そこに在ることの意味

今度は何を作ろうかと材料箱を覗いたら、あんなに大きかった袋たちが萎みきっていた。買い出しで新たな案に出会う事を楽しみとしよう。

--

決して華やかではない木々をいくらか歩いた。

途中で小さな白い花の集落を見つけた。


君にここを見せたかったんだ。


蔦がよじ登っている壁を抜ける。


深い群青はその先を隠し

ぽこぽこと音を奏でながら上へ上へと向かっていく。

風船のように自由に浮かぶ半透明たち。


とても静かなところだろう?

ここでは"他人"に会うことはほとんど無いんだ。

暗いせいか曖昧な存在がそう教えてくれた。

きっとここにいる皆がそうなんだろう。

半透明たちのように。


ぽこぽこという音が心地いい。

きらきらと動く波紋の空に吸い込まれていく。

不定期に射し込んでくる白い円柱は

誘うかのよう足元を照らした


かなり長い間、音と半透明たちを堪能していたと思う。


扉の向こうから猫の呼ぶ声が聞こえてきた。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?