大惨事だけど、そこまで大惨事じゃない

事件はハロウィンの夜に起こった……台所で林檎(僕の夜食用)の皮剥いてた母さんが急に「あっ！」っと大声あげて林檎と包丁を落とした。横で優雅に食後のお茶を楽しんでた僕はびびって入れたばっかりの紅茶に舌突っ込んじゃって。死ぬかと思った。「急に大きな声を出すとみんなが驚いちゃうのでやめましょう」って情けないけど、母さんに幼稚園児みたいな内容を言った後に事情を聞いたら、「僕のスラックス、クリーニングからとってくるの忘れてた」って。もう顔面蒼白よ。卒倒するかと思った。だってスカート！僕が嫌いなスカート！あのスカスカしたやつ！履いてかないといけないんだよ？ちなみにその告白を聞いた僕の「えっ！」って大声で妹に「うるさいな」と一睨みされました。僕の妹の三白眼すんごい怖いの。絶対零度です。凍る。瞬間冷凍できると思うよ、最新の冷蔵庫ないお家でも。夜中にクリーニング店に押し入るわけにもいかないので、諦めて明日はスカートでって事に。2年ぶりに履くタイツを慌てて探した夜でした。

翌朝もちょっとした惨事はいくつかあって。まずタイツの前後ろがわかんない。どっちが前？って妹に聞いたらタグが後ろって。………そりゃそうです、タグが前にあったら気持ち悪いわな。次にフックがどっち側の腰に来るかわかんない。妹に聞いたら、左！って。ポケットが使えないでしょ、右だったらって。うん、言われてみれば。寒かったので、出る直前まで下にズボン履いてたんだけど、普段スラックスな訳で、そのまま家を出ようとした。母さんに幼稚園児かって爆笑されて恥ずかしいのなんの。もう一人暮らししたらスカート履けないかもしれない、どうしよう僕。

あとね、学校で皆の反応が。なんか「スカート！」って皆に言われるの。で「スカート！」の後には必ず「なんで？」って言うの。今日クリーニングの話10回はした。めんどっ！でね、今日一番面白かったのはね、数学科の先生と初めてそれな！っていうのが重なった事。休んでてもらってなかった分のプリントもらいに先生について職員室に行くときに3人に「スカート！」って言われて、先生に「あ、ほんとだ、そういえばいっつもスラックスだな」って言われて「スカスカして落ち着かない」って言ったら「わかる、俺も落ち着かない」って。うん？ってなるかな、ここまで読んだ人は。数学科の先生は男性。だけど、過去に出し物的なもので何回か履いたことがあるらしく。共感してくれた笑笑。初めてのおんなじそれな！がスカート。なんか面白い思い出笑笑。それから、別の友達に「スカート違和感」って言われてちょっと嬉しかった。似合ってるって言われたら僕ショックだったかも。あとね他の女子から「もうMISAKIのスカートとか考えられんかったわ」って。別の男子が「MISAKIはもういっそのこと学ランでくれば？そっちの方がしっくりくるぞ」って。いえ〜い。うん、僕のスラックスが普通になってくれててよかったし、それがわかる面白い大惨事で大惨事じゃない日だった。落ち着かないし、気持ち悪かったけど、笑える大惨事になったね。