【部下育成】1on1では「会話」と「対話」を混同しない。
多くの日本企業でも、先輩社員と新入社員、また管理職者とその部下の間で、1on1が導入され始めています。
名前は「1on1」でなくとも、
目標設定面談として上司との面談がある企業を入れると
かなりの数になるのではないでしょうか。
1on1には、
賛成派、推奨派も多い一方、
懐疑派もまだまだ多いように感じます。
わたし自身、キャリアコンサルタントでありコーチとして、
ひとりひとりの従業員の方と面談をしたり、
指導社員の方や管理職の方に1on1を実施する側のガイドをさせていただくこともありますが、
懐疑派は結構います。
主にこんな感覚をお持ちのケースが多いです。
いかがでしょうか。
多かれ少なかれ、ちょっと当てはまる気分になったことはないですか。
実は、わたし自身、コーチをしながらもキャリアのコンサルをしながらも、かつては同じような感覚を持っていたことがあります💧
1on1とか成長支援の個別面談というと、
「傾聴しろ」=相手の話を遮らず、うんうんと最後まで聞く。
「否定するな」=何を言ってもそれは違う、分かってないな、と否定するな。
というイメージが先行して、
そんなことで人が育つとは思えないぞ!
といった誤解につながっているように感じます。
1on1は「会話」の場ではなく「対話」の場。
「対話」と「会話」。
このちがいを意識したことはありますか。
一橋大学の伊藤邦雄先生によると、
と区分していらっしゃいます。(註:わたし自身の解釈した言葉で表現させて頂いています)
1on1で行うコミュニケーションは、
「対話」の方がよいように感じます。
単に、相手の言うことを聞いてあげる場ではなく、
自分が社内で培った価値観と、
相手が現在もっている価値観のズレを、
質問などのコミュニケーションを重ねることで探索し、
どこに原因があるのかを発見すること。
そして、原因を見つけたら、
ギャップを埋めるために、何ができるかを考えること。
これが「対話」することだと考えています。
例えば、
新人と指導社員の先輩の間で、
先輩が持っている価値観や会社の風土を土台とすると、
新人の現在の報告の行動はちょっと遅いようです。
一方の新人の価値観では、早めに報告している意識だった様子。
この時、客観的に見ればわかることですが、
両者の前提とする「早め」がずれています。
そのズレがどこから発生しているのか、それを探索するのが「対話」です。
一緒に探索して、ズレを埋めるために何ができるかを導くのです。
別の言葉で言い換えると、
2人の間で、
言葉の「定義」を明確にする作業とも言えるかもしれません。
価値観の異なる相手との間で、言葉の「定義」を明確にしていく過程では、質問を繰り返しながら、相手の依って立つ土台がどのようなものなのかを知ることになります。これが「他者理解」でもあります。
自分の拠って立つ土台を相手に伝えながら、
土台にズレがあること、ギャップがあることをお互いに認識し、
埋めた方が良い部分について、歩みよる方法を考える。
こうすることで、その後のズレから生じるトラブルは大幅に回避しやすくなりますね。
最後まで聞く、とか
相手の言うことを否定するな、とか言うのは、
対話の時点で、相手の持っている土台の価値観に対して、頭ごなしに否定しない方が良いという意味です。
相手の価値観が、現在、そうなっていることに対しては、
対等な人間同士として、バカにしたり否定したりしない。
一方で、自分の価値観を相手に合わせて捻じ曲げる必要もない。
ズレを見つけて、
お互いに確認し、
で、どうするのが良いかな、と対話するのです。
ジェンダーや国籍、年齢をはじめ、
入社までの経験、入社してからの所属部門、経験した業務内容、勤務エリアや取引先との関係、、、実にさまざまなことによって、
同じ会社の社員同士であっても、
前提とする価値観は大きく異なります。
今後、所属する企業が、これまでにない新規事業に着手したりしていくと、
より人材の流動性が高まり、既卒者の採用が増え、
異業種で働く人との協働が求められる機会が増えることは必至です。
日本人は、とくに
これまでの歴史を見ると、「対話」より「会話」が得意な傾向があるのかもしれません。
「対話」力を上げることで、協働力が高まり、新しい価値を生みやす苦なることはもちろん、個人レベルで見た場合も、自分の中にこれまでなかった価値観を知り、新しい思考や判断力を身につけることができます。自己成長につながりそうですね。
なかなかの男性社会で30年働いてきたテレビマンが、コーチングやカウンセリングで「自分らしく生きる」を支援中。限定少数しか出来ませんが小学生からシニアまで。