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『幻日のヨハネ』は面白くなくていい

こんにちは。かみなりひめです。

今夏もたいした休みがないままに、
夏休みが終わろうとしております。
「休み」じゃないんだよなあ‥‥。

さて、本日の話題の中心はもちろん、

幻日のヨハネ
–SUNSHINE IN THE MIRROR-

ご存じの通り、
こちらは、「ラブライブ!サンシャイン!!」の
公式スピンオフ作品で、この2023年夏から
アニメが放映されています。

スピンオフとはいえ、シリーズとしては
2019年の劇場版以来のAqoursのアニメ作品
であり、アニメ化決定時の喜びは計り知れない
ほどであったと記憶しております。

ただ、この『幻日のヨハネ』ですが、
Googleでそのタイトルを入力したときの
サジェストは以下のようになっています。

ライブイベントや発売予定のゲームの話題が
並んでいる中で、その筆頭を飾る文言は
まさかの「つまらない」なのです。

幻日のヨハネ』に対する批評については、
たとえば以下のような記事があります。

先に断っておきますと、
この記事は『幻日のヨハネ』が面白いか?
はたまたつまらないか?を論じる記事では
まったくありません。

放言してしまえば、
『幻日のヨハネ』の面白さ/つまらなさは
正直どうでもいいのです。

それは、受け取り手のファンたちにも
いろいろな人がいて、どこに面白さや
つまらなさを感じるかは異なる、という
ことももちろんひとつ挙げられます。

たとえばヨハネのファンたちだって、
動くヨハちゃんが見られてうれしい!
ヨハちゃん主役なのにストーリーが‥‥
と様々な感想を持つことでしょう。

とはいえ、
私がこの作品の面白さ/つまらなさを
語るべくもないのには、もっと大きな
理由があります。

それは、
私が思う『幻日のヨハネ』の価値とは、

Aqoursに物語をもたらした

という一点のみに尽きるからです。


1. 「物語」という推進力

先にも述べた通り、『幻日のヨハネ』は
2019年の劇場版以来のAqoursの「物語」。

つまり、2020年から2023年春までは、
Aqoursは明確な「物語」を持たないままに
進んできた
ことになります。

もちろん、
この間には新型コロナウイルス感染症の猛威が
あり、それによるプロジェクトの計画変更など
があったことも想像に難くありません。

それにしても、
Aqoursが「物語」を欲していたことは
たとえば以下のMCからもうかがえます。

Aqoursとしての物語って、やっぱり劇場版で、皆さんの前ではしっかりとお届けできているのはそこなのかなー、という風に思っていて。「Aqoursのストーリーをこれからどうしていくんだろう?」ということを、9人揃って常に、多分それぞれのメンバーに対して思っていることが沢山あって。愛が沢山あって。だからこそ、このステージがないと私たちは、Aqours=彼女たちの道を走っていくことが、やっぱできなくなってしまうと思うのですよね。私たち自身、メンバーのことを一人一人大切に思う気持ちと、メンバーに会いたいと思ってここに来てくれている皆さんがいないと、Aqoursのステージは、Aqoursの物語は、進んでいかないと思っています。なので、皆さんも一緒に、この「ラブライブ!サンシャイン!!」、Aqoursというものの、物語の先の先の先を一緒に作ってくださいますか?

(Aqours EXTRA LoveLive!~DREAMY CONCERT 2021~Day.2での伊波杏樹さんの発言)

新たな「物語」が生産されないならば、
キャストとファンの手で創造すればよい。

リーダー・高海千歌役の伊波杏樹さんが
たどり着いた結論はそこでした。

また、降幡愛さんもAqoursの「物語」を
創ることについて言及しています。

『君のこころは輝いてるかい?』を歌った時に、「今…みらい、変わりはじめたかも!」っていうフレーズを聴いて、今までは「ラブライブ!サンシャイン!!」がAqoursの物語を創ってくれてたんですけど、今度はAqoursが「ラブライブ!サンシャイン!!」の物語を創っていかなきゃなって、そう思いました。皆さん、ついてきてくれますか?

