見出し画像

ルイス・キャロル「不思議の国のアリス」。この人がゲーム作ってた事、知ってました?(6)

この記事には重要な注意点があります。必ず(1)の記事文頭に記した注意書きをお読みの上でお楽しみください。

画像ならびに、ルイス・キャロルに関する研究成果等は、主としてwikipediaの英語版から引用しています。それに加えて、彼の友人らの記述等も一部引用していますが、すべてwikipediaの文末に参考文献リストとして書かれている書籍類に基づきます。

今回は「この連作記事」における最後のゲーム紹介です。ほんもののゲートボールの話になります。ボドゲとは関係ないです。このゲームルールを読めば読むほど、絶対にルイス・キャロル氏は、クローケー(ゲートボール)大好きだったんだろうなぁと伝わってきます。
彼の人柄を伝える貴重な資料だと私は思うのです。

数学者、として引きこもり生活をしていたとは絶対に思えません。
それなりの人付き合いだったかもしれませんけど、ちゃんと友人らと、ボードゲームしたり、時には太陽の下でゲートボールやったり。
ごく普通のイギリス人らしい行動もちゃんとしてたよ。何でもかんでも「変人」という一言で、この人を分類しようとしちゃいけないんだよと、そんな風に私は思います。

・・・でも、やっぱ、変人でもあります。
なぜなら、ビクトリア女王様から「あなたの作品は面白いわ!別の作品も読ませてちょうだい。」と言われて、お送りした本が「数学概論」に関する論文だったというエピソードがありますから。
いったい、誰がそんなの読みたがるっての?
童話作家であると同時に、数学者でもあるから、こんなことになったのかなあ。でも普通だったら、そんなことはしないよね。

Castle Crockey    4 or 2 players
*重要な注意:このゲームは、本当にクローケー(ゲートボール)の用具セットが必要です。つまり全くボードゲームではありません。スポーツの一種です。
しかし、ルイス・キャロルさんの人物像を記録して後世に残すという、せっかくの機会なので、あえてこの場に記します。
勝利条件:
誰よりも早く、対戦相手の城(旗で表現)を訪問して、急いで自分の陣地に帰る、という競争ゲーム。
1人当たりボール2個持つ。それぞれ「兵士」と「見張り」と呼ばれ、役割が異なる。
相手の城を訪問するのは「兵士」だけ。また万一、「兵士」が捕虜になった際に、救助できるのは「見張り」だけ。
用具:
クロ-ケー用スティック(棒)4本
クローケーボール 4色x2個 
 直径7~8cmが望ましい。
クローケー用フープ(ゲート)
 横幅サイズ20cmx高さサイズ28cmが望ましい。
棒についた旗  4本
地面 18mx18m以上の四角な平原が必要。
準備:
下図のようにクローケーの設備を設置する。

各自に、城(旗)、ドア、門がある。
それら3つの近くを「陣地」とする。
また、この図は水色チームのドアや城を省略して示している。

遊び方:
基本的には、自分のターンでは1回、自分の「兵士」ボールをスティックで打って進める。(任意のタイミングで「見張り」ボールを打つこともできる)
  *2回打てる特例あり。その点は後述。
「兵士」のボールは、まず自分の陣地の「門」を通過し、次に、時計まわりに対戦相手の城(最大3つ)を訪問する。
当然ながら、対戦相手の城(旗)に「兵士」ボールをぶつけるためには、
まず先に、対戦相手の「門」をきちんとくぐり、次に「ドア」をきちんとくぐらねばならない。そこまでやってから、「旗」に「兵士」ボールを当てること。
対戦相手の城から帰る時も全く同様に、「ドア」も「門」も両方とも通過しなければならない。
捕虜(ほりょ)のルール
次の条件が発生した時は、あなたの「兵士」は捕虜になってしまう。
1:自分の「見張り」も、対戦相手の「見張り」もどちらの見張りとも各自の陣地の中にいて、そのタイミングで兵士が「対戦相手」の「門」を通過してしまった時。
2:いかなる状況であっても、とにかく対戦相手の「見張り」にあなたの「兵士」がぶつかった時。
これらの場合、あなたの「兵士」は、対戦相手の城(旗)のすぐ後ろに置かれる。開放されるまで「兵士」はここから動かせない。

捕虜を置く場所。そして解放された時に置く場所

捕虜(ほりょ)を開放するためのルール
次の条件が発生した時は、あなたの「兵士」は捕虜状態から解放される。
3:対戦相手の「見張り」が、対戦相手の「門」を通って陣地から外に出た時
4:自分の「見張り」が、対戦相手の「門」を通過、そして捕虜となっていた「兵士」にぶつかった時。
●「見張り」ボールの動作制限ルール
「見張り」は自分の陣地の「門」を通過して「自分の陣地」から外に出てよいのは1回限り。さらに、外に出た「見張り」が、再び自分の陣地の「門」を通過して中(自分の陣地の中)に入るのも1回限りしかできない。
「見張り」ボールが空間的にどこに存在したとしても「門」から外に出たかどうかで本件は判断すること。
「見張り」が自由自在にいろいろな場所に移動できるのは自分の陣地の「門」を通って陣地の外に出ている時だけ。陣地内にいる状態の「見張り」は、陣地の内部と皆が納得できる範囲内でしか動いてはならない。
自分の「見張り」ボールと自分の「兵士」ボールの2つが、接するほどに近くにある時に限り、スティックの一打で両方ともいっぺんに動かすことは禁止。打ち直し。
●2回続けて打てる、特殊な場面。
1:兵士が対戦相手の旗に当たった時
2:捕虜が解放されて、初めて打つとき
3:見張りが初めて「門」を通過して外に出た時
4:見張りが初めて、自分の陣地の中に帰るために、「門」を通過した時
5:捕虜を捕まえた時
●2個以上のボールの重ねうち
自分のボールと、対戦相手のボールとがすぐ近くにある場合に限り、2個以上のボールをスティック一振りでたたいてよい。
●筆者補足:
捕虜状態から解放された直後の「兵士」の動きが明確に記されていないのですが、たぶん解放された「兵士」は、対戦相手の「ドア」も「門」も両方ともに通過しないといけないのだろうと推定します。
 


ゲームシステムのデザイナーって、何なの?どういう意味? そんな疑問は、私の記事群によってご理解いただけるものと期待してます。 ラジくまるのアタマの中にある知識を活用していただけるお方、サポート通知などお待ちしています。