ご挨拶がわりに、本について話します。

当時、本棚をつらつら眺めて書きました。もう2年くらい前になるんですけど、変わらないですね。
名付けて「棺桶に入れてもらう本10選」。

①論語/孔子 岩波文庫
人生に必要なことは全部論語に書いてある。孔子は意外と愚痴っぽくて人間くさい人だけど、キリストよりずっと前に、世界で一番大切なものは愛だろ、と言い切った世界最初の人。孔子の言う「仁」ってのは、突き詰めると自分以外のすべてに対する「配慮」ってことで、これがなくなったら人類は滅ぶと思う。

②SF教室/筒井康隆・伊藤典夫ほか (「筒井康隆コレクション 48億の妄想」(出版芸術社)所収)
今で言うところのヤングアダルト向けのSF入門書。小学生の頃図書館でこれを手にとって、SFに目覚めた。紹介してある作品は全部読んだ、と思う。SF入門の本なのに、筒井康隆が勧めた本は「人間そっくり」(安部公房)。ぶっ飛んでる。それを間に受けて「人間そっくり」を中1で小遣い出して買って、衝撃を受けた。長らく絶版でしたが去年めでたく再刊されました。

③人間そっくり/安部公房 新潮文庫
その人間そっくりです。物語はひたすら会話で進行し、だんだん狂気にまみれていく。僕はこの本に出会って安部公房読むようになって、頭のネジが一回全部外れました。

④宮沢賢治詩集 角川文庫
僕の言葉はほとんど宮沢賢治と中原中也とボブ・ディランでできております。

⑤中原中也詩集 角川文庫
僕の言葉はほとんど宮沢賢治と中原中也とボブ・ディランでできております。

⑥ボブ・ディラン全詩集 晶文社
ボブ・ディランはいつノーベル文学賞とるんだ、っていうのが昔の僕の口癖でした。

⑦夏への扉/ロバート・A・ハインライン ハヤカワ文庫
中学時代に読んだ本って多分一生忘れないものがあるんだろうな、と思います。ハリウッドですら映画化しないような甘々のストーリー。

⑧10月はたそがれの国/R・ブラッドベリ 創元推理文庫
ブラッドベリ好きっていう人のオールタイムベストっていうとだいたい火星年代記なんだけど、この短編集はブラッドベリ全てが詰まっていると思っています。イラストもおすすめ。

⑨アンドロイドは電気羊の夢を見るか/P・K・ディック ハヤカワ文庫
人間って何。何をもって人間っていうの。僕は中3でこの作品を読んで、周りの人間が人間じゃないのではないかという妄想にとらわれて半年精神科に通いました。

⑩アルジャーノンに花束を/ダニエル・キイス 早川書房
本を読んで号泣したことなんてなかった。この本に会うまでは。
ヒューゴー賞かなんかの受賞パーティーで、アシモフ御大に「どうやったらこんな小説が書けるのですか?」と聞かれたキイスは、はにかみながらこう答えたそうです。
「いやあ、私も知りたいです。誰か私に教えてくれないですかね?」
キイスはこの作品でSFの世界にゆるぎない金字塔を打ち立てたわけですけど、この小説には技巧と感情の両方が詰まっている。技巧と感情の両立ができるのは、キイスと辻村深月さんだけだと思います。

次回は棺桶に入れてもらいたいCD10枚、を。

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