(Aqours 6th LoveLive!~KU-RU-KU-RU Rock 'n' Roll TOUR~<SUNNY STAGE>
Day.2での降幡愛さんの発言)

さて、ここまでしてキャストたちが
物語」の有無にこだわるのはなぜでしょう?

それはもちろん、
「物語」の有無がコンテンツの人気に直結する
から、に他ならないはずです。

たとえば、先代のμ’sを例にとれば、
1stシングルの「僕らのLIVE 君とのLIFE」や
稀代の名曲「Snow halation」のCD売り上げは、
実に1000枚に遠く及びません。

明確なヒットとなったのは、
アニメ版OP「僕らは今のなかで」でしょう。

つまり、アニメによる「物語」の力が働いた
ことで、μ’sは一大ヒットとなった
といえます。

Aqoursだって、もっといえば公式だって、
そんなことは重々承知しているわけです。

その「物語」による推進力を、
2019年より失っていたAqours。

彼女らがまず求めるものは、
やはりそもそもの「物語」であったのです。

まずは「物語」があることが先で、
人によって評価が変わる「面白さ」や
「つまらなさ」は副次的なものなのです。

2. 今までだってそうだったじゃない?

とはいえ、せっかく「物語」があるならば、
面白いほうがいいに決まっています。

つまらない「物語」では、
ファンの心を盛り上げて、Aqoursを
続けていくことも叶わないかもしれません。

なんなら、ファンだって久々のAqoursの
物語を楽しみにしていたはずです。

肝心の「物語」が面白くなければ、
ファンだってついてこないかもしれない。

でも、正直に言ってしまえば、
今までのAqoursの「物語」は、
何なら「ラブライブ!」シリーズの「物語」は
決して褒められるモノではなかったはずです。

上の記事で千田洋幸さんが書いているように、
脚本がゆるすぎる」「演出の間が悪い
といった批判は当時からあったのでしょう。

しかし、脚本や演出の欠点のみで
そのグループの人気がないという判断を
下すことはできません。

そうなると「物語」の面白さは
たしかに一つの要素かもしれませんが、
それが必ずしもすべてではない。

なんなら、面白かろうがつまらなかろうが
人気のあるグループはその人気を保つことが
できているわけです。

では、その「人気を保つ」ための方略
いかなるものだったのでしょうか?

先に挙げた千田洋幸さんは、

今回はおそらく、楽曲を印象づけること+声優ユニットの活動に主眼がおかれていて、アニメのストーリーそのものは、Aqoursに2.5次元存在としてのアウラを付与することを目的として創作された感が強かった。μ'sが成功した要因の一つをさらに徹底化させたわけだ。

(千田洋幸のブログ「『ラブライブ!サンシャイン!!』2期終了。

と述べており、印象的・キャッチーな楽曲
声優による活動が成功要因であるとしています。

実際、X(旧Twitter)を眺めてみても、
幻日のヨハネ』の楽曲の良さを褒める声
ちらほら散見されます。

かくいう(全部未視聴の)ワタクシも、
CDだけは全部購入しております。

そして、このCD購入は、必ずしも楽曲の
ためだけではないのは周知の話。

CDに封入されているシリアルは、
もうひとつの成功要因である「声優の活動」に
つながるものとして存在しています。

「物語」があることによって、
定期的に良質な楽曲を世にリリースし、
そこに附属されたシリアルによってライブへの
道が開けていく。

「物語」は、Aqoursの存続に関わるすべての
活動の推進力となっているのです。

3. おわりに

以上、ここまで『幻日のヨハネ』が
面白いか否かはもはや問題ではなかろうと
いう旨を述べてまいりました。

幻日のヨハネ』は、
Aqoursの「物語」としてあるという
ことそのものが大事なわけです。

それにより、楽曲が生み出され、
ライブへ行く機会が作られていくことが
ファンにとっても、Aqoursにとっても
とても大事なことなわけです。

その意味で、今後続いていくだろう
以降の展開を静観していきたいと思います。

(幻日ミステリウムをセトリに入れてDJした某イベント)

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