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ルイス・キャロル「不思議の国のアリス」。この人がゲーム作ってた事、知ってました?(3)

この記事には重要な注意点があります。必ず(1)の記事文頭に記した注意書きをお読みの上でお楽しみください。

画像ならびに、ルイス・キャロルに関する研究成果等は、主としてwikipediaの英語版から引用しています。

さて、昨日の記事からの続きです。

「ロリコン野郎」とか、「ルイス・キャロルは少女にしか欲情しないんだー。変態だー。」と1985年頃は言われ続けていたわけですが、これ、実は時代考証が、ハチャメチャ&めちゃめちゃ間違っています。

1999年以後に執筆された「ルイス・キャロルの人物伝」を読んだ人はこんな間違った理解はしていないわけなので、私より若い世代の人たちが羨ましいです。

1870年前後のイギリスの倫理観は、2024年のそれとは全然違います!

当時は、「熟した成人女性」といかがわしい行為を何か行ったとか、ましてや成人女性の「ヌード写真を撮影しました」なんてことがもしも「発覚」したら、ルイス・キャロルは社会的生命が破滅してしまう時代でした。
そのかわり、少女のヌード写真は「まだ性をしらない無垢な、天使の如き存在を撮影したもの」として、「いかがわしくない」と見なされていました。
(2024年現代と、なんか、全然真逆?変な感じですよね)

だから、彼は、写真の趣味という「沼(彼は本当に写真オタクだった)」にハマルにあたって、当時としては「無難な」被写体の「少女写真」を選んだのです。
こうなってくると、そもそもルイス・キャロルには、ロリコンっ気は、全然なかったんじゃないだろうか?という推論が出てきます。

むしろ、成人女性のいかがわしいヌードなんて撮影していませんよ!として、「健全な写真家です」と社会的主張をしていたつもりなんじゃないか?と推定されるのです。
成人女性を写真撮影するのは、とっても「倫理的にマズ」かったんです。当時は。

そして、その時代考証をちゃんと考えれば、「1870年前後に少女ヌードを撮影したからロリコンだとぉ?あんた、時代考証をちゃんと学びなおしてこい。帰れ!」と、なるのです。

さて、それとは別に、私が非常に気になるのはアリス・リデル嬢の、その後の行動のほうです。
彼女は、それから数十年後、Dodgson(ルイス・キャロル)からの「お願いの手紙」が自宅に届いた時、「了解!!」といわんばかりに彼の頼みを快諾しています。
(たしか、快諾の内容は、ルイスキャロル直筆の本を、短期間ながら筆者本人に「貸した」エピソードではなかったっけ?:不確かな情報)

あるいは、アリス嬢が高齢になった頃、家(嫁ぎ先)の資金が足りなくなる不幸な事態に見舞われるのですが、そのタイミングになってから、やっと、ルイス・キャロル直筆の「地下の国のアリス」を競売に出したとの記録があります。

これら2つの、アリス嬢にまつわるエピソードは、彼女が10歳頃、ルイス・キャロルとワードゲーム(コトバのパズル&ゲーム)で遊んだピクニックの思い出が、すごく楽しかったと。
それが彼女のセピア色した、大切な幸せの思い出の1ページであったことを示す、2つの大事なエピソードだったように私は想像するのです。

全くの想像ではありますが、彼女はいつでも手が届く書棚に、ルイス・キャロル直筆版の童話「地下の国のアリス」を、大事に保管し続けていたのではないでしょうか?

そんな風に想像するとき、ルイス・キャロルが、アリス・リデルに求婚したという事実があったなんて私には絶対に信じられないのです。ありえないほうに「一票」を投じます。
もし、そんな大事件があったとすれば、アリスにとって、ルイス・キャロルという人物は「暗黒の思い出」になっちゃうでしょ?
それって変ですよ。
「暗黒の思い出の人」から手紙が来たら、読まずに捨てますよね?
また、そんな人の直筆の童話本なんて、気持ち悪くて、もっと早期に競売に出しますよね?

1985年頃は「ルイスキャロルは成人女性が嫌いか、あるいは成人女性を怖がっている。彼は少女だけに恋愛感情を感じる変態野郎だ。」というまことしやかなウワサが発生しました。
これ、実際には、彼自身の行動・言動がその噂を引き起こした原因になってる、という側面もあると推察しています。

いや、むしろ
「俺ってさ、ちょっと変人なんだよね、ちょいと変わったヒトなのさ!」
という演出・演技をして、日々を過ごしていたんじゃないかな?と思わせるフシがあるのです。
例えば、頻繁に表れる「my child-friend」という表現に、私は着目しています。
これ、子供の友達っていう意味ですから、すでに30歳とか40歳の男が言うと、「奇妙~」な感じです。
「お前の友人って、10歳かそこらのガキしかいねえのかよ?!」ってなんとなく「えぇぇ~!」って感じてしまうワードです。

でも、ずっと前(知り合った頃)は子供だったけど、今はすっかりオトナな人をさす時も、そのワードを使っているのです。年齢だけを意味してこのワードを使用していたわけではないみたいです。
「俺、子供好きなんだよね。変わってるでしょ?」という自己演出を日々やってたんじゃないか?
わざと意図的に「変人=ルイス・キャロル」を自己演出してたんじゃないか?と私は疑っています。

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さて、その一方でルイス・キャロルさんといえば、「吃音」だったことも有名です。
友人たちのほうは、あんまり気にしていないのに、(友人からみれば)異常ともいえるくらいに、ものすごく本人は「吃音」のコトを気にしていたそうです。
彼にとって、強烈なコンプレックスになっていたのだろう、と推論されています。

実際、不思議の国のアリスに登場するキャラクター「ドードー」は、彼の本名Dodgsonから来ています。彼が自分の名前を名乗る時に「吃音」で出た音をキャラ名にしたと推定されるとのこと。
要するに「ドードー」は自分自身を皮肉った、自身を投影したキャラだということですね。
それを分かったうえで、もういちど「不思議の国のアリス」を読むと、また違った感想が得られるかもしれません。

気が付けば、ゲームの紹介がすっかりおろそかになっちゃいました。
明日はゲーム紹介に戻ります。
 

ゲームシステムのデザイナーって、何なの?どういう意味? そんな疑問は、私の記事群によってご理解いただけるものと期待してます。 ラジくまるのアタマの中にある知識を活用していただけるお方、サポート通知などお待ちしています。