健康と自己変革を軸とした小さな旅〜Exercise, Learn, and Eat〜
週末「せりウォーク」というモニターツアーを開催しました。
ざっくりいうと、集合場所の最寄駅からせり畑を経由して7キロ程あるき、最後はせり鍋を食べる内容です。
【地域が求めているツアーをつくる】
DMO事業の一環として開催したこちらのモニターツアーは、地域の皆様の意見をお伺いするところからスタートしました。
「ワークショップしますから集まってください」ではなく、スタッフが地域のみなさまを何度もお伺いしながら「このまちにどのようなツアーがあれば地域が輝き元気になるか」を探り、一緒に考えます。
繰り返す訪問の中、地域のみなさまから聞こえてきたのが「このまちをあるいて楽しんでもらいたい」という声でした。
「マーケットイン視点でお客様のニーズを取り入れる」
「プロダクトアウト視点で地域の希望を具現化する」
みたいな話、よく耳にしますよね。でも、
お客様のニーズを満たしても地域がハッピーになれないと意味がないし、
地域が満足でも、お客様が喜んでくれなければ意味がないです。
つまりどちらも大切。
当たり前ですが見落としがちです。ツアーを作ることが目的にならないよう注意が必要です。
【あと400年続けるためにどうするか?】
出発から2キロ程歩いてせり農家の三浦さんの畑に到着。
宮城県の中でも名取市はせり生産の約8割を占める主要な産地。江戸時代から400年以上もこの地に息づいています。
三浦さんから語られるせり作りへのこだわりや地域との関わり、そして教育への想い等に耳を傾けます。
せりの育成には井戸水を使っているとのこと。しかしその井戸水も有限。いつまでもわきでてくれるとは限りません。
未来の先食いをせずきちんと今と向き合う。400年この地に息づいているせりを、次の400年へと継承していく。
三浦さんのお話を、自分や子供たちの未来に重ねながら想いを馳せる、ほっこりとした時間でした。
ちなみにその場で提供いただいたせりがとってもおいしかったです。
生のせりに塩胡椒とオリーブオイル。シンプルだからこそせりそのものの味が引き立ち、箸が止まりませんでした。ぜひ試してみてください。
【せりウォークの主役は何か?】
もちろんせり!
ではなく”あるく事”です。
地元の方にもご参加頂きましたが、今回のルートは普段から車で通るエリアなのだそうで「面白い物や景色はない」と思っていたそうです。
しかし実際にあるいてみると、暮らしていても気付かない新鮮さがあったと驚いていらっしゃいました。
私は初めて歩いたエリアだったので、
「野菜を育てている家が多いなぁ」
「カスタムカーショップが多いなぁ」
「こんなところにお菓子屋さんがあったのか」
「そうか、ここまで津波が来たのか」
など移り変わる景色に飽きることなく、地域の暮らしぶりや震災復興を感じながらウォーキングを楽しみました。途中、犬の散歩している地元の方に声をかけていただいたのもほんわかしました。
ウォーキングのいいところは、あちこち寄り道できること。実際通りすがりのお菓子屋さんに立ち寄りおまんじゅうを購入。歩きながらエイド食的に美味しくいただきました。
自転車だと「1キロ毎に止まる」みたいのは想像しにくいかなと。一度漕ぎ出したら10キロ?位は走ってしまいそうですよね。
テクテクあるくからちょいちょい立ち寄れて、ちょっとした地域消費のきっかけや地域交流にもなりやすいなと感じました(自転車の旅も好きです!)。
【運動して学んで食べる】
三浦さんのせり畑を後にし、約5キロ先のゴールを目指します。途中、みちのく潮風トレイルのルートも歩きました。
舗装された道路を歩いても、その時だけの音や匂いがある事に気付きます。そしてこのあるく時間があるから、到着後のせり鍋がおいしいのです。
ゴールでは先ほどの三浦さんが待っていてくださり、自ら奉行となりせり鍋を作って頂きます。これまた贅沢な時間!そしてめちゃくちゃおいしかったです!
シンプルにせりと鴨団子だけのせり鍋。根っこが旨い!
せりが主役のツアーならば、車でせり畑を訪れます。トータル7キロあるく必要はないです。
このツアーでせり鍋はトレイルセンターの調理室で作って食べます。せりだけが主役ならば、料亭で食べた方が満足度は高いでしょう。
今回は”あるく”を軸に、「運動する」「学ぶ」「食べる」という人間の本能的とも言える要素が組み合わせとなり、さらには「人との交流」も自然と生まれます。
そして、半日の小さな旅を通して自分の中に何か小さな新しい気付きや変化が芽生える。
遠い山奥に行かずとも近所のまちでできる「まちあるき」は、今後改めて注目されると思います。地域再発見的な視点で地元の方も楽しめ、もちろん県外や海外からの観光客にとっても魅力的なアプローチに違いありません。
その時重要になるのは「ガイド」の存在です。この話はまた今度。
読んで頂きありがとうございます。東北にお越しの際はお気軽にご連絡ください!