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平凡の難しさ。

現役で働いていた頃、ある分野で日本のトップエリートと言われている人達の仕事をサポートする業務をしていた。彼らは物凄く優秀で、でもあまりにも忙しすぎて、過酷すぎて、でもやるしかない環境で、彼らは給料は同年代平均の何倍も貰っていたが人間として扱われていなかった。

多くの優秀な人を前に、自分はこうはなれない、これはできないということをまざまざと見せつけられると同時に、彼らの人としての普通の感情や感覚が失われていくこと、そうしないとやっていられない状況も見ていた。

その場にいるみんな目がおかしかった。同僚が心を病んだ時、私がダメなんです、私がおかしいんです、と言っていた。違う、そんな扱いをしてくる彼らがおかしいんだよ、彼らもそんな扱いをされているから。それがわからなくなるぐらい囲われた環境で、私は休日のたびに外部の友人と会った。普通の感覚を思い出すために。

私は病まなかった。仕事を続けたかった。目立たないように細心の注意を払った。できます、と言うとすぐに豚扱いの場所に放り込まれ、できなければすぐに辞めさせられる。その中間でいること。平凡で普通の地味な存在でいること、それがどんなに難しいかを学んだ。

難しいんだよ。普通でいることは。大抵の人はどこかしら目立っていることは、わかるだろう?そこが打たれる理由になる。他人の粗探しが生き甲斐の人間なんてごまんといるから。

だからと言って好き勝手に心のままにのみ生きると、それはそれでいずれ精神を病む。特に男は。なぜなら結局は、期待され期待に応えることが愛であり幸福であったりするから。

人間関係がうまくいかない人ほど何も勉強していないけれど、そういう人は他人や環境のせいにしてばかりいる。うまくいっている人は、努力している、普通でいるために。

これからの未来の若い人達が、お互い心のままにしていられる、そしてそれがお互いの幸福である、そんな相手に出会えることを願う。



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