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支援センターより「災害時の支援」

※この記事は、社会福祉法人 京都障害者福祉センターの「法人ニュース」に掲載した、2022年度2月号の記事を転載しています。

『もともと日本社会は他人に迷惑をかけてはいけない』と考える恥の意識が強かったが、ムラ社会的に行 動を監視しあう視線だけが残り、自己責任志向が高まった。『支え合い』の具体的なイメージや方法を思い 描く事が難しくなっている。



 これは2022年1月8日(土)の朝日新聞朝刊「ネット越しの誰か 頼りに」という記事の中で、困窮者が SNS でつぶやく事・発信する事でネットを活用した「寄付」が増加している状況に対し、その背景の説明として、 オランダ・フローニンゲン大学 田中世紀氏が指摘している内容となります。(記事によると大手の Amazon なども困窮者らを支援できる応援プログラムを提供しているようです。) 他人を助けたいがイメージがわからない。「自己責任」という言葉で抑圧構造に組み込まれている人や社会に何ができるのだろうか。

 この記事を読みながら色々な事を考えたのですが、この「支え合いの具体的なイメージ」という部分について、私達の現場でもよく直面する出来事なのかなと感じています。

 現在私たちが取り組んでいる事の一つに災害時の支援があります。
 災害時の支援を考える時に、一つの視点として発災直後は隣近所での助け合いが必要なのではないかと いう考えがあり、地域住民と障害当事者の交流、障害を知る機会の取り組みはできないか…と模索をしなが ら活動を行っています。
 以前、東部地域自立支援協議会(山科・醍醐・東山)「地域懇談会」という研修会で、「個人情報があるから どこにどのような障害のある方がいるのかわからない。どのような支えが必要なのかわからない」といった地域の民生委員さんの声が多くあった事を覚えています。その事が私の中での引っかかりとしてあり、確かに僕らみたいに普段から関わる機会がそもそもないのだとしたら、関わる機会が必要なのではないか…、地域の中で共通する事といえば「災害」であり、この事をキーワードに地域の中で支え合う取り組みをできな いかと考えていました。
 そのような中で 2022年11 月 5 日、南区唐橋学区にて高齢分野の地域ケア会議をベースに、地域住民と専門職 一緒に「災害支援の学習会・意見交換会」を行いました。 これは中部自立支援協議会(上京・中京・下京・南)災害支援専門部会の取り組みの一つで、モデル的な事業として実施しました。
 全国で「個別避難計画」の作成が謳われはじめていますが、「個別な計画だけでは不十分で、地域の中で連動した取り組み、地域の中での避難訓練に落とし込む事が必要だ」と佛教大学後藤先生からの提案もあり、唐橋学区にある西寺育成苑の小原施設長(災害支援専門部会の座長)が具体的な動きを進め、自治会長、 地域包括支援センターを巻き込む形で、この学習会へと進める事に至りました。
 内容は、今回初めての事という事もあり、まず後藤先生からの災害支援の講義、その後お互いが感じてい る事の意見交換という形で終了しましたが、地域の方々と専門職との顔の見える関係ができたのではない かなと感じています。
 具体な事はこれからが大切であり、今後は個別避難計画を作成し、それを地域の中で 個別ケア会議的な形で話し合う、地域の避難訓練時に落として実施していく…という事を考えています。
 地域で、身近で、支え合うとはどのような事か、どのような支えが必要か。 障害福祉の分野、それ以外の分野でもこの「支え合うイメージ」を作り出していく事が必要で、そのため にはまずはどのような形でもいいので実践をしていく、この事が改めて大事なことなのかなと考えていま す。



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