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大好きな会社を辞めた

今年の6月、5年間勤めたスペースマーケットを退職しました。
時間差ですが自分史上ビックイベントだったので、記念に振り返りと感想を書いておきます。
自分にとって一種の禊みたいな感じです。

未経験から一デザイナーへ成長できたのは、対話の機会が多かったから

当時、デザインチームには毎週の定例会議とデザイン作成後のレビューがありました。

私がいた時期はデザインシステム構築の真っ只中だったこともあり、定例会議ではほぼ毎回「スペマらしいデザインとは何か」「今のプロダクトにとって最適なコンポーネントをどう設計していくか」「そもそも自然に使えるUIとはどんなものか」といったディスカッションが行われていました。そんな話し合いの中から、シニアデザイナーの考え方と根拠となる体系的な知識、その出典などを自然とインプットすることができました。

レビューについては、小さな改善であっても他のデザイナーからフィードバックを得た上でリリースするというルールがありました。
レビューはその時々に応じてFigmaコメントもしくはミーティングでやっていましたが、いずれにせよ毎回作成したデザインの意図を伝える→それに対するフィードバックをもらう という流れだったので、少なからず説明能力も鍛えられたのではないかと思います。

その他にも気軽に相談していたフロントエンジニアはじめ別部署の人とデザインについて話し合う機会は多々ありました。

振り返ると、こういった対話の習慣があることはデザインの基礎力をつけるのに非常に良い環境だったと思います。

シニアデザイナーのマンツーマン指導で実務スキルアップ

スキルアップに一番良い影響があったと感じるのは、先輩とのペアデザインです。
音声通話を繋げ、とある案件で先輩が担当したバナーをテーマに実施しました。作成手順について解説を受けつつ、最終的には一緒にデザインをブラッシュアップしてみるという試みです。
当時は何気なく「やりやすいから」というだけでバナーを取り上げましたが、今思えばバナーにはデザインにおいて重要な要素(ビジュアルデザイン・コンセプト設計・訴求効果を高めるライティングやPs・Aiなどのツールの効率的な使い方など)がギュッと集約されています。
それらをシニアデザイナーが実際に手を動かす様子から学べるわけですから、かなり実務での即効性が高い方法だったと思います。

当時の記事です。

(昔の記事はこれに限らず至らない点が多くて色々と恥ずかしいですが、進化の変遷を可視化するという観点であえて残してます)

マリオのスター状態みたいなモチベーション

私は銀行員時代に通っていたデジハリの先生(当時は業務委託、後にマネージャーに)からの紹介でスペースマーケットへ入社したのですが、そのおかげで暫く「憧れの人と一緒に働けて夢みたい!!」というハイテンションでした。
なんと、内定〜入社してから数年間ずっとハイでした。どれぐらいハイだったかというと、入社当日は楽しみすぎて知恵熱を出して周りに心配されるほどでした。

土日が来るのが嫌でした。「土日はいらない。ずっと平日で良い」と言ったら皆引いていました。

もちろんスキル不足から鋭い指摘を受けて落ち込むこともありましたが、それすら糧にしていました。ずっと根拠のない前向きな気持ちで「むしろ、ここから頑張って挽回したらたくさん褒めてもらえる!!」的な。
書いていて、自分でも怖くなってきました。当時の私のこと知ってる人はこれ分かってもらえると思いますが、改めてごめんなさい。なんか怖かったですよね。

会社の変化を拒否する嫌な気持ちに気づいて、転職へ

そんなにやる気に満ち溢れてたのになんでやめたの?という感じなんですが、

  • 組織の変化に対するネガティブな気持ち

  • 逆に全く変化の無い自分への焦り

から転職を考えました。

「ずっとこのチームで、今日みたいな日が続いたらいいのにな〜!」
は、一見ポジティブな感情に見えます。
しかし会社にとって変わらないことが良いとは限りませんし、そもそも変わらないものなんてありません。諸行無常です。

特に変化のスピードが早いベンチャー企業では人が短期で入れ替わり、会社のやり方や施策の考え方も状況に合わせて変わります。会社の成長のために機動力は重要で、必要な変化があることはむしろ健全な状態です。

しかし、当時の私は誰かが辞める度パフォーマンスに影響が出るほど落ち込み、規模が大きくなるにつれ社内イベントの在り方が変わっていくのを感じて悲しくなり…。
どれもこれも仕方がないのに感情がマイナスにばかり動く、というのを繰り返す中で、ふと「変化を嫌がる今の自分は、これから変わろうとしている会社にとってあまり良くない存在かもな」と考えるようになりました。



組織には色々な意見の人がいて賛否があるのは自然なことですし、そもそ全部が全部が良い変化とは限らないので、中には変えるべきでない部分もあったかもしれません。
しかし私の場合は、長期的な目線で考えたり、客観的に良し悪しを判断するといった真に組織のためを思った行動は取れていませんでした。自分が個人的に楽しかった時代の話だけをずっとしていました。

会社規模の変化によって人の性質も変わると言われていますが、私は当時の会社のフェーズからすると去るべき人に当てはまっていたのかもしれません。そんなことを考えていると「そろそろ卒業したほうがいいかもな」という気持ちが徐々に強まっていきました。

(中堅オタクあるある、懐古しがち)

いつまでも未経験入社を盾にする自分

理由は他にもあります。
ジュニアから明確にミドルやシニアといった段階へステップアップしたという実感が持てなかったので、数年経っても未経験・初学者の自負が拭えず進んで末席に座るような行動ばかりをしてしまっていました。
そして一人前になるために何が必要なのかが明確にはわかりませんでした。何が足りないかは分からないけれど何かが足りていない。今の業務はなんとなくやれているものの、成長を考えると何だか手詰まり感を感じる…。といったモヤモヤした気持ちです。

新規事業のプロジェクトへ参加するなどして解決を図りましたが、どうしても私の根底には前述したような変化を嫌う気持ちがあったため、やはり環境ごと変えないと視点の転換が難しい状況でした。

「自分が他の会社で通用するのか不安になって転職した」というのはよく聞く話ですが、大きく括れば要は私もそういう動機だったと思います。

辞めても経験は残るし、人の繋がりが消えるわけではない

色々悩みもしましたが、振り返るとこの5年間が人生で一番楽しかったと思います。そう思える思い出ができただけでも幸せなことです。
しかしこの先も人生はきっと長いので、自己ベストを更新するべく頑張ってみるつもりです。当時のメンバーも今はそれぞれ違う場所で活躍しているので、また集まって話を聞くのも楽しみです。
人の繋がりは今でも生きているのであまり悲観しなくていいんだよーと、退職ラッシュで落ち込んでいた当時の私に言ってあげたいです。

今後は変化を楽しむために

今回の経験から、変化を受け入れられる柔軟性を得たいと思うようになりました。
これは今後継続的に変化が起きそうな環境、もしくは自分が変化を起こす立場となることで克服できるのでは?と考えています。

嬉しいことに、今回の転職ではそんな自分の意向にぴったりな素敵な会社とご縁がありました。詳しくは入社エントリーで書く予定です。

いろいろ書きましたが、何事にも過剰に固執せず、穏やかな気持ちでこれからもデザインに長く携わっていければと思っています。

ここまで読んでくださった稀有な方、ありがとうございました。
またすぐに更新します。それでは。


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