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ICOのアイデアをそのまま、2Dボードゲームに変換する(1)

この記事、実は昨日からの続きの話になっています。

1980年に珍しい3Dのアブストラクトゲームが発表されていました。名前はIcosagameといいます。正20面体の「面」のほうじゃなく、「骨組み(辺)」のほうをゲームボードとして利用します。棒状のコンポーネントを「カチッ」と組み立ててから遊びます。
ちなみに、数年後に「ICO the game」と名称が変更されました。販売会社名は変更なしで、本当に名前だけ変わっています。

昨日の記事に書いた通り、Nestor氏の作品、Icomegaで学んだことがあります。
「プラトン・非プラトン立体の表面で遊ぶゲーム」は、全て1つ残らず「正距方位図法」の考え方を使って平面展開図を描いてしまえば、わざわざ立体を制作しなくても、ゲームそのものは(平面のテーブルの上で)シミュレートできるのです。

そんなわけですので、何かよい教材、いや教材という言い方は失礼ですよね、えー・・・。
ずばりと申せば「いけにえ」になってくれるゲームはないかな、とその後、日々、事あるごとに探していたのです。そしてついに、見つけてしまいました。ICOです。

ICOのゲーム盤は正20面体です。いままでたくさん作図してきたのでノウハウがあり、すぐに作図できました。

ICO用2D展開図ボード
3Dの立体を2D平面展開図示したせいでひずみがあり、△が どこにあるのかわかりにくい。
2Dゲーム盤で△がある部分が、3D空間では正三角形に相当するところ。
最外周の水色の線は、3D空間的には「点」。
展開図にしたせいで、大きなひずみを生じている。
同じ色に塗られた2つの△は、3D空間では正反対の位置関係になっている。


3D立体ゲームICOを本来の姿ではなくて、2Dの平面ゲーム化したルールは以下の通りになります。

ICO   2-4 players
用具:
赤青黄緑の4色、各々30個ずつマーカーがある。これらはRod(辺)に置く。三角形の中心に置くのではない。
小さな黒い正三角形のタイル1枚
プレイ準備:
ゲーム盤に何も置かれていない状態から開始する。
このゲームは、自由に任意の場所に自分のマーカーを置くことはできない。
ゲーム開始の前に「アクティブな三角形」を決定する。
3D立体ボードで遊ぶ場合は「テーブルに接触している三角形」をアクティブな三角形と定める。2Dの紙の展開図で遊ぶ場合は、中央付近の任意の三角形に黒い三角形のタイルを置き、そこをアクティブな三角形と定める。
それ以後は、各ターンが終わるごとにアクティブな三角形は隣へと移動する。
レベル1ゲーム(Beginner's Game)
勝利条件:

正20面体(Icosahedron)の任意の1つの三角形の「3辺」に自分の色のマーカーを置いたら勝ち。(最低でも3個のマーカーが必要)
自分のターンでしか勝利宣言を行えない。もしも本人が勝利を見逃した場合はゲームを続行する。
*3D立体模型を使わずに、2Dの紙の展開図で遊ぶ場合は「三角形」の意味合いが分かりにくい。2Dゲーム盤に描かれた△マークを参考にすること。
プレイ方法:
自分のターンで行うのは、下記の2つのアクションだけ。
(注意:レベル3ゲームやレベル4ゲームでは、これに加えてボーナスアクションを行う場合もあるが、それらは後述する。)
アクション1:マーカーを置く
アクティブな三角形の3辺のいずれか1つに、自分の色のマーカーを置く。
アクション2:アクティブな三角形を隣に移動
たった今、自分のマーカーを置いた「辺」を軸として、アクティブな三角形を「隣に移動」する。
3D立体ゲーム盤の場合はその「辺」をテーブルに接触させたままで「正20面体」を回転させ、隣の三角形がテーブルに接触するようにする。
2Dの紙の展開図の場合は、その「辺」を共有する「反対側の三角形」に黒いタイルを移動する。
ここまで行ったら、相手のターンに移る。

全てのゲーム(レベル1~4ゲーム)で、ゲーム性を調節する目的で「バランス」ルールを追加適用する。

色バランス ルール:
重要!:「レベル1ゲーム」&「レベル1+ゲーム」では1つの「辺」には自分の色のマーカーは1つしか置けない。(レベル2~3ゲームでは、1つの辺(Rod)に複数の自分のマーカーを置けるようになる)
アクティブな三角形の3つの辺には、どれでも自由に自分のマーカーを置けるとは限らない。
アクティブな三角形の3辺を比較する時「自分の色のマーカーが置かれていない辺が1つしかない」時は、そこに自分の色のマーカーを置かねばならない。
アクティブな三角形の3辺を比較する時「自分の色のマーカーが置かれていない辺が2つある」時は、さらにそれら2つの辺について、マーカーの個数が最小の辺にしか、置くことができない。

個数バランス ルール:
重要!:この個数バランスルールよりも「色バランスルール」のほうを優先的に考慮すること。
アクティブな三角形の3つの辺は、どれでも自由に自分のマーカーを置けるわけではない。3辺を比較する時、「マーカーの個数が一番少ない辺」にしか、自分のマーカーを置くことができない。
例:アクティブな三角形の3辺それぞれに「1,1,3」個のマーカーが存在する場合は、マーカーの個数が「1」の辺にしか自分のマーカーを置けない。

レベル1+ゲーム(Beginner's + Game)
勝利条件:

正20面体(Icosahedron)の任意の1つの三角形と、その正反対に位置する三角形との2つの三角形の「3辺」に自分のマーカーを置いたら勝ち。(最低でも6個のマーカーが必要)
自分のターンでしか勝利宣言を行えないので、もしも本人が勝利しているのを見逃した場合はゲームを続行する。
*3D立体模型を使わずに、2Dの紙の展開図で遊ぶ場合は「正反対に位置する」の意味合いが分かりにくい。2Dゲーム盤に描かれた△マークの色を参考にすること。
プレイ方法:
先に記したレベル1ゲームと同じルール。もしもアクティブな三角形の3辺すべてに自分の色のマーカーがあり、まだ勝利していない場合は、マーカーを1つも置けないまま、アクティブな三角形を隣に移動するだけで自分のターンを終了する。

明日に続きます。


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