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落語の、“陰”に咲く“陽”を観たい。



世の中は、“陰”と“陽”でできている。

陰陽のコントラストの狭間には、大きなエネルギーが満ち溢れている。

そして、その狭間に私たちは生きている。



落語は“陰”の文化だと思う。

誤解なきよう断りを入れておくが、陰陽間に優劣は無い。

太陽が優れていて、月が劣っているなんてことはない。

男性が優れていて、女性が劣っているなんてこともない。

陰陽が共に備わることが、万物の構成要素である。平塚らいてう女史とはこのあたりでの価値観が擦り合うようで、もしかすると、そうでないかもしれない。




「さや香さんって“悲哀”に満ちたものが好きなんですね」と、とある人に言われたことがある。

あぁ、なるほど、わたしは“悲しいもの”が好きなんだなと当時思った。が、とどのつまり、“陰に振れたもの”が好きなんだろうなと、ここ最近ふと気づいた。そして、自分自身で妙に納得してしまった。




だって、落語は究極に“陰”だもの。
“陰”の最たるものであると思う。


門前や花街に設けられた小屋。
仄暗い室内で展開される高座。
ブラックジョーク。
現代の放送コードに引っかかる言葉や表現。
お日様の光が似合わない噺家たち。(しかし月光は似合いそうだ)
色々と複雑で繊細な人間関係のヒエラルキー。


噺家も客もほぼ男性(元々はそういう世界で展開されていたからね)であるにもかかわらず、こんなにも“陰”に寄っている世界は珍しいように思う。極めて近いのは“ウイーン少年合唱団”だろうか。← ごめん。思い付きで言ってる。





ところで話しは変わるのだが、『ポケットモンスター』のゲームをご存知だろうか。

今や“中高年のライフワーク”と化した『ポケモンGO』ではなく、あの1996年に任天堂ゲームボーイから始まったゲームソフトシリーズのことである。

初代ソフトは『ポケットモンスター 赤・緑』

そう、ポケモンはほとんどのゲームタイトルが“対”になっており、同時に2種類のゲームが発売されていた。

ちなみに、『ポケットモンスター 赤・緑』は、赤が約418万本、緑が約404万本、総売上本数が約822万本であった。なお、世界規模で見ると約3000万本の売上だという。

他にも、このゲームシリーズは、『ポケットモンスター』というタイトルの後に『金・銀』『ルビー・サファイア』『サン・ムーン』などという“ツイン”のネームが併記されているものが多数ある。

興味深いのはここからである。

実は、『ポケットモンスター 赤・緑』の後に、『ポケットモンスター 青』が単体で発売されている。

先述した通り、赤は418万本、緑は404万本の売上であったのだが、さて、青はいかほどの売上本数であっただろうか。



売上本数、ちょっとだけ予想してみてね♪
シンキングターーーイムでーーす!(エドはるみ調に)


チクタクチクタク・・・・チン!!!
予想できた?!


では、発表!


『ポケットモンスター 青』の売上は約201万本と言われている。

400万本くらいかなぁ・・・と予想していたアナタ、どんまい!実はわたしもそう思っていましたよ。実際に売れたのはその半分ほどの本数なのです。

『赤・綠』よりも、『青』の方が単価が安いのにもかかわらず、だ。

この後も“ツインタイトル”と“シングルタイトル”での販売を交互に繰り返してゆくポケモンシリーズであるが、おもしろいことに、いずれの場合も“ツインタイトル”での売上の方が上なのだ。



マーケティング戦略において“バンドル販売”というものがある。

例えば、エムドナルドの“バリューセット”など、ポテト+バーガー+ドリンクのセットが、単体で買うよりもお得になるというセット販売手法のことである。

セットで購入することで付加価値がついてくるというお得感で購買意欲を誘う理論なのだが、ポケモンゲームのツインタイトル売りは、広義の意味で、この“バンドル販売”と言えなくも無い。

が、さらに言えば、『“対”になる2つを同時に打ち出せば、“バンドル効果”以上のものが得られる』ということである。

さて、本noteの冒頭で、 “陰陽のコントラストの狭間には、大きなエネルギーが満ち溢れている”と記述した。まさにポケモンソフトの売れ行きがそれを物語っているのではなかろうか。



だーーーーいぶ話が飛躍してしまったので、元に戻そう。


ポケモンゲームの例を出したのも、「対になる陰陽を同時に出せばババン!と弾けるよね!」ってことを伝えたかっただけで。



けして・・・

笹丸さんってポケモン好きだよなーとか

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一馬がゲーム実況始めたらしいぜ!とか。

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そう言うことを言いたかったワケぢゃなくて。


え?




何度も言うが、落語は“陰”の文化だ。

だからこそ、陽の雰囲気を纏った“滑稽噺”が多いのだと思う。陰の中から、陽を覗かせることで無意識のバランスをとっているのだと思う。

悲劇の最たるものは喜劇であり喜劇の最たるものが悲劇であるように、陰を突き詰めれば陽に転じるし、陽を突き詰めれば陰に転じるのである。

それは、サイレントムービー時代のチャップリンが教えてくれていることでもある。

わたしは“陰”に揺蕩う人種ゆえに、そこから湧き出でる“陽”が眩しくて尊くて美しいと感じている。そして、陰陽の狭間に溢れるパワー、エネルギーに魅せられた人間が集まる場所が寄席なのだと思う。


陰陽の狭間に弾ける火花に魅せられて、今日も寄席に通うのだ。






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大人の文化祭やってます♪
2021年もまだまだ突っ走ります!
ご参加お待ちしてます☆






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さや香 / 落語ジャーナル
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