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『ソラナム~オルピと紫夢の召喚士~』第二話 【創作大賞2024・漫画原作部門 応募作

シーン1

●オルピ自宅・朝

自宅のベッドで目が覚めるオルピ。
まだ、ぼんやりとしか光景が見えない。
さきほどまでの事が夢だったのか何なのか
良く理解できない様子。
ふいに、一階から聞きなれた声がする。
  
 オルピ「(あれ、、、僕たしか、、、)」
 
    ラルピ「オルピ!早くしないと遅刻するわよ!今日は学期末でしょ!?」
  
母親の声で慌てて、下に降りるとラルピはびっくりしたように話す。
  
 ラルピ「全然準備できてないじゃないの!急いで食べなさい!!」
 
    オルピ「母さん、昨日どうして消えちゃったの!?
 お父さんは??」
  
 オルピはまだ母に会えた安堵感と、自分の経験したことがうまく消化できず困惑気味に話す。するとソファに座っていたオルガが不思議そうに語りかけ、オルピは驚いて振り向く。
 
 オルガ「ん?父さんはここにいるぞ。」
 
    オルピ「父さん!!学校に行ったんじゃなかったの??」
 
    オルガ「ん?今から学校に行くのはお前じゃないのか。」
  
 オルガが冗談ぽく話す姿は、わざと言っているようには見えない。続けてラルピが困惑している様子で話す。
  
 ラルピ「もう、変なこと言う子ね。とにかく、早く食べないと遅れるわよ!今日は大事な日でしょ!!」
  
オルピは、なんとなく今の状況が理解でき始める。
と同時に、よく見ると家の中の様子が自分の知っているそれとはずいぶん違う様相であることに気づく。家の中のものが、丸みを帯びた紫がかったものが多い。
  
 オルピ「(夢で見たものと一緒だ、、、、)」
 
    オルピ「母さん僕、、」
 
    ラルピ「ほら、間に合わないわよ!!!」
  
 ふと食卓に目をやると、昨日と変わらない食事。
 ただ、ナスビだけが見当たらない。オルピは色々まだ頭で理解できないような表情で見つめるが、ラルピも少し心配交じりで不思議そうに見つめる。
  
 オルピ「ナスビが、、、無い」
 
    ラルピ「ナスビって何のこと言ってるのほんと今日はおかしいこと言うわね」
 
    オルガ「大丈夫か?どこか調子が悪いのか??」
 
    オルピ「う、ううん、、、大丈夫(ほんとに何かおかしくなってる、、、)」
  
 昨日と同じ光景のはずが色々な違和感を覚えつつ、
 オルピはご飯を口にして、2階へ戻り学校への準備をする。よく見ると自分の部屋も、丸く紫色に変化しているものがたくさんあることに気づく。
  
 オルピ「どうなってんだ、、、ほんとに」
  
オルピは違和感をぬぐえないままだが、学校へ向かい始める。
  
 オルピ「いってきます、、、。」
 
    ラルピ「いってらっしゃい!頑張るのよ!!」
 
    オルガ「気をつけてな。」
  
オルピは何を頑張ればいいのか意味がわからなかったが、他にも違和感だらけの朝に、とまどいを覚えながら学校へ向けて出ていくが、やはり街中の景色も以前のものではなかった。
 
 オルピ「やっぱり全部変わってる、、、」
  
シーン2 

●通学途中の空・朝

頭の中が整理できない状況の中学校へ向かっていくと
いつものようにレイスが合流する。レイスはいつも通り挨拶をしてくるがオルピの表情は暗い。レイスも不思議そうだが、どこかで心配の気持ちもありつつ声をかける。
 
 レイス「おはよう。」
 
    オルピ「おはよう、、、」
 
    レイス「あら、あなた浮かない顔して。いつもの元気がないじゃない。普段よりも飛び すぎて疲れてるんじゃないの?」
 
    オルピ「あ、うん。何でもないよ。レイスは元気なの?」 
 
     レイス「え、何よいきなり!今までそんな事聞いてき たことないじゃない。熱あるんじゃない?」 
 
     オルピ「、、、、大丈夫。」
 
     レイス「キツいのなら無理はしないように
しなさいよ。ほんとにもうっ。」
 


シーン3


●スコーリア教室・朝

学校についたオルピ。ただ、不思議なことに学校とその周囲に関しては、以前から知っている様子と何の変化もない様子。オルピはさらに困惑しながら教室へ向かう。
すると昨日同様、ジャールが話かけてくる。
 
