまわずガンガンに踊る澪くんもプリキュアだった
同じ振り付け繰り返すからちょっとペンラで踊れるのが楽しい💃

夢の先finale

いっちばん好きな曲で、勝手にピアノのスローアレンジ作って自分で聞いて癒されているんで、初日流れた瞬間本当に嬉しかった。優しいメロディーが大好きで、終わりなんてないけど青山の最終回にはこれが流れてまた会えると思いながら青山ゾンビになって生きていく人生が想像できる。一番聞いている。

忘れない"で"(3度上ハモ)は音量全開で重ねて良くないですか!?!?めっちゃ響かせてくれた回大好きなんですけど
「忘れないで」って言葉は忘れそうだから出てくる言葉で、その音の輪郭がぼやけて広がっていくイメージで、単音より重ねてた方が音と言葉の親和性があるように聞こえる。素人意見すみませんけど!!

斎さんからどどどどどーって倒していくところ、どんどん遊んでいくの楽しかった〜楽そのあとの配置間に合っていないの可愛い
「踊ろうよ」の振り付けが大好きでずっとあさひのおててが好き

楽の「さよならは言わないまた君に〜」の斎さん、会場の盛り上がり方楽しかったな。日常のこととか全部忘れちゃった。

長江さん自身はガツガツに踊れる人なのにあさひが一生可愛くしてくれててありがとうが止まらない。

ずっと楽しいと思わせてくれるありがとう〜〜〜〜本気で救われた



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