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東京の変貌

通訳ガイドのぶんちょうです。今日は東京の街についてです。コロナによるパンデミック(世界的流行)が起きるなんて露ほども思っていなかった頃、東京の街のあちこちをツアーで歩き回って感じていたのは、「東京再開発まっしぐら」。とにかく、どこへ行っても工事中ばかりでした。

駅では長いこと覆いが被せられ、駅の喧噪がかき消されそうなほどのけたたましいドリルの音が続きました。ある日、その覆いが取れると真新しい壁や床が現われました。そして私もああ、このきれいな東京の設備を見た海外の人はきっと感嘆してくれるだろうなと想像したものです。個性のあるホテルも次々と開業しました。

東京五輪に後押しされた再開発の波で、古いものは次々と壊され、新しくなっていく姿を目にしていました。各国から今までにないほど沢山の人が短期間に集まるオリンピックに向けて、そこには商業的な目論見は当然あるものの、ふと思ったのは、「お客さん」を迎えるために、いい意味でも、悪い意味でも「とりあえず見苦しいものは片付けておこう」「一番いいところを見てもらおう」という日本人らしい考え方です。

それは、明治維新後に、背伸びして近代的国家を印象づけるために作り上げた銀座の街や、1964年の東京オリンピックの時に見せた日本人一丸となって作った感のある新幹線や首都高などのインフラ整備などを思い出させました。

結局、東京の街に来るはずだった「お客さん」はほとんど来ることはありませんでした。それでも、パンデミックが終わり海外の人が以前のように戻ってきた時に新しくなった東京を案内する日を静かに楽しみに待っています。

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