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寒さと暑さっていったい何?

こんにちは、イトーです。
今年は寒くなるといわれていながら、11~12月中旬くらいまで例年よりあたたかかった印象ですが、最近一気に寒くなってきましたね。

ぼくはいま京都に住んでいるんですが、普段めちゃくちゃ住みにくくて嫌いな土地ですが、雪がふったときのエモチルさは世界中でもこの土地でしか味わえないほど美しいです。

さて、ということで今回のNoteはサイエンス系のお話として、なぜ私たちが温度を感じるのか、つまり暑い寒いという感覚はどこから来るのか、そのメカニズムについて勉強していきたいと思います。

暑い寒いっていったい何なんだ!?

端的に言って、ぼくたちのからだには温度を感じるセンサーが備わっています。そのセンサーが外気の温度変化を感じ取って、電気信号として脳に指令を伝えます。これがぼくたちが暑い/寒いを感じる要因です。

さてそのセンサーとはいったい何でしょうか?基本的に上皮、つまり皮膚の表面に「温度感受器(温受容器または冷受容器)」と呼ばれる神経群が存在しています。この神経群が温度の急激な変化(厳密には、体温と外気の大きな温度差)を感じると、その信号が脊髄へ伝えられます。

ここで脊髄は、反射をつかさどる神経群として定義する事ができます。すべての刺激や思考およびそれに基づく各筋肉や臓器への指令は、脳で最終的に処理されますが、すべての情報を脳まで伝えていては時間がかかりすぎ、とっさの対応ができません。そこで、脊髄には神経の束が集まっていて、脊髄がほとんどの信号を中継します。そして、脳まで伝えていては間に合わないような重大な対処が必要な事象に対しては、脊髄反射という形で脊髄が脳を代理して判断・指令をくだします。

温冷の仕組みも一部反射が関わっています。生命に関わる重大な、温度変化(つまり、熱湯がかかったとか、液体窒素が漏れたとか)に対しては、反射という形で体が物理的な対応(お湯をよける、すぐに水につける等)の行動をとります。

一方で、反射の後や普段のゆるやかな温度変化に対しては、外側腕傍核と呼ばれる脳の領域を通して、温度変化へ対応する最終的な司令塔である視索前野へ伝えられます。

視索前野は、皮膚が感じた温度変化が、暑いか寒いかの方向性に従って、体に温度変化に対する対処を下令します。

温度変化を感じると体はどう反応するか?

視索前野に情報が伝えられると、わたしたちは、暑い/寒いと感じます。しかし、ただ感じるだけではなく、感じれば、その変化に対応するアクションを体はとります。

なぜなら、私たちが無感覚であるということは、それが定常の状態であり、不快に感じることを放置する事は生命への危機につながる可能性があるため、私たちは快/不快の感覚を持っているからです。

つまり、痛みや熱と同じように、暑い/寒いなど定常状態と異なる感情を感じることそのものが、身体に対する異常に対して応答せよ、という命令と同義です。

視索前野は、脳の司令塔である視床下部に存在し、興奮性(グルタミン酸作動性)ニューロンと抑制性(GABA作動性)ニューロンが集まっています。

体が暑いと感じたとき、視索前野では抑制性ニューロン優位な状態となり、暑さから身を守る経路が活性化されます。この経路とは、主に二つであり、「体から熱を放散」する動作と「熱生産を抑制」する動作が誘因されます。

前者は、毛穴が膨張し、体表面から熱を放出しやすい状態にすると共に、汗を分泌して、気化熱を利用した熱放散が起きます。

体内に、水分が不足すると汗が分泌されないと体表面を冷ますことができなくなるだけでなく、そもそもあらゆる生命機能に必要な水が枯渇するために、熱中症が起きます。ちなみに熱中症で真っ先にダメージを受けるのはです。しかし、脳そのものには温度を下げるための仕組みがない為、末梢つまり頭から下の熱放散に頼るしかないのは、非常に不便です。

なので、熱中症らしき症状が出た場合は頭に近い体の部位、とくに太い血管が集まっているところを冷やしましょう。後頭部(というより首の後ろの上の方)、首の両側、太もも内側、腕の内側の順番に効果があります。

反対に、体が寒いと感じたときには、視索前夜で興奮性神経優位の状態となり、寒さから身を守るアクションをとります。「熱産生の促進」と「体温の保持です。」。寒いと感じると体は自然と震えますが、これは筋肉を動作させることによって熱を生み出すと共に、温まった血液を全身に送る為のポンプの役割を果たします。

そして、後者の為の体の反応が鳥肌です。しかし、現代の私たち人間にはほとんど意味がないと思われれます。鳥肌は進化上の名残でしかありません。わたしたちの祖先は猿です。そして猿は長毛種に分類されます。このような種では、寒いと感じると体を温めるために毛を逆立てると同時に、皮膚から熱を放散します。熱を放散すると体温が下がるように思われるかもしれませんが、毛を逆立てて空気の層を作っているため、熱は毛と皮膚の間の空気層にトラップされ、体表面に留まります。

魔法瓶や断熱窓などと同じ仕組みで、空気の層が温度の変化を抑制しますので、体から放散され空気層にとらえられた熱は、暖かくあり続けます。この毛を逆立てるための仕組みが鳥肌です。猿、犬などの長毛種は体温を保つ仕組みとして鳥肌があります。面白いことに、体表の毛が退化した現在の人類の体は、いまだにこの時の記憶を強く残しているのです。そして、私たちは無くした体毛の代わりに、冬には服を着こみます。

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さて今回は、暑い/寒いという温度変化を体が感じる仕組みについて、説明してきましたが、脳神経科学という比較的得意な分野だったので、いつものようなエセ科学にならず、比較的まじめな話になったのではないかと思います 笑

ちなみにこの内容はPodcastでもお話しています。Podcastの方が行き当たりばったりなので、専門的ではなく雑談的なので、場合によってはこちらの方がわかりやすいかもしれません。次回は、2/7月 配信です!https://t.co/3g5U7ZxdFJ?amp=1

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