 ジャール「オルピ!今日は遅れてねーじゃねーか」
 
    オルピ「おはよう、、ジャール。」
 
    ジャール「え、なんだよ!元気ねーじゃねーか!」
 
    レイス「なんとか言ってあげて、朝からずっとその調子なのよ」
 
    ジャール「さてはお前、朝ご飯食べ損ねたんだろ!!  あとはそーだなー、まりっじぶるーってやつか」
  
    ジェダ「フフ。それでないことだけは間違いないな。」
 
    キッパ「オルピ、、、大丈夫?」
 
各々が心配する中、オルピはとぼとぼと歩き自分の席に着く。すると担任のベルダスが入ってきて、生徒たちは同様に席につく。ベルダスもいつもと変わらず声をかける。
 
 ベルダス「みんな揃っているかー。今日は学期末なので、アゴナスがあるぞー!ちゃんと準備してきたかー?」
 
   ジャール「先生!俺今回はベスト4狙ってるんだ」
 
    ジェダ「俺の1位は揺るがないがな」
 
オルピは会話の意味が分からず困惑する。
 
 オルピ「アゴナス、、、?マナメジャーじゃなくて?」
 
   レイス「何いってんのよ。マナメジャーは昨日終わったじゃないの。ほんとあなた大丈夫?ずっとおかしいわよ?」
 
レイスは本当に心配そうにオルピに語り掛ける。ベルダスが話す。
 
 ベルダス「ははは。オルピはまだお目覚め前なのか?いいだろう。改めて説明してやろう」
  
    ジャール「ええー、もう3回目だからいいよせんせー」
  
     ベルダス「まあ、そういうな。ジャール。ルールなどを含め改めて確認することは大事なことだぞ。」     
 
    ジャール「ちぇ、、はやく戦いたいのに」
 
     オルピ「たたか、、、う?」
 
ベルダスは、不思議な黒板に図のようなものを表示させる。横にはいくつか、文字でルールが書かれている。
 
 ベルダス「昨日のマナメジャーの結果で選ばれた16人は以上だ。厳正な組み合わせ検討の結果事前告知の通りこのような対戦になっている。」
 
前に掲示には、トーナメント表のようなものが描かれている。オルピは自分の名前がそこにある事を初めて知る。
 
 オルピ「僕とキッパ、、、??」
 
ベルダスは説明を続ける。
 
  ベルダス「それぞれは、自身のサモンでアゴナスに挑む。大事なルールは3つ。」
  
トーナメント表の横に数字と共に文字が浮かび上がる。
 
 ベルダス「一つ。サモン発現後は、闘いが終わるまでは、【同調:アフォム】ではなく【同化:エノシ】で闘うこと。一つ。勝負はサモンが消失するか、どちらかが場外に落ちるまでとする。 一つ。マナをサポートするアイテムは使用禁止とする。  以上だ!」
 
オルピはもう何も理解ができないという反応。
しかし、周囲はすごく意気込む様子に動揺を隠せない、
 
     レイス「あなた、今日体調悪いんだったら棄権しなさいよ。どーせ、あたしとジェダで決勝戦になるんだから。」
 
     オルピ「レイス、、戦うって、僕とキッパが争うってこと?戦うって何をするの??」
     
     レイス「あなた、、、先生、オルピは今日はやめといたほうがいいのではないでしょうか。本当に具合が悪そうです。」
 
レイスは深刻そうにベルダスに訴える。
 
 ベルダス「オルピ、そうなのか?であれば、今日はキッパの不戦勝ということにするのもアリだぞ」
 
     キッパ「オルピ、、無理しないほうがいいよ、」
 
本来は負けず嫌いなオルピな性格もあり、
判断して返事をすることがオルピにはできない。
 
 ジャール「なんでぇ、お前よー!2回戦は俺とやるって昨日まで意気込んでたじゃねーかよ。なんだそれ」
 
ジャールは不服そうな様子。
ベルダスが場をまとめるように話す。
 
 ベルダス「わかった。とりあえず、試合場に移動して
出番になって無理そうであればその時に申し出なさい。いいか?」 
 
 オルピ「はい、わかりました。」
  
シーン4 

●教室~アゴナス試合場・朝 

ベルダスとの会話を機に、試合会場に移動する。
一人で列についていくオルピの後方で、レイス達が会話している。
 
 レイス「ねえ、今日のオルピ、本当におかしいと思わない?」
    
    ジェダ「あぁ、確実にいつものあいつではないな。
昨日とは別人みたいだ。」
 
    レイス「家で何かあったのかしら、、」
 
    ジェダ「わからない。でも俺たちがちゃんと見てやらなきゃ今日はあいつ乗り切れないぞ」
 
     レイス「そうよね、、、」
 
やがて、一行は試合会場に着く。
オルピは初めてリングを見て驚く表情を見せる。
 
 オルピ「何だここは、、」
 
   ベルダス「よーし、それでは早速初めていくぞ。
まずはジャールとケノだな。二人とも頑張れよ!!」
       
オルピの驚きもよそに、ジャールとケノが
試合場に進み試合が始まっていく。
 
 ジャール「うーし、手加減しないからなー!」
 
     ケノ「負けないぞ!」
 
     ベルダス「それではアゴナス1組目、はじめっ!」
 
 
第二話 ~終~

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